第二の戦場



ユート視点


ブーストを使った甲斐があってか、数分で村に着いた


しかし村の一部が焼けている





少し走ると出入口付近に辿り着いた


すると、今日の朝直したばかりの柵が壊されているのが見えた



(柵が壊されてる!




まさか……巣穴から出てきたゴブリン達か!!)


ユート考えながら足元にウィンドブーストを付加し、村の中央に飛んだ















サラ視点


きゃあああ!


まっ!魔物が村に入ってきたぞおおお!


早く村長の家に避難しろおおお!


村人達が叫んでいた


夕方、いつも通りの一日を過ごしていたサラは

夕飯の準備をしていた所、外から叫び声が聞こえてきた



ガチャ!!



「サラ早く村長の家に行くんだ!

ゴブリン達が村に侵入してきた!」


「えっ!? ゴブリンが!!兄さんはどうするの!?」


「私は村の自警団だ!もちろん村の人達を避難させる為に戦う!」


アデンはそう言うと家に置いてある鉄の剣を取り、足早に外に出て行った






「兄さん……必ず生きて帰ってきて……」


サラはすぐさま村長の家を目指し走った。


目に涙を浮かべながら……














アデン視点


私は昔、村で農家をしていた


両親が農家をしていた為、手伝いをしながら

生計を立てていた


だがまだサラが小さい頃、両親は流行りの病気で亡くなった


私は小さなサラを見て、私が守らなければ!と思い

両親が亡き後から村の自警団として村を守っていた


度々魔物が村近くに来る事もあり、その度に魔物を討伐していた


時には森の入口近くまで行って狩りもする事もあった


だから多少なら力があると思っていた


今までは







キィーン



「くっ!ゴブリンどもおおおお!!」



アデンは奮闘していた


アデンの周りには同じ自警団の村人が四人同じくゴブリン達と戦っていた



なっ!なんなんだこのゴブリン共!



グレーウルフと一緒なんて!これじゃ手が足りない!



ぐぅ!ウルフに噛まれた…



くそっ!誰かこいつを避難させろ!




アデン(は)奮闘していた


だが士気は徐々に下がっていく


「はぁはぁ…くそっ!みんな!徐々に下がれ!囲まれないようにしろおおおー!

怪我をしたやつには肩を貸してやれ!

その間………私が引き受ける!」


キン


キン


キィーン!


アデンの体力が少しずつ削られていく


そして遂にアデンは防御が遅れた


ギャギャギャ!




グサァ!








「ぐあああああああああ!!」


アデンは肩を押さえて膝を突く


アデンさん!


アデン!


このやろぉおおぉ!!


一人の村人が突っ込む


だが既に遅い


ゴブリンの錆びた剣はアデンの真上から振り下ろされていた








アデンは死を覚悟した








その時、一筋の風がアデンの頬を撫でた









ズパンッ!









ギャ……






「おい、俺がいない間に勝手に暴れるなよ」








一言放ちながらアデンとゴブリンの間に降り立ちそのままゴブリンを真っ二つにした




「ユート…くん……」




「アデンさんは後ろに!

後は俺に任せて下がってて下さい

すぐに終わらせますから」



ユートはそう言うとゴブリン達に殺気を放った






「おい、ゴブリン共

このまま生きて帰れると思うなよ?




あぁ、逃げようとしても無駄だからな」












ユート視点




ギャ!?


ギャギャ!


ウゥ…



殺気に当てられたゴブリン達は一瞬怯えた後、ユートに向けて持っていた武器を放り投げた


そしてその後すぐにウルフに跨り、逃げに走った




だがユートは、投げてきた武器を全て刀で振り落としながら呟いた



「おいおい、後ろに飛んだらアデンさん達に当たるだろう

後、逃げれないってさっき言ったよな?」



ユートは逃げるゴブリン達に対して雷魔法を放つ




「逃がさない【サンダーストリングス】」




ゴブリン達の上から糸の様な雷が身体に巻きついた


グギャャャ!!


グギャギャギャ!!


グギュュ!!


キャン!!


ゴブリン達の身体に纏わり付いた雷は

バリバリバリッと帯電し、ゴブリン達の動きを止めた


ユートはゴブリンの近くまで来ると自分の身体にブーストをかけた












「これで終わり・・・神崎流刀術:乱れ咲」








チン!






するとゴブリン達の身体中から派手に血飛沫をあげた



ブシャブシャブシャ!!

ブシャブシャブシャブシャブシャブシャ!!

ブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャブシャ!!




プシャーーーーー!!





刀を鞘に戻したユートはアデンの元へと戻る






「アデンさん!傷は大丈夫ですか!」


「あっ…ああ大丈夫だ。そこまで深くは無さそうだ」


「間に合って良かったです

俺が村から離れている間に襲われるなんて……」


ユートはちょっと気を落としていた



「そんな気を落とすな!間に合っただろう!

君がいなかったら村は壊滅していた!


これで私とサラ、二回の命を救ってくれたんだ…本当にありがとうユートくん……!!」



アデンに感謝を述べられ、少し照れたユート




「にいさーん!にいさーん!」


「サラ!」


「兄さん!大丈夫!肩を怪我してる…!!」


「あぁこれくらいかすり傷みたいなもんだ

ユートくんが助けに来てくれたからこれぐらいですんだ」


「ユートさん…兄を……村を救ってくれて………本当にありがとう!!」


「どういたしまして。

でも早く気づけなくてごめん」








最後まで謙虚なユートだった

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