旅立ちの日
ゴブリン襲撃から一週間
燃えた家を建て直したり
壊れた柵を補強したりと忙しい毎日
そんな毎日を過ごしていたユート
「ユートがゴブリン共を倒してくれたお陰で助かったぜ!ガハハッ!!」
ガボンはいつも通り豪快に笑いながらユートの背中を叩く
「運良く間に合って良かったです」
「さらにゴブリン共の巣穴まで壊すとはさすがはユート!ガハハッ!!」
また背中をバシバシと叩く
「多分これで当分は襲ってこないと思いますけど一応警戒はしておいて下さいね」
「おうよ!村長がまたこんな事にならないよう、ブランの街にあるギルドに依頼しとったわ!」
「ブラン…それはここから近いんですか?」
「ブランか?王都よりは近いが馬で大体四日はかかるな〜」
「なるほど」
ユートは考えていた
ユートの第二の人生の目的はこの世界を見て回り楽しむ事
(なら次はブランの街に行ってみるか
そんなに遠くなさそうだし、ゆっくり行ってみるか!)
「そういや、今日はブランから月一で行商人が来る日だな」
「行商人ですか?」
「おう!この村にゃ食糧とか衣服とか足りないもんが多いんでな!
月一で行商人が来るんだわ。んでうちの名産品のはちみつとかを買い取ったり物々交換をすんだ!」
(なるほど
だから村では作ってない物がたくさんあったのか)
色々考えながら作業をし家に帰る
「おかえりなさい!ユートさん」
「ただいまサラ」
家に帰ったユートはサラと色々な話に花を咲かせていた
おーい!ジョーイさん達が来たぞー!
外から村人の声が聞こえる
「あっ!そういえば今日はジョーイさんが来る日だったの忘れてた!急いで準備しないと。」
「ジョーイさん?」
「ジョーイさんは街から物を売りに来る行商人さんですよ
私も買いたい物とか交換したい物がたくさんあるからすぐに行かないと!」
そう言いながらサラは慌てて家の中をバタバタッと小走りしていた
「皆さんお久しぶりです。
今日も色々持って来ましたので見てください!」
行商人ジョーイが馬車から色々な物を並べて行く
村の人達は次から次へと並んでいる物を物色していく
「あの人がジョーイさん?」
「はい!あのちょっとお腹が出てる人がジョーイさんです!
もういっぱい人がいますねー
私もジョーイさんに頼まれていた物を渡さないと」
するとサラは小走りでジョーイさんにはちみつの入った壺をいくつか渡し、食べ物や衣類と交換している
ユートはそれを見ながらゆっくりとサラの近くまで歩いて行く
「あっ!ジョーイさん!彼を紹介します。
ユートさんです!
最近村がゴブリン達に襲われた際、村を救ってくれたんです!」
「初めましてユートと申します」
「これはこれはご丁寧に。初めましてユートさん
私は行商人をしているジョーイと申します。
以後お見知り置きを」
丁寧な挨拶をしたジョーイ
「 ユートさんは凄いんですよ!
一回でグレーウルフを二匹やっつけたり!
無傷でゴブリン達を退治したり!それはもう凄いんです!」
えっへん!っと言わんばかりに褒めちぎるサラ
「いやいや、そんなに褒める事でもないよ」
だがジョーイはその話を聞き、何か考えているのか目を閉じていた
「グレーウルフ二匹を一回で…………
ユートさん……それだけの腕ならば色々な魔物を狩っているのでは?」
「ええ、森の中で色々と狩ってはいましたが…」
するとジョーイは目を開きユートを見つめた
「なるほど!では色々な魔物の素材、魔石なんかもお持ちで!?」
「あー確かにありますね
今出しますので少々お待ちを」
ユートはスペースを唱え、中から
ホーンラビットの毛皮、魔石
ワイルドボアの毛皮、魔石
グレーウルフの毛皮、魔石
ゴブリンの魔石
を取り出し、ジョーイに見せた
「ふぉおおおお!これはグレーウルフの毛皮!
傷が少なくとても美しい!
こちらの魔石もお見事!素晴らしい!」
ジョーイは感動したようにはしゃぎだした
「こほん。失礼。一瞬取り乱してしまいました。」
「いえいえ……ちなみにジョーイさん、それって売れますか?」
「売れますよ!!むしろバッチコーイです!!!!
こんなにキレイだと今の相場なら……」
計算し始めるジョーイ
それにユートは一言
「ジョーイさん、売れるのならそのお金で俺をブランまで乗せてくれませんか?」
「へっ?私としてはむしろユートさんみたいな強い方なら護衛として雇いたい位ですが?ホントによろしいので?」
「ええ、ブランまで行った事が無いもので
道案内しながら乗せてくれると助かります」
「なるほど。私は全然構いませんよ
ではブランまでの運賃から差し引いた残金をブランに到着次第お支払い致しますね」
「それでよろしくお願いします」
「わかりました。ではそうですね…後二時間後には出発致しますので」
「わかりました。ではまた」
ジョーイと別れサラと家に帰宅すると
「ユートさん!ブランに行くなんて聞いてません!!!!」
「おっおう、朝ガボンさんに聞いてから次に向かうならブランかな〜って……」
それを聞いたサラはユートに聞こえない位小さな声で
「ガボンさん…………ちょっとお、は、な、し!してこようかな…」
「サラ?どうしたの?」
「あっ!いえ、なんでもありません!
そっかぁ……ユートさんは冒険者だからいつかはいなくなるのはわかってたけど急で……」
「ごめんごめん。 この前ゴブリンの巣を壊滅させたし、村長がブランに依頼出してるって聞いてこのタイミングなら大丈夫かなって思って」
「確かに…大丈夫だと思いますけど……」
「またその内、村に立ち寄るから」
「絶対ですよ!ぜっっっっったいに来てくださいね!!」
「うっうん…立ち寄るから!絶対に!」
(今日のサラはちょっと怖いな…)
そう思いながら部屋に置いておいた私物を片付け、部屋の中を掃除した
二時間後
「ではユートさん、出発しましょう!」
「はい!ジョーイさん道案内よろしくお願いします」
「かしこまりました!では出発!」
こうして村から出て行くユート達一行
後ろからは村人の様々な声が飛んでくる
また来月待ってるよ!
また来てねー!
ユートおにいちゃあああん!またね〜!
ユートまた肉で一杯やろうぜ!!ガハハッ!!
ユートくんまた村に立ち寄ってくれー!
ユートさあああああああん!また会いましょうねええぇぇ!!
ユートの旅はまだ始まったばかり
チルチ村編 ~完~
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