概要
千年生きれば、他のエルフに狙われる。理由はそうであるから、だとしか本人達もよくわかっていない奇妙な生き物だ。そのすべてを返り討ちにし、生き延びたひとりのエルフがいた。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!武の領域でもエルフが強いのは当たり前である。
ファンタジーに登場するエルフと聞いて、どのような生物をイメージするだろうか。容姿端麗、不老、耳が長い、魔法が得意……様々なイメージがあるだろうが、本作ではまずそんなエルフの独自の生態や価値観を解説するところからスタートする。
死なないからとにかく増える。一度裏切れば何百年も恨みを買い続けることになるので信義を重んじる。千歳を超えたエルフは若いエルフから命を狙われる。
そして何より、長く生きている分エルフは武芸に長けている。
作品によっては軟弱な種族にも書かれるエルフだが、本作のエルフはそうではない。
これは長く生き続けているエルフが弱いわけがないというシンプルな思想に支えられた、武闘派エル…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『王の花束』は、きっといつか『星を斬る』ものへ
魅力的な主人公とはなんだろうか。
ありきたりではあるが、自分はなにかしらの『信念』を持っている主人公だと思う。
本作の主人公、梔・ルディ・クラン・ハビムトは、女エルフだ。
寿命千年を超えるエルフが『エンシェント』と呼ばれる世界で、クランはまだ五十かそこらの若造。つまり、ひよっこだ。
クランの目標は、『星』を斬ること。
『星』はもうべらぼうに強い。国中の、いや世界中の強者達が、「勝てるはずがない、勝てなくて当然だ。星に戦いを挑むなど馬鹿馬鹿しい」とサジを投げた存在だ。
しかしクランだけは、その『星』をいつかぶった斬るつもりでいる。
誰も彼もが「勝てるわけがない」と、『星』の剣を前にしてヘ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!よく粗食に耐え、砂漠で太って帰ってくるような生き物がエルフである。
こんな一文をあらすじに持ってくる時点で、作者のセンスがうかがえる事と思う。「おいおい」と愉快に思われた方は迷わず読んでほしい。(こんなレビューに目を通す必要はない! 期待を裏切られる事は無いから安心して読み進めていただきたい)
そうは言っても作品の雰囲気や傾向ぐらいは知りたい方もおられると思う。
「星を斬るクラン」は、エルフの少女クランの冒険活劇だ。あらすじ通りの愉快な生態を持つ、それでいて美しい生き物であるエルフ、その中でも飛び抜けて美しい少女/未熟者/うっかり者/世間知らずの身の程知らずであるクランが溌剌と旅をする物語である。
旅立つ理由は武者修行。
抱いた志は天より高い…続きを読む