筆記試験



試験当日、ユートはいつもより遅くに目が覚めた

お昼から試験なので早めの昼食を一階の酒場で食べた後、受付に向かい試験会場に案内された


「ではこちらで試験を行いますので中でお待ちください」


「ありがとうございます」


ユートはドアを開け中に入る

中では20人程の冒険者が集まっていた


あんな若いやつが受けんのかよ


どっかからのコネで受けてんじゃねえの


あいつは落ちるな。俺には分かる



ユートは窓際の空いてる場所にゆっくり座る、目を閉じる


(どこにいっても同じ感じの目でみられるな

別にどう思われようが気にはしないが)


冒険者達の大半は疑いの目でユートを見ている

しかし、数人からは尊敬の目で見られていた





時間が経ち、試験開始までもう少しのタイミングで廊下をバタバタ走る足音が聞こえてきた




バァン!




「ふーどうにか間に合った!

どこか空いてるかな〜?あっ!あそこか!」


小柄な女性はそう言うとユートの隣に座る


「こんにちは!今日は一日頑張ろうね!

ボクの名前はクリスティ!歳は17歳だよ!クリスって呼んで!よろしく!」


「俺の名前はユートです。年齢は16歳です。よろしくクリスさん」


「ユート君ね!んっ?何処かで聞いた様な・・・まあいいか!よろしくね!」


二人は握手をしてお互いに挨拶をする





「はい。24名全員揃ってますね。

それでは筆記試験を始めます

初めて受験される方にご説明します。筆記試験は三時間、一時間事に休憩を挟みます。

終わりましたら、明日の今の時間に実技試験を行います」


試験官が説明し終わると試験用紙を配る



「それでは初めて下さい」









三時間後



「はい。これで筆記試験を終わります」


試験官が試験用紙を回収する


「う〜頭から煙出そうだったよ……」


隣で頭を抱えているクリス


(ふぅやっと終わったか。中々難しかったな

明日は実技試験か。どういう試験になるんだろう?)


ユートがそう思っていると試験官が試験内容を説明し始めた


「では、明日の実技試験について説明致します

実技試験は最初にここにいる受験者で戦って頂きます

最終的に3名まで絞った後に、試験官との模擬戦をしてもらいます

最初に負けたとしても不合格とはなりませんのでご安心下さい


何か質問はありますか?」


(なるほどな。素質を見るって事か)


「では質問は無いようなので本日の試験は終わりになります。お疲れ様でした」



ぞろぞろ受験者達が出ていく

ユートも出て行こうと思い立ち上がるとクリスから声が掛かる


「ねえユート君!この後暇かな?

時間あるなら一緒にご飯食べに行かない?」


「特に用事は無いので大丈夫ですよ」


「良かった!ならボクのオススメのお店に行こうか!すっっごく美味しいから気に入ると思うよ!

じゃあ早く行こーう!」



ユートはクリスに連れられオススメのお店に向かった






王都の大通りから少し入り組んだ所を歩くとレトロ感がある小さなお店があった


「ジャーン!ここがボクのオススメのお店【小さなひかり亭】だよ!」


「味のあるお店ですね。何か懐かしい感じがします」


「そうそう!この感じが何か落ち着くんだよね〜

王都は煌びやかなお店が多くてボクには何だか落ち着かないんだよ」


「俺も豪華なお店は落ち着かないですね」


「おっ?ユート君とは気が合うね!まあ立ち話も何だし中に入ろう!」


ユート達はお店の中に入って行った




チリーン


「ブレンダさん今日も来たよー」


「あらクリスちゃんいらっしゃい!最近良く来るね〜

あら!お隣の男の子クリスちゃんのいい人かい?」


ニヤニヤしながらこちらを見るブレンダ


「ちっ違うよ!?Bランクの試験で仲良くなっただけだから!」


「初めましてブレンダさん。ユートと申します

こちらのお店がとても美味しいとクリスさんに聞きまして連れてきてもらいました」


「あらあら、どうもご丁寧に

あんたもBランク試験を受けてるなんて今の若い子は強いんだね〜

そんなこと言われた腕を振るわなくっちゃねえ!好きな席に座りなよ」


「ブレンダさんいつもの二つね!」


「あいよ!飲み物は何飲むんだい?」


「ユート君はお酒飲む?」


「飲めますけど明日の試験に響くとまずいので違うのでお願いします」


「了解!ブレンダさーん果実水二つで!」


「あいよ!」





席に座り数分待つとテーブルに大きな料理が並んだ


「これがここの名物黄金鳥の香草焼きだよ!」


「いい匂いで凄く美味しそうですね!」


「それじゃあ食べよう!かんぱーい!」


「かんぱーい!」


(んっ!?皮がパリパリで中の肉が柔らかくジューシーだ!噛めば噛むほど脂が出てくる!

香草とシンプルな味付けのお陰だからなのか幾らでもたべれそうだ!)

「これはやみつきになりますね!」


「でしょ!!これだけの為に食べにくる貴族もいるみたいだよ!

あっ!皿に落ちた脂はパンで食べると美味しいよ!」


「なるほど。試してみます」


ユートはパンを一口大にちぎり、脂をパンに吸わせ口に放り込む


(んむっ!?脂が思った以上にサラサラしててくどくない。パンの甘みとベストマッチだなこれは!

しかし・・・これは米が食べたくなるな……)


「どう?味が染みて美味しいでしょ!」


「はい!とても美味しいです!」


「なら良かった!まだ料理は来るからドンドン食べよー!」


二人はお腹いっぱいになるまで料理を楽しんだ







「うぐぐ・・・食べ過ぎた……」


「美味しかったので俺も少し食べ過ぎましたよ」


「喜んでくれるなら連れてきて良かったよ!」


「美味しいお店を紹介してくれてありがとうございます!教えて貰ったお礼にここは俺がお金出しますね」


「えっ!?いいの!!ボク今ちょっとピンチだったから助かるよ!」



ユートはブレンダに会計を頼む


「とても美味しかったです!また食べに来ますね。お会計お願いします」


「あらありがとね!えーと全部で小金貨2枚だね」


(やっ安い!あれだけ飲み食いして小金貨2枚とは!味良し!値段よし!ここは穴場だな)


ユートはそう思いながら袋からお金を取り出し会計を済ました


「また来てね!」


「はい!ご馳走様でした!」



その後二人は別れ、ユートはギルドの宿に戻った


(さて、明日は実技試験か。身体も前とほぼ同じ感じに戻ってるから遅れは取らないと思うが注意はしとかないとな)


ユートはそう考えながら就寝した












ピコンッ


特殊スキル

■眼⇒心眼に変わりました


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