第三章 ブランの街
ブランへの道のり
ガラガラ
ガラガラ
チルチ村を出発して三日後の朝
今日も快晴だ
この日もユートは荷馬車でまったりとしていた
するとふいに行商人ジョーイが話しかけてきた
「つかぬ事をお聞きしますが、ユートさんはどこ出身なのですかな?」
急な質問にユートは考え始める
(そういえばそこらへんの設定は考えてなかったな……。
転生?転移?しまして異世界から来ました!なんて言えないしな・・・)
少し悩んでいると
「あっいやはや…聞いては不味かったですかな。申し訳ございません。」
「いえいえ!実は……遠くの島国から仲間と旅をしていたんですが、途中で魔物に襲われまして…仲間も散り散りに逃げ、命からがら逃げた先がミランジュ大森林の生命樹の下なんです。」
ユートは脳をフル回転させ、なんとか作り上げた内容を話した
「なるほど…それはお気の毒に……お仲間が見つかると良いですな」
ジョーイはハンカチで目元を拭いていた
「いつかまた会えると願っています」
「協力出来る事があれば私にご相談下さい!」
「はい!その時は必ずご相談します。ありがとうございます」
そんな話をしながらジョーイの商隊はゆっくり進んで行く
ジョーイの商隊は全部で三つ
それに加えてブランの街から依頼を受けて護衛している一パーティ
剣士、弓士、魔法師、狩人
良いバランスのパーティだ
ユートがそう思いながら彼らを見ていると
ユートの魔力感知に何かが引っかかる
(前方の茂みに……六
後方の木の後ろにさらに四
こっちを様子見してるみたいだな)
ユートは感知した事をジョーイと護衛パーティに話す
「良く感知したな。うちの魔法師でも集中してようやく見つけたらしいが」
慌てた様子のジョーイに対し、パーティのリーダーらしい剣士が話す
「前に六人、後ろに四人か…前だけなら俺らだけで大丈夫だが、一緒に来られると不味いな…俺らパーティが先行して戦闘してる間に全速力で逃がすしかないか」
少し悩みながらも剣士はそう話す
「後ろの四人は俺が行きますか?」
ユートは軽く話す
「おい!お前一人では無理だろ!
第一お前は護衛対象だろうが!!」
ユートの力を知らない剣士は声を荒らげる
だが実力を知ってるジョーイはユートに頼む
「おお!ユートさんが戦ってくれるのならば安心です!報酬に上乗せしておきます!」
もう勝ったかのように話すジョーイ
「あはは…って事でジョーイさんが認めたんでそれでよろしくお願いします」
それを聞いた剣士は諦めたようにため息をついた
「はぁ〜わかったわかった。
そんな簡単に認めるって事はそれなりの腕はあるようだな。じゃあ商隊を真ん中に集めて各個撃破の方が良さそうだな」
作戦が決まり実行する
「じゃあ行くぞ。三、二、一、ゼロ!」
カウントダウン後、ユートはすぐにブーストを付加し、目標に一直線に走る
(見つけた!)
急に現れたユートに驚きつつも、武器を構え襲い掛かる
「なんだてめえ!!
一人で突っ込んでくるなんてバカじゃねぇのか!おめぇら殺るぞ!」
(ただの盗賊か
魔力は少ないし、案外楽そうだな)
ユートは盗賊の身体から出ている魔力を見てそう考えた
ユートは刀を握り、突っ込んでくる盗賊達の間隙を縫って走り無力化する
キィーン
キィーン
キィーン
キィーン
ドスッ! ドスッ! ドスッ! ドスッ!
ユートが弾いた武器が宙を舞い地面に刺さる
「まだ……殺る?」
殺気を込めた言葉を放つ
殺気に当てられた盗賊達は
一人は泡を吹き倒れ
一人は股を濡らし
一人は直立不動し
一人は体を震わせている
「バッ…バケモンが……」
ドサッ
盗賊達は次々に糸が切れたように意識を失った
ユートはスペースから蔓を取り出し盗賊達を
ぐるぐる巻きにして引き摺りながら商隊に戻る
「おお!ユートさんご無事でしたか!」
ジョーイはあたふたしながら話しかけてきた
「この位なら全然平気ですよ。
あっちもそろそろ終わりそうですね」
「そうですな
腕は確かなパーティですから心配はして無いのですが、
それにしてもこれだけ早く戻ってきて、更に無傷とは噂通りの腕前ですな!」
「いえいえ。とりあえず無力化して縛ってきたんですが、ジョーイさんに任せても大丈夫ですか?」
「わかりました。ブランに着き次第、憲兵に引き渡しておきましょう
とりあえずこやつらを荷台に乗せましょう」
ユートはそのまま荷台に乗せ、更に固く縛った
「よう!やけに早く終わったな〜お前!」
笑顔で話しかけてくる剣士
「ジョーイさんが言ってた通りだな!
しかも傷も無しなんてお前どんだけ強いんだよ!」
少し傷を負っていたのか、魔法師から回復魔法を受けながらそう話す
治療が終わりパーティが倒した盗賊達をさっさと荷台に乗せ出発の準備をする
「また襲われるかもしれん!急いでブランに向かうぞ!!」
リーダーの掛け声で商隊はブランに向けて出発した
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