ドラゴン討伐戦



【キサマだけは許さん!】



ドラゴンは空から急降下しユートに爪を振るう




ドゴオォォン!




振り下ろされた場所は岩が砕け大きなクレーターが出来ていた



「おっと、危ないだろ!ドラゴンお前は隠れてろよ」


「キュ?キュー!」


ユートは咄嗟に避け、肩に乗る子ドラゴンを降ろし離れさせる



【だまれ!キサマだけは肉片すら残さんわ!】


スゥー


ドラゴンは大きく息を吸いファイアブレスを吐き出す



ゴオァァッ!



「ちっ!話しに応じないか」



ユートは空に飛びブレスの範囲から逃げる


【ほお、空に逃げるか・・・だが甘いわ!!】


ドラゴンはユートより高く飛び、翼を羽ばたかせると翼に光が纏い、風と共に光が飛んでくる



バサッバサッ



ドドドドドドン!



キンキンキンキン!



「光線か!数が多くて近寄れん!」


ユートは刀で捌きながらも呟く


【いつまでも耐えられると思うなよ!】


ドラゴンは更に翼を羽ばたかせ手数を増やす



「ぐっ・・・風圧に耐えられ…」



ユートは地面に吹き飛ばされ、ユートに次々と光線が突き刺さる



ドゴォォォ!



ドドドドドドドドド!





・・・パラパラッ


(グハッ!防ぎきれなかったか……




まだ・・・俺は死んでない


まだ・・・俺の身体は動く!


まだ・・・俺は……戦える!!





俺は考える事を止めてない!!!!)







ピコンッ


特殊スキル

■眼⇒脳眼に変わりました

生命の危険を感じた際、スキルは停止します









【ふむ。しぶとかったが流石に死んだか】



ドラゴンは砂煙の中を見下ろしながら地面に降り立つ


【さて、我が娘はどこに】




「詰めが・・・甘いんだよ!」




ユートはドラゴンの背後から急に現れ、足元を爆発させながらドラゴンに急接近する


【キサマァァ!何故生きている!?魔力は消えていたハズ・・・はっ!キサマ隠密スキル持ちか!?】



「全部は防げなかったが……悪いな。昔から気配を消すのは得意なんだよ!」



ユートは全身に傷を負いながらも反撃のタイミングを窺っていた

不意をつかれたドラゴンは攻撃が遅れる





「遅い!神崎流刀術二刀:双嵐(そうらん)!」





ユートの持つ二つの刀がドラゴンの身体中を切り刻む


【グワアアアアアア!キッキサマァァ!人間だと手加減してやったのに調子に乗るな!これで終わりだああああああ!】



ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!



ドラゴンは身体から血飛沫を上げながら身体の周りに爆炎を放つ


【みたか!これが我の力だ!】


ドラゴンの血が飛び散った場所から次々に爆炎が上がる


【クックック・・・我の血には魔力が通っておるのだ!血を浴びてるキサマは耐えられんはず!】






「いや?全く浴びてないが?」





ドラゴンの背後からユートの声がする



「この鱗が逆鱗か?」



ユートは一箇所だけ違う鱗を刀でツンツンしながら呟く


【ハウッ!キッ・・・貴方様!そこだけは勘弁して下さい……

そんなとこ刀で刺されたら・・・我も耐えられない!】


「へぇ〜そうなんだ。じゃあ遠慮なく」


【すみませんでした!もう急に襲いません!ですから穏便に!】


「本当か?嘘ついたらここを刀で千回切るからな」


ユートはツンツンしながら逆鱗を指す


【ウヒィ!もう抵抗しない!敵意はありませんからもうしまってくれ!】


そう言うとドラゴンは頭を地面に擦り付けて降伏した



「キュキューーー!」


「ごふっ!!」


ユートが刀を鞘に納めると子ドラゴンがユートの腹部に突撃してきた


「まっまたお前か……」


「キュ?キュ〜♪」


子ドラゴンはユートの頭に登り頭を叩いて返事をする


【うおおおおぉ!!我が娘よ!心配したぞ!】


今度は親ドラゴンがユートに向かって突撃してくる



チャキ



【アッハイ…大人しくします……】


「分かれば宜しい」


ズキッ



ピコンッ



特殊スキル

脳眼⇒■眼に変わりました





戦闘が終わるとユートは親ドラゴンと事の経緯を話し始めた











「娘を探しに遠くの山から…なるほど。それでこのドラゴンがお前の娘と」


「キュッ!」


ユートの膝に座り干し肉をパクパク食べている子ドラゴン


【そうだ。我がいない間に外に出て、いつの間にか人間共に連れ去られたのだ!】


親ドラゴンは涙を流しながら話す


「んじゃお前に娘を渡すから後は帰れよ」


【うむ!大変迷惑を掛けた!】


ユートは膝に座る子ドラゴンを渡そうとすると子ドラゴンが爪を立ててユートから離れないようにしている


「ギャウ!キュキュキュ!」


【娘よ!そんなにユートを気に入ったのか!?】


「キュ〜キュキュ!」


【ふむ…しかしまた狙われる可能性があるぞ?】


「キュキュ!キュ〜キュウ!」


親ドラゴンは子ドラゴンに説得されユートに話す


【ユートよ。娘がお前と離れたくないと言っているが一緒に連れて行ってはくれないか?】


「はい!?お前はこの子を連れ戻しに来たんだろ?それでいいのか?」


【うむ・・・我としては連れて帰りたいのだが娘が聞かないのでな……それに連れて帰ったとしてもまた連れ去られる可能性を考えるとユートの近くにいた方が安心だ】


親ドラゴンは遠い目をしてユートに話す


「まぁ俺は別に大丈夫だが……」


「キュ!?キュ〜♪」


「おいおい。わかったから」


子ドラゴンはユートの肩に乗りスリスリしてくる


【グッ!我も中々してもらえないのに……】


「知らん!娘を預かるのは了承するが、俺はお前の討伐で来てるんだがそれはどうする?」


チャキ


【もう許して…………

う〜む、我と対話したら納得した。迷惑を掛けたお詫びに鱗や爪を貰ったじゃダメか?】


「まぁそこが妥当な線だな」


【では今剥がすからちょっと待っていろ】


「俺が切ってやろうか?」


チャキ


【・・・】


「冗談だ」


親ドラゴンはプルプルしながら素材を剥がす








【このくらいでどうだろう?】


「大丈夫じゃないか?」


ユートは空間に素材を次々と取り込んでいると親ドラゴンから声が掛かる


【ユートよ。我が娘に名をやってはくれないか?

ドラゴンは親元を離れる際、名を与えられるのが習わしなのだ】


「お前が付けなくていいのか?」


【娘がユートに付けてもらいたいらしい……】


「キュッ!」


子ドラゴンは小さく手を上げながら鳴く


「名前か・・・宝石みたいにキラキラした目をしてるからジュエル……ユエルでどうだ?」


「キュ!?キュ〜キュ〜♪」


「はは、気に入ったか?」


ユエルはユートの周りをパタパタと飛び回り喜んでいる


【ユエルか。いい名前だ!ユエルよ!決してユートから離れるなよ!】


「キュッ!」


ユエルはそう鳴くとユートの背中に引っ付く


【うむ。それでよい!(ちょっと羨ましい)

最後に迷惑を掛けたお詫びにユートに我の加護を与えよう】


「お前の加護?」


【そうだ!我はこれでも偉いドラゴンなのだ!

我の加護があると何かと便利だぞ?

加護があるとドラゴン共達からは恐れられるか敬われるぞ!】


「へぇそれは便利そうだな」


【だろう?我の加護は珍しいのでな、人間では初めてだろうな】


「それは有難い」



【うむ!ではこれより加護を与える!

我は竜を統べる者、皇炎竜グラウディンがその力を認め、我が友としてこの者に我の力を与えよう】



グラウディンが祝詞を唱え終わると頭上から光の粒子が舞い落ち、ユートの身体を包む



「これは・・・温かく心地良い……」



【これで加護が付いてるはずだ。後で確認するといい】


「ああ、ありがとなグラウディン」


【こちらこそだ!娘をよろしく頼むぞ!】



バサッバサッ



グラウディンは大空へ飛び立っていった



「さて、俺達も帰るか!」


「キュ!」



ピリッ



「んっ?誰だ!・・・気のせいか」


ユートは周りを見渡すが誰もいない

ユートは少し注意しながらも来た道を戻りケープ村に帰っていった



















「ほっ危ねぇ危ねぇ!見つかるとこだった…あいつの魔法具借りといてよかったぜ!

あれがあの噂のユートねぇ〜確かに強そうだ

いつの日か闘える日を楽しみにしてるぜ!」


男はユートの姿が見えなくなるとユートとは逆の道に向かって走っていった

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