行商途中の出会い 2

「よいしょ…っと」


朝一から大人数が馬車の前で作業をしてうる

王都から持ってきた商品が少なくなった荷馬車を片付け、空いたスペースに新たに仕入れた特産物を次々に積み込んでいく

ユート達が王都を出て三週間経つ

行商の旅は特に滞りがなく順調?に進み、次の町が最後になる


「次の町がラスト、シーレウスになります

シーレウスでは交渉が沢山あり時間がかかる為、何泊か致します。交代で交渉時の護衛をよろしくお願いします」


ジョーイが前に出て護衛を三グループに分けてから話す


グループ分けは


A

ダスター、短剣使いの男性、魔法使いの女性

B

大盾使いの男性、槍使いの双子の女性

C

ユート、オトメ


何故だ!とユートは思っていたが

ジョーイが言うには連携面で万が一戦闘になった場合このグループが一番スムーズに動くそうだ

A.Bは何となくわかるが、俺とオトメ店長は?っと思っていたが、はっ!となり王都での戦闘を思い出した

あの事があったから組まされたのか!!


「なぁ〜に考えてるのユートきゅん♡もしかして…キャッ♡」


ユートのほっぺをプニプニ触った後悶えて変な動きをし出すオトメ


「……こほんっ。この人は置いといてとりあえずシーレウスに向けて進みましょう」


ジョーイの一言で次々と荷馬車がシーレウスに向けて進み出した


☆★☆★


何日か野営をしてシーレウスの手前に辿り着く


「ここがウィス平野…」


ユートの目の前にはキチンと舗装された道が三つに別れていた




☆★☆★


てってれて…てってれて……ててててて……


やぁ…


みんな……


…………





げんきいいぃぃぃぃいいいいいいい!!


テンション低くてびっくりした?したぁ?


やっほほい!久々過ぎて作者も存在を忘れかけてた?おしえてアヴェルくんのおじかんだよ〜ん!


作者、☆抹・殺☆

しちゃうぞ〜


今回はウィス平野について解説するよ!


ウィス平野


港町シーレウス向かうのに必ず通る場所だね〜

獣王国、魔王国にも面してて

右、緑ボーボーの獣王国

左、人工建築物の魔王国

って感じで憶えてね?

とりま三国に面してるから自ずと色んな事があるんだよね〜

冒険者の争い、無断入国、怪しい物品売買etc…

まぁ小さい事だよね〜ぼくの仕事に比べれば…


……はっ!危ない危ない!今はあの仕事は忘れてこのフリータイムを楽しまないと!

え〜とどこまで話したかなっ?かな?

そうそう!三国に面してるからシーレウスは物流の動きが無茶苦茶速い!

シーレウスはエルシュタット王国の経済を回してると言っても過言ではないんだよね!

なんで町も広いし、防衛力は高いし、冒険者の量もめちゃ多いんだ〜

ん〜説明はこんなもんかね〜

はぁ〜お茶おいし

ぼくはお茶には団子だと思うのだよ。うむ。

皆はどうかね?んっ?

羊羹?まぁーお上品だこと!

いちご大福?うむ!あれは美味!


私はおかきですね


ほう!おかきとな!お主中々やる……!?

イッ!インファントさん?


アヴェル様終わりましたか?

久々だからといって長話はNGですよ?


えっと…その…あの……モガッ!モガモガ!


それでは皆様、またお会い致しましょう


ロープでぐるぐる巻きにされてアヴェルくんは光の中へ……


☆★☆★


「右に行くと獣王国、左に行くと魔王国の国境検問所があります。今回私達は真っ直ぐ進みますがね」


ジョーイがユートに説明しながらウィス平野を進むと少し先で何やら戦闘の音がした


「先に偵察してきます」


そう短く発し、短剣使いの男性が飛び出し先行する

一行は進むペースを落とし報告を待つ



……


「この先で女性が三体の魔物と戦闘中です

魔物は恐らくネイルタイガーかと…」


「ネイルタイガーか。一体ならCくらいだが、三体ならBでも厳しい相手だな」


数分経って戻ってきた男性の報告を受けダスターは考える


「う〜む。依頼を受けているなら微妙なところだな

冒険者によっては揉めるからな」


他の護衛達も悩んでいる

それもそうだ

一人で依頼をこなしている冒険者は何かしら理由があってソロをやっている

プライドや力試し、報酬独り占め等など…

ただ単に襲われているだけなら手助けするのだが、まだ理由が分からない状態では手助けをして良いものかどうか


「タグ、カード類は見えたか?」


「いえ、ですが腕はありそうです

囲まれている状態ですが、傷があまり無かったです

恐らくB.Aランク程かと…ですがあの様な若い女性がそのランクにいるのなら王都でも話題になるはず」


「若い女性…か。確かに

それならユートみたく話題に上がるだろうな」


ダスターと男性が会話途中でユートの方を見る

ユートはちょっと恥ずかしがりながらも会話に入る


「では俺が確認しに行きますか?護衛ならオトメさんもいますし自分が抜けても問題ないかと」


「いやよ!ユゥトきゅんと離れるなんてぇぇええええ!」


そう言ってユートに抱き着いてこようとするがスッと避けるとダスターにぶつかりダスターは悶絶している


「グホッ!!じゃっ…じゃあ任せたユート!こっちは任せ…グェ!」


その場で倒れながらもオトメを押さえ付け離れないようにしているダスター

他の仲間達も何処からかロープを持ち出しておりダスターとオトメを縛り始めていた


「でっでは…行ってきます」


ユートは飛び出し戦場に向かう


☆★☆★


「くっ!こいつら思った以上に強い!」


ネイルタイガー三体に囲まれ苦戦を強いる若い女性

擦り傷や服は少し破れているがダメージはほぼ無い状態で戦闘をしていた

先程の短剣使いの男性は三体に囲まれていると言っていたが

既に一体は倒されており初めは四体いたのである


「シッ!」


ザスッ


女性の刀がネイルタイガーの腕にめり込み刀の動きが止まる


「しまっ…」


思ったより疲れがあったのか腕力が落ちていた

先程までだったら切り落としていたはずだが

今回は途中で止まってしまう

いや、止められた

ネイルタイガーは思っていた以上に知識があるようだ

腕を犠牲にしてでも獲物を狩る

それがネイルタイガーの狩りの仕方である


女性は素早く刀から手を離し距離をとる…が

横から別のネイルタイガーの爪が襲いかかる


「!?ぐっ!」


咄嗟に腰に差してある小刀を抜き受け止める

しかし、落ちた腕力では到底耐えられない

ネイルタイガーはそのまま腕を振り抜き女性を吹き飛ばした


「ガハッ!」


吹き飛んだ先にあった岩にぶつかると同時に手から小刀が離れる


「まだ…私の旅は始まったばかり……まだ終われないのよ……」


落ちた小刀を拾い岩を使いよろよろっと立ち上がる

ネイルタイガーは警戒を解かずに正面と左右に分かれてジリジリと向かってくる


「くるなら来なさい!一体でも多く倒してやるんだから!」


女性が怒号を発すると一瞬怯んだネイルタイガーだが、それをタイミングに一斉に襲いかかる


ブォォォォン!


「えっ?」


空から突風が吹き、右から迫っていたネイルタイガーの包み込むと身体中に切傷がつく


他の二体のネイルタイガーがそちらに気を取られていると正面のネイルタイガーの身体がドスンっと音をたて、頭から真っ二つに斬られる


「神崎流刀術:重落【じゅうらく】

危ないところだったので助太刀します」


女性の目の前には

見慣れぬ刀

見慣れぬ技

見慣れぬ男性、ユートが立っていた


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