教育試験1




「東側はまた風景が違うな」


「そうだよ。こっち側は主に住宅街だからね〜」


「なるほどな」


ユート達は東門の前に来ていた


東門には多くの冒険者が集まっている



「よし集まったな。今日は最後の試験になる!気合いを入れて望めよ!」


マーキスが受験者達に話す


「それでは試験の説明をする

今日と明日の二日間、コミの森で新人の面倒を見てもらう!

帰って来るのは三日目の昼になる

受験者と新人の見分けをつける為、受験者はこの赤い布を腕に巻いてくれ!説明は以上だ!」


説明が終わると受験者に布が渡される


「ユート君とお揃いだね!ぬふふ〜」


「みんなとお揃いな」


じゃれ合う二人


「それでは出発する!全員馬車に乗れ」


マーキスの合図で全員馬車に乗りコミの森に向けて出発した










二時間後


「ここがコミの森か」


「そうだよ!ここは王都からもそこまで遠くないし魔物も少ないから新人の冒険者にはうってつけの場所なんだよ」


「確かに近くには魔物気配が全くないな」


二人が話しているとマーキスが冒険者の前で話し始める


「今日から二日間ここで野営をしてもらう!

食事は各自で準備して取るように!食材は森の中で集めろ!水だけはこちらで用意している

何か分からない事があれば近くの指導員に聞く事!

以上だ!解散!」


その言葉を最後に冒険者達は思い思いの場所にテントを張っていく






ユートは森から少し離れた場所にテントを張った


「よし!完成だ!」


「うんうん〜♪後は食事の準備しないとね!」


「そうだな・・・と言うかなんでクリスは隣りにテントを張る」


「だって女の子独りじゃ危ないじゃないか!」


隣りに自然とテントを張るクリス


「それはそうだが…試験に影響は無いのか?」


「大丈夫じゃないかな?この試験は新人冒険者の面倒を見る試験なんだからさ〜」


「それもそうか。何か言われたら離れれば良いしな」


「またまた〜ユート君もボクみたいな美少女と過ごせるなんて有難いでしょ!」


「はいはい。とりあえず食材集めないとな」


「むー!適当に返さないでよ!」


「早く行かないと食材無くなるぞ?」


「!?それはヤバいね!話してないで早く行こー」


クリスは慌てて森の中に向かう





「俺は最初から言ってるんだが…」




ユートは独り言を言いながら森の中に入って行った







森の中は穏やかな雰囲気を醸し出していた


「なにか魔物がいればいいんだが…全く気配を感じないな」


ユートは周りを見渡しながら進む


「とりあえず高い木の上から見てみるか」


ユートは近くの木に飛び乗る

すると上から声が聞こえてきた



「ユートくん!?へッヘルプミー!」


ユートは上を見ると蔓に絡まった男の子がぶら下がっていた


「誰だ?んっ!?もしかして……アヴェルか?」


「そうだよーキミのアヴェルくんだよ!とりあえずヘルプ!!」


「俺のじゃないが…とりあえず助けるよ」


ユートは刀でアヴェルの体に絡まる蔓を切り裂いた



ドスン!!



「ふぎゃあ!いてて…もう!ユートくんが抱き抱えてくれるかと思ってたのに……」


「絡まるお前が悪いだろ」


「グハッ!!ド正論!!」


「なんでアヴェルがここにいる?

天界から降臨するには神力がかなり消費するんじゃなかったのか?」


パタパタと服の汚れを落としながらアヴェルが話す


「そーだよ!元の体だと神力の消費がハンパないけどこの体なら乗り移る時にしか神力は使わないんだ!

ちなみにこの体は知神インファントが作ったエーテルボディなんだよ!

むか〜しに使って以来だから使えるかビミョーだったけど使えて良かった良かった〜

その代わり、乗り移ったら神力は殆ど使えないけどね〜」


ドヤ顔で話すアヴェル


「そうか。で?何しにこっちに来たんだ?」


「暇だからユートくんに会いに来たのと

ちょっと一つ厄介な理由があってね……」


「暇だから…は置いておいて厄介な理由とは?」


ユートはゴクリと喉を鳴らし返答を待つ



「それはね・・・














カフェ:ルナの新作パフェが出たんだよ!!」




「はあ!?」


「だ〜か〜ら!ルナの新作パフェを食べに来たんだよ!」




ゴン!



ユートはアヴェルの頭にゲンコツをする


「いったぁーい!ユートくん酷い!鬼畜!悪魔!ボクをどうするつもり!?まさかボクの裸に・・」


ゴン!


「またぶった!おや」


ゴン!


「あたまの・・・形変わる……

もうふざけないから!暴力はんたーい!」


アヴェルは痛みでしゃがみ込みながら話す


「アホかお前は!そんなしょうもない理由でこっちにくんな!」


「しょーもなくないよ!死活問題だよ!?」


「デザート如きの為に軽いノリで降臨するな!」


「ううっ……だって最近ユートくんは来ないし、この前来た時なんてお土産無かったし!

ボク天界でぼっちなう。なんだよ!」


「お土産持って行くの忘れたのは謝るがぼっちは知るか!」


「みんなお仕事で中々天界に来ないから毎日ゴロゴロするしかないんだよ〜」


アヴェルは泣き顔をしながらユートを見つめる


「はぁーわかったからそんな顔すんな

とりあえずそのパフェ食べたらさっさと戻れよ。バレたりしたらやばいだろ」


「それならだいじょーブイ!!ボクの姿は知られてないから誰も神様って思わないよ!」


「それもどうなんだろうな……一応一番偉いわけだし」


「まあまあ〜それのお陰で好き勝手来れるしメリットしかないよ!」


「はいはい。とりあえずバレないように行けよ?」


「うむ!我に任せるとよい!」


アヴェルはえっへん!と胸を張る


「ユート君に会えてよかったよ〜またねー」


アヴェルは手を振り森の外に出て行った



「あいつホントに自由だな……」



ユートはアヴェルの後ろ姿を見送ると散策を再開した










少し日が暮れた頃


「ユート君どうだった?」


先に戻っていたクリスがユートに話し掛ける


「なんか変なのはいたが、あんまり魔物はいなかったから取れたのはこれだけだ」


ユートはクリスに鳥を見せる


「変なの?ここにそんなのいる話聞いた時ないな〜

クウェイルバードが手に入っただけ良かったよ〜ボクはキノコと山菜が採れたよ!」


「ほ〜どれも美味しそうだな。早速調理するか!」


「そうだね!チャチャッと作って食べよー」









「ふ〜美味しかったな」


「そうだね!シンプルな味付けだから素材の味が引き立ってたよ〜」


二人は食事を終えてゆっくり休んでいた

すると後ろからマーキスが声を掛けてくる


「よう!二人っきりのとこ邪魔して悪いな」


「いえ、丁度食後の休憩中なので大丈夫です」


「そうですよ!これから二人だけの時間を過ごすとこだったのに〜」


二人は別々の事を話す


「あっああ…冗談のつもりだったんだが」


「クリスはほっといて大丈夫です。なにか用事ですか?」


ユートはクリスを無視して話しを進める


「ああ、今日一日で新人から質問とかあったか?」


「いえ、むしろ誰からも話し掛けられませんね。クリスは?」


「ボクも誰からも話し掛けられてないな〜」


「そうか。一応教育試験だから指導しないとまずいんだが、今回は他の冒険者もあまり声を掛けられてないみたいだ」


「今回はって事は前はまだ多かったんですか?」


「そうだな。前の時は八割くらいは質問があったらしいが今回は二割弱ってとこだな」


「やけに少ないですね。なにかあったんですか?」


「一応調べてみたんだが新人冒険者の中にリーダーシップを取りたがるやつがいるらしい

そいつが他の冒険者をまとめて団体行動をしてるみたいだな」


「なるほど。そういえば冒険者が少ないとは思ってましたがそういう事でしたか」


「確かに!もう暗くなるのに少ないね」


ユート達は周りを見渡しそう答えた


「新人でも冒険者だ。だから自己責任ちゃ自己責任なんだが…何も聞かず森の中に入るとはな」


呆れた様子のマーキス

そんな話をしていると森から二人冒険者が飛び出してきた



「たっ助けてくれー!」


「みんな襲われて動けなくなってる!」




新人冒険者達は慌てながら声を上げ、他の冒険者達に助けを求める



「ユート、クリス行くぞ!」



「「はい!」」



三人は森の中に走っていった


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