第26話:宿に到着
俺達は現在、泊まる宿を探していた。
「ふーむ。ギルドの職員にでも聞けば良かったか?」
「ちょっとそこのお兄さん!宿をお探しかい?」
俺は声を掛けられた方を振り向くと、一人の女性がこちらに向かって走って来ていた。
歳は十代前半と言ったところだろう。赤毛のショートカットをした可愛らしく活発な子だ。その声に俺は返答する。
「ああ。いい所が無いか探していた所だ」
「ならうちの宿はどうだい?いい宿だよ!ご飯も美味しいんだ!」
まあ丁度いいだろ。ご飯が美味いなら文句はない。
「ならその宿にしようかな?案内してもらえるかな?」
俺がそう言うと、少女は満面の笑みで案内してくれた。
「ありがとうございます!じゃあ案内するから着いてきて!」
そう言って少女は俺達の前へと出ると、鼻歌をしながら案内をしてくれた。
少女は俺に問いかけて来た。
「王都に来たのは初めて?」
「そうだ。今はコイツらと旅をしているんだ」
そう言って俺は二人の頭に手を置いて撫でる。
二人は顔をふにゃっとして気持ち良さそうにしている。
「こんなに可愛い女の子が二人も!?それに小さい…まさかロリ────」
「んなわけねぇだろ!俺にそんな趣味はねぇ!」
素早くツッコミを入れる。
「まさか私も───」
「だからそんな趣味は断じてねぇ!」
再度、素早く俺は少女にツッコミを入れる。
俺は決してロリコンでは無いのだ!断じて!
それから雑談をしながら向かった。それとわかったことは、少女の名前はメリル。宿屋の一人の娘だ。
「着いたわよ!ここが今日泊まって頂く宿、安らぎの宿へ!さあ入って入って」
俺達は言われるがままに中へと入る。
そしてメリルが口を開く。
それは俺に向けたものでは無く、他の人だった。予想からするに家族、両親か?
「お母さん、お客さんを連れて来たよー!」
やはり両親に向けての発言だったようだ。
「なにメリル?お客様を強引に連れ込んだの?」
すると奥から現れたのは、メリルを大人にした様な感じの女性だった。
目が合った。
「あら、いらっしゃいませ。うちの娘がご迷惑をお掛けしたみたいで」
「そんなことはない。丁度宿を探していた所だ。それに飯が美味しいらしいからね」
「うちのご飯は美味しいですよ。あっ、申し遅れました。私はこの宿の女将をしています、リズベルと言います。宜しくお願いします」
リズベルさんは頭を下げて一礼する。
それに対して俺も自己紹介をする。
「今日から冒険者になった秋人だ。こっはゼノアとフィアだ」
「よろしくなのじゃ」
「よろしく」
「あらまぁ、宜しくお願いします。そうでした、部屋はお一つにしますか?」
「いや、部屋は────」
「「一緒で(なのじゃ)」」
俺が部屋を別々にしようとする前に、ゼノアとフィアが揃って言った。
「……分けないのか?」
俺がゼノアとフィアに問うと、ゼノアとフィアが「何故部屋を分ける必要がある?」とでも言いたげな表情でこちらを向く。
「逆に問うのじゃが…分けるのか?」
「そうだよお兄ちゃん」
上目遣いで俺へと視線を注ぐゼノアとフィアの二人。
………くそっ!可愛いなちくしょう!
俺は逆らうこと無く承諾するのだった。
だって可愛いんだからしょうがないだろ?
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