概要
1722年ロンドンから北アメリカ大陸へ錬金術を巡る冒険が始まる
17世紀アメリカ生まれの錬金術師ジョージ・スターキーが記した”哲学者の水銀”の製法。それは、銅を金に変えたり永遠の命を得る事が出来る奇跡の水。ロンドンで実験助手をしていたイーデン・ウッドハウスは、”哲学者の水銀”の鍵となる”エーテル”を探すためアメリカへ。しかし、その旅は、移民団の令嬢シャーロットや謎のインディアン娘、ボストンの有力者や大陸の薔薇十字団を巻き込んで思わぬ方向へと向かう。陰謀や策略が蠢く北アメリカ大陸で果たしてイーデンの旅はいったい何を目指すことになるのか?
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- ★★★ Excellent!!!錬金術が化学と同義であった最後の時代を楽しむ
十七世紀中ごろに活躍した錬金術師ジョージ・スターキーの哲学者の水銀(sophic mercury)は賢者の石へと繋がるものとして後世に伝わっている。スターキーの影響力は多くの化学者に渡り、ボイル、ロック、ライプニッツ、ニュートンも彼の著作を読んだとされる。
錬金術を中世・近世の時代の産物とすると思うかもしれないが、一六九二年にはあのセイラム魔女裁判が起きており、この時代は中・近世の価値観から近代へとその歩みを進める変革期でもあった。そのことは経済学者のケインズが、ニュートンをして理性の時代の最初の人ではなく、最後の魔術師だと評したことからも察することができる。
一七一八年に海賊エドワー…続きを読む