ユート王都で家を買う



ユートが王都に戻り二週間が経った

二週間の間に色々な事があった

ギリアムからグラウディンとの交渉依頼、それが終わればSランクに昇格

そして国王から学園への推薦入学

ユートは毎日激動の日々を送っていた



本日は朝の鍛練が終わった後、ギリアムの紹介でとある場所に来ている


「どのくらいの予算の物件がよろしいですか?」


「そうですね・・・一戸建ての相場はいくらですか?」


「場所にもよりますが…一等地ですと大体白金貨一枚からになりますね

離れた場所ですと大金貨五枚くらいですね

住宅街でしたら値段は多少落ちますが」


女性は地図を広げ指を指しながら話す

ユートは地図を隅々まで見ながら考える

すると地図の端の方にぽつんと空いている場所が目に映る



「すみません、ここはどうですか?」


「そこですか?王都からも大分離れてるので中々買い手がつかない場所なんですよ

一応小さい家がありますけど少し古くなってます」


「そうですか、静かな場所の方がいいのでここが良さそうですね。敷地も結構広いですし」


ユートは地図を見ながら話す

場所は街の中央から外れた緑溢れる場所に立つが、街の一等地と比べ敷地は約三倍はある

近くには小さい川も流れておりユートにとっては充分過ぎる場所だ


「そこですと敷地が広いので値段は大金貨五枚になりますね。とりあえずこちらの場所に案内しますか?」


「よろしいお願いします」


すると女性は立ち上がり書類と鍵を取り出し店を出る

ユートは女性の後を追い店を出た











「ここの柵の中が敷地になります」


ユートは当たりを見渡し目を閉じる

この場所は街中の喧騒が全く聞こえない

聞こえるのは風の音と小鳥の囀りだけ


「凄くいい場所ですね…王都内とは思えない」


ユートは目を開け女性に話す


「王都自体が凄く広いですからね。王都に住みたい人達は大体住宅街の方に住みます

王都の人でもこちらの西側にはあまり来ないですね」


「そうなんですか?でも気に入りました!

あの奥に見えてるのが家ですね」


「はい。王都の住宅街に比べ少し古く見えますが住むのには困らないと思います」


女性は話しながらユートを連れて家を開ける



中に入ると少しギシギシ音はするがちゃんと手入れされているのが見てわかる

部屋は三つと台所にトイレ付いている


「へぇ〜独り身には充分ですね」


「前の住人は三人家族で住んでいたそうです」


女性は書類をみながら話す


「ではこちらの物件をお買い上げでよろしいですか?」


「はい。この物件を買います!」


女性は書類を取り出しユートに渡す


ユートが書類にサインをし大金貨を払うと女性は権利書と鍵をユートに渡す


「これで契約になります。こちらが権利書とこの家の鍵になります

敷地内でしたら何しても大丈夫ですが、王都に悪影響がある場合は処罰されますのでご注意下さい

また、この家を建て替える際は是非当店に一声お掛け下さい」


女性はお辞儀をすると家から出ていった



「ようやくゆっくり出来る場所が手に入ったな!

家具も少しだけあるから明日は足りない物を買いに行くか

とりあえずギルドの部屋を引き払ってユエルも連れて来ないとな」


ユートは家を出てギルドに向かう













「ユエルちゃーーーーん!カムバッーーク!!」


可愛くおめかしされたユエルを受付嬢達から引き離すと泣きながら騒ぐ受付嬢達


「そんなに泣かなくても・・・たまにギルドに連れて来ますから……」


「毎日連れてきて!むしろギルド公認で飼わない?」


「いやいや、俺が信頼されて預かってるのでそれは無理です」


「キュ〜?」


ユエルが首を傾げると受付嬢達は騒ぎ立てる


「キャー!ユエルちゃん可愛い〜!」


「ユエルちゃん!お菓子買ってきたから食べる〜?」


「もうユエルちゃんがいないギルドなんて耐えられないわよ!」


「ユエルちゃんもお姉さん達といたいよね?」


「キュ〜?・・・キュキュ!」


ユエルは少し迷いながらユートの頭に飛び乗る


「決まりですね。たまにギルドに預ける事もあると思いますのでその時に可愛がってあげて下さい」


ユートはそう言うとユエルを乗せギルドを後にした


外に出ても背後から受付嬢達からの叫び声が聞こえてきた


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