実技試験1



ユートは昨日と同じ時間に起き、ギルド内の酒場でご飯を食べ受付に向かった


「本日実技試験を受けるユートです」


ユートは受験カードを受付に出した


「はい。ユート様ですね。確認しました

では本日の試験会場は地下一階になります

あちらの階段から地下に降りて下さい」


「ありがとうございます」


ユートは階段を降り地下に向かった






地下に着くと皆準備をしていた


(さて、俺も体をほぐしておくか)


ユートは準備運動を始める


(んっ?いつも通りの感覚に戻ってる?

いや、前より周りの魔力の動きが手に取るように分かる!)


ユートは驚きつつ体をほぐしていると階段を慌てて降りてくる音が聞こえた


「とうちゃ〜く!今日もギリギリ間に合った!」


また時間ギリギリに来たクリスだった


「あっ!ユート君みっけ!おはよー」


「おはようクリスさん」


「お互い今日も試験がんばろー!」


「頑張りましょう!」




「全員集まってるな!では実技試験を開始しする!

今日一日試験官を務めるマーキスだ!」


(ほう。中々の魔力だ

しかしそれよりも強い気配を感じる。恐らくアレックと同等かそれ以上だな)


マーキスを見ながらそう考えていると


おい!今日の試験官【強固】かよ!


マーキスさんに見て貰えるなら頑張らないと!


元SSが試験官ってアリかよ!



(SSランクか!アレックより上のランクなら確かに納得の気配だな)


マーキスが話しを進める


「では早速模擬戦をしてもらう!

武器はこっちで用意してある!

武器が壊れたり俺が止めたらそこで模擬戦終了だ!

魔法はブーストのみ使用可能だ!

二人ずつ俺が指名する!指名されたら降りてこい!

まずは・・・」








次々に指名され目の前で模擬戦をしていく



「そこまで!勝者・・・

勝った者はこっちに、負けた者は後ろに下がれ!」


(さすがBランク試験を受けるだけあって戦い方が色々あるな)


「次は・・・クリスティ!」


「はい!」


「頑張ってください!」


「うん!頑張ってくるよ!」


マーキスに呼ばれクリスは前に出る

クリスティは鉄の槍を選んだようだ


「武器は決まったな!では始めろ!」


マーキスの合図で模擬戦が始まる






(ほう。クリスも中々強いな。槍の使い方が上手い)


クリスの相手は長剣を選んでいた


「はっ!」


クリスの素早い槍使いに相手は手間取っている


「ちっ!」


相手もギリギリで避けているが時間の問題だ


(相手は息が切れてきたな。徐々に後ろに下がっているし魔力もそろそろ底を突く)


ユートは相手の魔力量を見てそう思っていた



「一か八かだ!オラァ!」


相手が残りの魔力を使い、ダメージ覚悟でクリスに突っ込む


「槍の間合いを抜けたぜ!ここだ!」


相手がクリスの腕に向かって剣を振る



ビュン



だがクリスはそこで初めてブーストを掛け、槍を捨てて一瞬で相手の懐に飛び込む


「なっ!?」



相手が一瞬消えたクリスに戸惑っているとマーキスが声を上げる


「そこまで!勝者クリスティ!

クリスティはこっちに!負けた者は後ろに下がれ!」


クリスはこっちを向いてピースをした後、勝者組の方へ歩いていった






「では最後!ユート!」


「はい!」


ユートは呼ばれてマーキスの前にいく


「お前がブランの英雄ユートだな。エストから聞いている

お前が受験すると聞いてこの試験官の仕事を受けた。楽しみにしてるぞ!」



マーキスがそう話すと周囲が騒ぎ出す



あれがブランの英雄だったのかよ!


まだ子供なのにあのブランのギルドマスターが認めたとか


あいつは受かるな。俺は最初から分かっていたよ


ブランの英雄と戦う奴可哀想だな



そんな中でクリスは驚いた表情をしていた


「えっ!?名前聞いた時何か聞いた事あるような感じだったけど

あのブランの英雄がユート君だったの!!」






マーキスの話しが続く


「ユートは刀を使うらしいな。お前の為に取り寄せて置いた!」


「ありがとうございます!」


「数が少ないから壊すなよ?壊れたら俺と模擬戦が出来なくなるからな!」


「はは・・・もう勝つ前提ですか」


「なに、お前には勝っても負けても俺と戦ってもらうつもりだったがな!」


「なるほど。期待を裏切らないよう頑張ります」


「ならよし!では試合を開始する!はじめ!!」





ユートの相手は大きなハンマーを選んでいたようだ


「ブランの英雄に勝ったら・・・俺の名声が上がる!やってやらあ!うらああああ!!」


ユートに向かって渾身の一撃を放つ











「そこまで!」




「はあ!?」







首を傾げる相手

だが、首筋にユートの刀が止まっているのに気付き顔を青ざめながら膝をついた




(隙だらけだったな。気負い過ぎだ)



ユートは刀を鞘に納めているとマーキスが近寄ってきた


「流石だな。ブーストも使わずにあの速さか

エストがランクを早く上げたいのも頷ける」


「ありがとうございます」


「俺との試合は本気で来いよ!」


「わかりました。胸を借りるつもりで戦います」


「うむ。楽しみにしている!」


そう言うとマーキスは勝者組を集め、次の試合の説明をする


「少し休憩を挟んだ後試合を再開する!

魔力が足りなそうな者は魔力ポーションを支給する!

各自万全な状態で試合に望むように!」



話しが終わり休憩しているとクリスがおずおずと近寄ってくる


「あの〜ユートさん?ブランの英雄に馴れ馴れしく話してごめんなさい!」


「頭を上げてください!謝らなくていいですから!」


「えっ!?許してくれるの?」


「許すとか許さないとかないですよ

クリスさんの方が年上なんですからさん付けで呼ばないで下さい!」


「ホントに・・・いいの?」


「はい。今まで通りで構わないですよ!」


「やったね!それじゃあユート君

ボクにもさん付けなくていいよ!むしろタメ口で話してくれないかな〜?」


「分かった。クリスこれでいいか?」


「うん!改めてよろしくねユート君!」


「よろしくクリス」





休憩後試験が再開した


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