第27話:おはよう
「ふぁ~」
目が覚めると、俺の両脇にはゼノアとフィアが俺の腕を挟んで、気持ち良さそうに寝ていた。
胸が当たっていてこれは中々…
寝言なのかゼノアが「ご主人様、そこはダメなのじゃ」などと言っている。一体どの様な夢を見ているのやら。
俺が腕を抜いて動こうとすると、フィアとゼノアの挟む力が若干強くなる。
どうするか悩んでいるとゼノアが目を擦って起きる。
「ふぁ。ん…。もう朝、かのう?」
俺は朝の挨拶と起こしちゃった事について詫びを入れる。
「おはよう。起こしちゃって悪かったな」
「おはようなのじゃ、ご主人様よ。あと気にすることじゃないぞ」
「そうか」
俺はゼノアの頭を撫でる。それと同時に今は何時位なのかを、日の明かりを見て確認する。
んー。この陽の昇り具合いとお腹の空き具合いからすると────八時前位かな?取り敢えずフィアを起こして朝食を取りに下の食堂に行くか。
俺はフィアから腕を抜いて肩を揺すって起こす。
「起きろフィア。もう朝だぞ」
「ふぁ~……ん~。朝?」
「あぁ朝だ。朝食を食べに行くぞ」
「…うん」
俺達は下に降りる。するとリズベルさんが居り、目が合ったので挨拶をする。
「おはよう」
「あら。おはようございます。よく眠れましたか?」
俺は昨日の事を思い出す。
生活魔法で体を綺麗にし、昨日はベッドに俺達三人で寝た。少し小さ目のダブルベッドを使って三人で寝たので窮屈だった。
それもそうだろ。本当は二人用なのに三人で詰めて寝たのだ。しかもだ。二人は俺にくっつきながらしかも腕を抱き締めて寝たのだ。なので当たるものは当たる。何かって?胸とかだよ!だから俺は寝ようにも寝れなかった。結局寝たのはベッドに入って三時間後に寝れた。
危うく寝不足になる所だったぜ☆
リズベルさんには苦笑い気味だったかも知れないが、俺は「よく眠れたよ」と返して置いた。
「そうだ。朝食食べれるかな?丁度お腹が空いていた所なんだよ」
俺がそう言うとリズベルさんは「朝食を用意するので座ってお待ち下さい」と言われたので、俺達三人はカウンター席へと座る。
宿代(食事込み)で金貨一枚を渡してある。何泊するかは不明な為、後でお釣りを貰う様になっている。
ゼノアとフィアはまだ眠いのか、目がしょぼしょぼとしている。
ふぅーむ。可愛い!
俺は食事が来るまでに今日の予定を考える。
とは言っても盗賊達から奪っ…頂いたお金が少ない為に、ギルドで依頼を探そうと考えている。
ギルドに行って一気に稼げそうな依頼を受けると言う分けだ。我ながら良い考え過ぎる。
っとそんな事を考えていると、リズベルさんが朝食をカウンターから出して来た。
「はいよ。今日はパンにスープだい」
俺達三人はそれを受け取るなり食べ始める。
俺はパンにかぶりつく。
そして。
「硬い…」
その言葉に答えたのはリズベルさんだった。
「それはそうよ。柔らかいパンなんて貴族様とかじゃないと食べれないよ。買うにしても高いからね。あとスープに浸して食べるんだよ。パンに合う味の筈だ」
それを聞いた俺は思い出す。この世界の文化は中世のヨーロッパ並だと。
俺は言われた通りパンをスープに浸す。
硬いパンにスープが染み込んでいく。
そして、スープが染み込んだパンを口の中へと入れる。
「おぉ。これは美味いな」
染み込ませたスープの味がパンにマッチして美味しい。スープは具沢山のミルクスープ。他の二人も「美味しい」と言って食べている。二人のその笑顔、まさにグッド!
そして食べ終わった俺達は、冒険者ギルドへと依頼を探しに行く事にした。
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