一方その頃・・・




ある男冒険者視点




俺達はあの化物の雄叫びを聞いた瞬間

恐怖からか、体が動けなくなっていた



あっあんなバケモン達に勝てるかよ!


そっそうよ!あれだけの魔法を受けても向かってくるなんて普通じゃないわよ!



周りからは弱気な発言が飛び交う


しかしそんな中、二人の冒険者が颯爽と飛び出したのだ



おい!あれは銀狼じゃないか!?


おおマジだ!!ありゃ銀狼アレックだ!


んっ?アレックは分かるが、隣の子供は誰だ?


おい坊主!先走ると早死するぞ!




確かに銀狼アレックなら先陣を切るのは分かるが、あの子供は一体?

そんな事を考えていると後ろから声が上がる



あんた知らないの?昨日ギルドで銀狼が試合をして引き分けた話


あん?それはダチから聞いたがそれがどうした?


その引き分けた相手があの子、ユート君なのよ


あんな子供がか!?アレックが手を抜いたんじゃねえのか?


あの銀狼が認めたのよ?

手を抜くわけないじゃない!

実際私も観てたけどあの子・・・銀狼より強いかも?


ありえねえ!!!!



確かに有り得ない話だ

銀狼の強さは本物だ

俺もあの強さを目標にしていた

だが、あの銀狼本人が認めたとなると別の話だ


俺は体を震わせ周囲に向かって声を上げる


「あんな子供まで街を護る為に最前線で闘おうとしているんだ!

大人の俺達が弱気になってどうする!

俺は行くぞ!!街を護る為に!!」


その鼓舞がきっかけとなり、冒険者達の指揮が高まり、皆戦場に繰り出した








ある女冒険者視点



私達は銀狼アレック様とユート君が飛び出すのを見て騒ぎ出す



きゃー!!アレックさまああああああ!!


ユートくうぅーん!怪我しちゃダメよおおお!怪我したらお姉さんが泣くわよおおお!


アレックさま!私を連れ去ってええええ!!


そんなのはダメよ貴方!ユート君はアレック様を追うのよ?


ハッ!(ユート君、僕を追い掛けて来てくれたのかい?

べっ別にあんたが心配な訳じゃ・・・ないからな!)

今日もいいご飯が食べれそうね!


アレ×ユーを見るまでこんな所で死ねるか!!!!



そんな事を話しながらテンションを上げる女冒険者達


この人達はいつも通りですね (笑)






少し時間が経った後、ブランの街門付近



ユート達が前線で闘いを繰り広げている頃


門の前では激戦が繰り広げられていた



オラアアア!次だ次!


いつも通りの連携で倒すぞ!


くそ!槍が抜けない!?


剣が折れた!武器を貸してくれ!


おっおい!早く下がれ!次来てるぞ!


たすけ……


グガァ!脇…腹を噛まれ……た…



死屍累々な状況が長く続いていた

すると遠くから魔法が飛んできた



やべえ!さっきの魔法じゃねえか?


おっおい!早く離れろ!巻き込まれるぞ!!



皆、先程直撃した街の壁を見て、各々闘いながら離れる

しかし先程は壁に当たったのだが、今回の魔法の狙い場所は門

冒険者達はその方向はやばいと思うが自分達には護る手立て無い



おい!門から離れろ!魔法がそこら辺に当たるぞ!!



一人の男が声を上げる


だが時すでに遅く、男の目の前には魔物も呑み込みながら進む、漆黒の魔法が広がっていたからだ


その魔法を見て男は身震いする




駄目だ・・・もうアイツらは助からないと




しかし魔法は門の手前で何かにぶつかり、やがて跡形もなく消えた



「大丈夫よ。ここは私が護るから」



声のする方を見ると

門の上にはギルドマスター【守護】エストレアが立っていた


「みんな!シャインバリアの中に入って!

一斉に回復してあげるから」



【エクステントヒール】



すると門付近にいた冒険者達の怪我がみるみる治っていく

エストが怪我を治した後、後ろから多数の馬車を連れた副ギルドマスターティアがやってきた



「街にいるぅ〜商人達を連れて来ましたぁ〜

武器や防具もい〜っぱいあるか好きに使ってくださ〜い

お金の負担は〜ギルドで持つのでぇ〜大丈夫!」


その言葉を聞いた冒険者達は次々に武器を取り戦場に戻る



「諸君!ここが正念場だ!!絶対に護りきるぞ!!」


「「「「「「「おーー!」」」」」」」


冒険者達の闘いが再び始まった













話はユート達に戻る




アビスオーガの首を切り落したアレックは、すぐにユートの元に駆け寄った


「大丈夫…かい?ユート君」


「あっ…ああ…アレッ…クか…

どうにかな…助かっ…たよ……」


アレックはユートに肩を貸し歩く


「アレック…は大…丈夫……なのか?」


「僕も…どうにか……ねっ!

殴られる…直後に脇腹に…ブーストを集中させた…からね

それでも…骨は何本か折れてる…かな?」


アレックは脇腹に擦りながら話す


「すまないな…アレックも…怪我をしてる…のに」


「お互い様…さ!」


ユート達は足を引きずりながらゆっくりブランの街に戻る


門の前の戦闘も終わりに近付いていた


エスト、ティア、解体師のダネルを筆頭に

魔物を討伐しているようだ



「護れて…よか……た……」


「ユート君?おいユート君!」


ユートはその言葉を最後に意識を失った














「やれやれ、これでも潰れませんでしたか」


ブランの街の門から少し離れた場所で男が呟く


「本来の実験は失敗ですが・・・まあいいでしょう

他にいいサンプルが取れたのでね」





そう言うと男は影に姿を消した


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