ドラゴン討伐前日 新たな武器



一週間後、ユートはマーキスに呼ばれギルドに来ていた


「きたな!とりあえず飯でも食いながら話そう」


「この前みたくお酒は無しですよ」


「ははは!わかったわかった。普通に飯食うだけだ」


「絶対にですよ!普通に食べるならいいですけど」


ユートは前に絡まれた事が凄く嫌だったのか念を押す






「とりあえずだ。ジョーイに確認したが依頼はまだ先の話だから大丈夫だそうだ」


マーキスは果実水を飲みながら話す


「そうですか。ならドラゴン討伐の依頼を受けれますね」


「そうだな。あれから依頼のドラゴンについて調べてみたんだが、出現したドラゴンは普通のドラゴンじゃないみたいだな

パッと見フレイムドラゴンぽいらしかったがよくよく聞くと体の一部が金色に光ってたらしいぞ」


「では上位種という事ですか?」


「その可能性は高いな。それか新種かもしれない」


「普通のフレイムドラゴンだとどのくらい強いんですか?」


「普通だとBランク三人位で討伐は出来るだろう。個体差があるから大体B〜Aってとこか

今回のはドラゴンは推定Sランク以上だと俺は考えている」


「なるほど…では俺もパーティを組んで挑む事になるんですか?」


「そうだ!ちなみにパーティはもう決まってるぞ

ユート、俺、アレックの三人だ!」


「!?それは安心して戦えますね」


「だろ?普通のドラゴンならユート一人だったんだがな。新種となると流石にお前一人じゃ厳しいからな」


「普通のドラゴンと一人でやり合いたくないですけどね……」


「お前なら大丈夫だ!ようは慣れだ慣れ!」


ユートの背中を叩きながらマーキスは笑顔で話す


「それで明日の朝出発な?」


「急ですね!?」


「善は急げ!だ。王都に被害が出てからでは遅い。アレックには既に連絡してある」


「わかりましたよ……」


ユートはジト目でマーキスを見ながら頷く


「食料とポーションはギルドで用意するから武器の手入れだけはちゃんとしておけよ」


「毎日ちゃんと研いでるので大丈夫です」


「ならいい。今日は早く寝ろよ」


「はい。ではまた明日」



ユートは別れの挨拶をするとギルドを出てガモンの店に向かった






「こんにちは〜」





「こんにちは〜」



「聞こえてるわ!」


ガモンはいつも通りの返事すると店の奥から顔を出す


「おーユートじゃないか!元気だったか?ガハハ!」


「はい!ガモンさんもお元気そうでなによりです」


「おう!俺は元気が取り柄だからな!ガハハ!

今日は何か用事か?」


「はい!刀の出来具合を確認しに来ました」


「そうかそうか!前に連絡はしたが大体八割ってとこだ!

刀自体は出来てるんだがまだまだ改良の余地があるな!

今持ってくるから待ってろ」


ガモンは奥に行き刀を取りにいった






「ほれ、これがウルスの爪と牙、それにミスリルの粉末を混ぜて作った刀だ!」


ガモンは赤黒く光る刀をユートに渡す


ユートは軽く振り感触を確かめる


ブン


ブン



「これは・・・凄いですね・・・手に馴染むし思ってた以上に軽い」


「だろ!ウルスの爪をベースに作ってあるからな!

爪にミスリルの粉末を混ぜてあるから魔力通りもいいはずだ!刀の鍔と鞘には牙を使ってる!ちょっとやそっとじゃ折れんぞ!ガハハ!」


ユートは刀に魔力を通すと刀身が真っ赤に光りうねり声が上げる


「こっこいつはすげえな!ここまでとは思わんかったぞ!」


「ええ・・・俺もこんなに凄い刀は見た事ありませんよ・・・」


ユートはひとしきり感心してから刀を鞘に納める


「これでもまだ完成ではないんですか?」


「そうだな・・・普通の刀なら完成なんだが、俺はその刀にウルスの魔石を組み込もうと考えている」


「魔石をですか?」


「そうだ。今魔石の加工を他所に頼んでいるんだが物が物だからな、あっちも慎重になってるみたいでな

魔石を組み込めば戦いの幅も広がると思うんだが…」


「魔石にはどんな特徴があるんですか?」


「お前冒険者なのに知らないのか!!」


「はは…まだ成り立てなので・・・」


ガモンは呆れた顔をする


「それでも知らないのは珍しいぞ?

まあいい説明してやる。魔石には主に使い方が二つある

魔石に魔力を溜める事と魔石に込められた魔法を使用する事だ」


「溜めるのは理解出来ますけど込められた魔法とは?」


「込められた魔法はな、その魔物が持つ魔法を使えるって事だ

魔法が使えない魔物の魔石には魔法を付加して魔道具として使われるのが一般的だな」


「マーキスさんの鎧に付いていたものですか?」


「そうだ。あれも俺が作った防具だからな!

魔石の付加は別にやってもらったがな!ガハハ!

ちなみにウルスの魔石には火魔法が入ってるみたいだな」


「なるほど。では魔石が出来るのはいつぐらいになりそうですか?」


「う〜む・・・後二週間位はかかるな」


「そうですか・・・明日ドラゴンの討伐がありましてこの刀を持っていきたいと思ってたのですが…」


「ドラゴンだと!?なら持ってけ!

なぁに刀自体は出来てるからな!魔石が来次第付けてやる!」


「ホントですか!!ありがとうございます!」


ユートはガモンから刀を受け取った


「その刀の名は赤月(せきげつ)だ!」


「赤月・・・赤い月か…これからよろしく頼むぞ赤月!」


ユートは刀を握りしめ話しかけると挨拶するかのように少し赤く光った


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