王都神殿・・・王都ギルドマスター
「さすが王都、神殿も豪華だな」
ユートは王都の神殿に来ていた
昨日のステータスの件と夢の中で父親と母親が話していた事についてアヴェルに会って話しがしたい為
ちなみにユエルはギルドに預けている
ユートが神殿に入ると何人かの神官がいた
その中で一番若そうな男性がユートを見つけ近寄ってくる
「おはようございます。当神殿になにか御用ですか?」
「はい。神様へのお祈りをしたいのですが」
「おお!朝早くからなんと信仰心がおありなのでしょう!
すぐにお部屋にご案内致します!」
ユートは神官の後について行き部屋に入る
中はブランの街に比べ少し派手な装飾がされており、神像は前と同じアストウスの像であった
ユートはアストウス像の前で膝をつき祈りを捧げる
「着いたか」
ユートは前と同じ白い空間に辿り着くとアヴェルの姿を探す
すると急に視界が晴れ、アヴェルが姿を現す
「あっ!ユートくんだぁー!!おっひさ〜♪こっちこっち〜」
アヴェルはコタツに入りながら挨拶をしてくる
ユートがアヴェルに近寄ると後ろからスラッとした男性が現れユートに話しかける
「ユートさんですね。こちらにお座り下さい
今お茶をお出ししますので」
ユートは少し驚きながらもアヴェルの反対側に座る
「初めまして。私はインファントと申します。以後お見知り置きを」
「初めましてインファントさん」
二人は軽く挨拶をするとインファントはアヴェルの後ろに立つ
「アヴェル、今日は聞きたい事があってきた。今日はちゃんとお土産も持ってきたぞ」
ユートはコタツの上に紙袋を置きながら話す
アヴェルは袋を開けると目を輝かせ美味しそうに食べ始めた
「うっ!うーーまーーいーーぞーー!!!!
ユートくんこれどこのやつ?前に王都で食べ歩きしたけどこんなのなかったよ!?」
アヴェルは興奮しながらユートの肩を揺らす
「これはクリスから教えてもらった店のデザートだ。確かゴロゴロフルーツパイだったか」
「ふむふむ〜果物をざく切りにしたりすりおろししたり中々手の込んでるデザートだね〜♪」
アヴェルは一切れだけインファントに渡し残りを一気に頬張る
「ほう。これは確かに美味ですね。酸味と甘味のバランスがとても良い
アヴェル様が褒めるのもわかります」
インファントは味の分析をしながら食べる
二人が食べ終わりお茶を飲んでいるとアヴェルから話しかけられる
「ふぅ〜ユートくんそれで聞きたい事ってなぁに?」
「あぁ、俺の身体についてだ」
ユートは夢での出来事をアヴェル達に話した
「なるほどね・・・夢で出会ったのか〜
ユートくんのパパさんとママさんの言う通り、ユートくんの身体には二人の力が宿っているよ。魂に近い形なのかな?」
「魂だと?」
「うん。意識がある力って事だね
そうだ!ユートくんに魔力について詳しく説明してなかったよね?」
「詳しくは聞いてないな」
「じゃあ魔力の性質について説明するね
この世界にいる生物には魔力がある事は知ってるよね?
その生物達は基本的に一つの魔力に対して一つの属性魔法しか使えないんだ」
「ちょっと待ってくれ!俺が他の冒険者に聞いた話だと魔法師なら何属性か使えるって言ってたぞ?」
「うん。使えるのは使えるね。但し、一度に使用する事は出来ないんだよ
例えば、火魔法+他魔法を同時には使えないだ
理由として同時に使用した場合、属性魔法に変換した魔力同士がぶつかり合い暴走して体内で弾け飛ぶんだ
魔道具なら魔力を通すだけだから問題はないんだけどね」
ユートは少し考えながらアビスオーガとの戦闘を思い出す
「なるほど・・・あの時複合魔法を使用出来たのは父さんと母さんのお陰だったのか……」
「えっ!!そんな事したの!?
というかユートくんそれは普通の人なら死んでるから!
とりあえずこれからは気をつけて使用してよね!」
アヴェルは驚きながらユートに釘を刺す
「こほん、じゃあ話を戻すよ
え〜っと、どこまで話したっけ?」
「魔力同士が暴走して体内で弾け飛ぶだ」
「そうそう!それでね魔力っていうのは変換を重ねて属性魔法に変わるんだよ
魔力⇒無魔法⇒属性魔法って感じにね
だから魔法を使いたい人は最初に無魔法を覚えるんだよ」
ユートは関心したように頷く
「まぁ魔力の話はわかったよね?
それで本題なんだけど、簡単に言うとユートくんには自分とは別に二つの魔力が備わってるんだ
だからユートくんは一度に三つまで同時に属性魔法を使えるって事だね」
「なるほどな。俺が特殊な存在って事か…
それはわかったんだが、俺の身体の痛みはどうなんだ?」
「う〜ん・・・多分なんだけどユートくんが眼を見えるようになったのが原因かな?
眼が見える事によって、今までより情報量が増えたから脳と心臓が追いついてないみたいな」
アヴェルがそう話すとインファントが後ろから声をかける
「ユートさんの身体を少し拝見させて頂きましたが限界まで酷使しなければ大丈夫かと……
おそらくスキルレベルが見れないのは完全に完治しきれてないのでレベルが変動してる可能性がありますね」
「もう!ボクが言おうとしたのに!ぶー!」
アヴェルが頬を膨らませインファントをぽかぽか叩きながら文句を言う
「そうか…じゃあまだ大丈夫なんだな」
「そうだね。ただ連続で使用したりするともたない可能性があるね……」
アヴェルは悲しそうな目でユートを見つめている
「わかった。今後気をつけるようにする」
ユートはアヴェルの頭を撫でながら話す
「ごめんねユートくん…今はボクからは手助け出来そうにないよ」
「まぁ気にするな。アヴェルには新しい人生を送らせてもらった恩があるしな」
ユートが照れくさそうに話すとインファントは微笑み、アヴェルはにっこりと笑う
それから少し話すと時間がきたのかユートの身体が光に包まれ消えていった
「インファント、知神としてユートくんの身体をどうみる?」
「はい。まだ可能性の段階ですがスキルの昇華に近いかと
このまま使用していれば限界を超えると思われます
その時、ユートさんの身体が持つかどうかはわかりません」
「やっぱりそうだよね
あの力はユートくんだけの特殊スキルだからね……
ボク達にも出来る限りの事をしないとね」
「では私の方で少し調べてみます」
「うん!頼んだよインファント」
インファントが空間から消えるとアヴェルもなにやら作業を始めた
ユートは意識が戻った後、神官にお布施を渡し神殿を後にする
ギルドに戻るとなにやら騒がしくなっていた
よく見ると前に何処かで見た事がある顔の男がユエルを捕まえようと暴れているようだ
「キュキュー!!」
「くそ!テメェらもこのドラゴンを早く捕まえろ!」
「「はいアニキ!」」
「オーガンさん!そのユエルちゃんはユートさんの従魔だって言ってるじゃないですか!」
「ふん!俺様はあのブランの街を救った立役者だぞ!こいつも俺の従魔になった方がいいに決まってら!」
オーガンと下っ端二人はユエルをジリジリと取り囲みながら話す
ユートが飛び出すと同時にギルドの二階から男が飛び降りユエルを抱き抱える
「キュ!?」
「てってめえ!俺のもんになにしやがる!!」
「君達の従魔ではないでしょう?
これはユート君から頼まれてギルドで預かっているドラゴンですよ」
少し歳を取った男性がそう話すとオーガン達の足元が氷で固まっている
「ぐっ!動けねえぞ!てめぇ俺様が誰だか知ってんのか!?俺様はあのブランの街を救った立役者だぞ!」
ユートはあれ?あいつは逃げなかったか?と思っていると男性がその問いに答える
「そうなんですか?私が聞いた話では立役者はアレック君とユート君という冒険者だと聞いてますが・・・あなたが活躍したなんて一切聞いてませんよ」
「そいつは嘘だな!俺様は一人で20匹の魔物を倒したんだぞ!
わかったならさっさとこの魔法を解除しろ!」
「「そうだそうだ!オーガンさんは最強なんだぞ!」」
オーガン達は暴れながら男性に訴える
「まぁいいでしょう。このドラゴンの主も来ていますので本人に聞いてみましょう」
「キュ〜♪」
男性はユエルを離しパチンっと指を鳴らすとオーガンに掛かってた魔法が解けユートの方に近寄ってくる
「この方がブランを救った英雄でこのドラゴンの主、ユート君ですよ」
その発言でオーガン達だけではなく、騒動を観ていた他の冒険者達もユートに視線を集める
「初めまして。ユエルの主でブランの英雄と呼ばれてるユートと申します」
オーガン達や周りの冒険者から驚きの声が上がる
すると男性が更に話し始めた
「ちなみにユート君はAランク冒険者でもあるからね」
周りは更に驚きユートを見る
しかしオーガンは納得がいかないのかユートに近寄ってくる
「ふん!てめぇみてえなガキがAランクだと?どうせ不正してんだろよ!」
オーガンは馬鹿にしたように鼻を鳴らしながらユートを見る
だが隣にいる男性がオーガンに向かって声を上げる
「不正ですか?あのアレック君やマーキスが認めてる方なんですよ?
それにこの私、王都ギルドマスターギリアムも彼の力を認めてますよ」
ユートとオーガン達はその言葉に驚く
「ギッギルドマスター様でしたか!
いやー流石の魔法でしたよ。はっはっは!
では我々は忙しいので失礼します!」
オーガン達は慌てて走り去っていった
「ふふっ慌てて出て行きましたね
今度また何かあったらどうしましょうかね〜?」
「ギリアム様うちのユエルを助けて頂いてありがとうございます!」
「いえいえ、私も君の働きには助かっているのでお互い様ですよ」
「キュッ!」
ギリアムは微笑みながらユートを見つめ話す
ユートはギリアムに連れられギルドマスター室に入る
「さて、今回の依頼の件は助かったよ
まさか皇炎竜がいるとは…ギルドの情報不足で済まなかったね」
ギリアムはユートに頭を下げながら話す
「それは仕方のない事だと思います
グラウディン本人も外に出る事はほとんどないと言ってましたので」
「そうかい?まさかグラウディンと会話して説得、更に素材まで貰うとは私の想定外だったよ
そしてグラウディンの娘もね」
「キュ?」
ギリアムは頭を傾げるユエルを見てそう話す
「運が良かったんだと思います
そうでなければ俺の命は無かったです」
ユートはあの戦いを思い出しながら厳しい顔をして話す
ギリアムはユートの話を聞き終わると懐からギルドカードを取り出しユートに手渡す
「今回の件でユート君はAランク昇格だよ
本当ならもっと上でも良いくらいの実力なんだけどSランクから上は国王様に一度謁見してからじゃないといけない規則なんだ。申し訳ない…」
「とんでもない!Aランクでも充分です!」
ユートは慌てながら手を振る
「君ならすぐに謁見の話が来ると思うから今の内に心の準備だけはしておいてね」
「あはは……わかりました」
ユートは苦笑いしながら答える
それからユートはギリアムと素材の買取や身の上話をして時間が過ぎていった
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