第二章 チルチ村
ある〜ひ〜、もりのなか〜、2
「ふんふふ〜ん♪」
森の手前で鼻歌を歌いながら野草詰みに励んでいるポニーテールの女の子
見た目は十四〜十六歳位
髪の色は茶色で健康そうな体付き
「頼まれてた薬草はこの位かな?」
女の子は村の腰を痛めたおばあさんから薬草をいくつか採集してきて欲しいと頼まれていた
「あっ!そろそろジェシカの誕生日だったなぁ〜」
ちょっと困った顔をしながら誕生日プレゼントを考えている
すると何か思い付いたようだ
「そういえばこの前村に来た冒険者が
王都の依頼とかで森の中にあるシメダリアの花を集めてたっけ。
あれ見てキレイな花!って言ってたようなぁ……
よ〜し!あれを摘んでプレゼントにしよう!
確か、ちょっと入った所に咲いてるって言ってたなぁ〜
ちょっとだけなら大丈夫……だよね?」
気合を入れて森の中に入って行った
ユート視点
一方その頃
ユートは最初に降り立った大きな木の下まで歩いてきた
(ちょっと休憩するか)
ユートは木の下に座って休憩し始めた
空を見上げると雲一つ無い快晴で風も無く、
良い天気だな。っと思っていた
(それにしてもこの木はデカイな
近くには木は無く、この木の為の場所みたいだ)
そう感じながら木を見上げる
てってれてーてってれてーてててててー!
やっほー!みんなのこころを清浄しちゃうぞ☆
アヴェルくんだよ〜♪ドンドン!パフパフ〜♪
この〜木なんの木きになる〜木♪
この木は生命樹
この木は意思がある木
森の木を管理している木なんだよー!
この前ウルスが燃やした跡は今では草が生い茂ってるんだ!
それはこの木のおかげ!
ちぃ〜なぁ〜みぃ〜にぃ〜 この木
ちょっとだけ光魔法が使えるんだ〜♪
この周りだけ(光魔法:シャインバリア)で結界が張ってあるから魔物が入って来れないようになってるんだ!
だからここは冒険者にも休憩場所として使われているんだ〜
だけど強い魔物には効かないよ〜
ウルスとかウルスとかウルスとか!
ここにそんなのいない!知らなかった!ってあの駄女神!
この木折れたらどうしてくれるんだっつうぅの!ぶぅーぶぅー
この木作るのにどれだけ神力注ぎ込んだが知らないのかよ!
なにやらブツブツ言い始めたアヴェルくん
あっ長くなっちゃった!てへっ☆
そろそろ終わりの時間だねー!
また来週〜バイバーイ!ノシノシ
「さてと、そろそろ行くか」
数分休んだユートは立ち上がり更に北に向かって歩いて行った
歩く事数十分
「キャー!」
ユートの耳に女性の叫び声聞こえてきた
ユートはその声の方へ走る
女の子視点
「た・・・助けて誰か!」
女の子の周りには三匹のグレーウルフ
女の子の手には小さなナイフ
採集用のナイフの為切れ味も悪い
(花を見つけて集めるのに夢中になってたらいつの間にか囲まれてるなんて・・・)
女の子は死を覚悟した
(あぁ…私の人生ここで終わりかぁ…
村の人の言いつけを守らないで奥まで入った罰…)
そんな事を考えていると後ろの草むらから誰かが飛び出してきた
(!?もう一匹!!)
だが飛び出してきたのは若い男性
自分とあまり変わらない年齢にも見える顔付き
しかし目の前で行われた戦闘に驚きを見せていた
ユート視点
(こっちの方か!間に合え!!)
ユートはザッザッと草むらをかき分け走る
すると目の前に女の子とグレーウルフ三匹を見つけた
ユートは一瞬でグレーウルフの前に立ち、刀を抜いた
ズパッ!
「まずは一匹」
ユートの居合抜きにより一匹が絶命した
それを見た残りの二匹は一瞬怯んで後ろに下がるがすぐに同時にユートに襲いかかる
「そっちから来るとは有難い」
ユートは体を回転させ刀を走らせる
ヒュン
ズパッズパッ!
チン!
「終わりっと」
ユートは刀を鞘に収め、死体を収納する
(狼か。肉食べれるんだっけ?)
そんな事を考えてると後ろから女の子に抱きしめられた
「剣士さまああああああああぁぁぁ!
ありがとうございますうぅぅー!」
ユートはいきなりの事でちょっと戸惑っていた
「ちょ!ちょっと危ないから離れて離れて!」
ユートは女の子が離れると話をし始める
「ありがとうございます!剣士様!」
「いやいや、叫び声が聞こえたから来ただけだよ。とりあえず助かって良かったよ」
「ほっっっんとにありがとうございます!
感謝しきれません!」
深々と土下座する女の子
「あぁ〜土下座とかいいから頭を上げて
なんでこんな森の中にいたの?」
女の子が襲われていた理由を話した
「なるほどね
確かあの花は甘い匂いを発してるから魔物も寄ってきやすいみたいだね」
ユートはこの一ヶ月で体験していた為、その事を女の子に話した
「ええっ!そうなんですか!
だから囲まれていたのね・・
ううっ…プレゼントしようと思ってたのに……」
「プレゼントにしても大丈夫じゃないかな?
その花そこまで強く匂いは出てないし、近くに来ないと気づかない
それに摘んだら徐々に匂いは落ちると思うよ」
「そっそうなんですか!
じゃあプレゼントにします!」
女の子はユートに感謝しながらユートに尋ねる
「あっあの!私の名前はサラっていいます!剣士様のお名前は?」
「俺の名前はユート。よろしく
サラは近くの村から来たんだよね?
俺、その村に行こうとしてたんだ。道案内頼めるかな?」
ユートがそう尋ねると
「はい!私がユートさまを私の村に案内します!」
キレイな敬礼をしてそう話す
「あははっ!別に様付けなくていいよ。呼び捨てでもいいし」
ユートがそう言うとサラは顔赤くし、もじもじしながら
「呼び捨て!命の恩人には・・・むっ無理です!じっじゃあユートさんでお願いします!」
「別に呼び捨てでもいいんだけど…まぁいいか。じゃあ道案内よろしくね。サラ」
「はい!かしこまりました!」
そしてユートはサラの道案内により村まで辿り着いた
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