第22話:今度こそ出番が欲しいです

 嫁と妹ができた俺はいつもと変わらない───いや、片方には嫁となったゼノア、もう片方は妹(仮)のフィアが俺の腕を組んでいる。


 現在は三人の空間が森の中で構築されていた。

 両手に花とはこの事を言うのだろう。


 そして魔物が現れるも瞬殺される。なんと哀れな。だが獣などは、俺達に勝てないと感で分かるのか襲って来ない。襲って来ても強そうな(見た目が)獣だけだ。


 それから数時間すると村が見えてきた。日が落ちる前に村へと着いたのは良かった。良かったのだが村から煙が上がっていた。



 「村からこんなに煙が出る筈もない。一つあるとすれば…」



 ゼノアを見ると同じ事を思ったのか頷いた。


 高確率でこれは──────



 「盗賊、だな」

 「じゃろうな」


 「フィアこれから襲われているだろう村に行く。大丈夫か?」



 フィアは「村が襲われている」と聞くと掴んでいる手に力が入る。



 「早く助けに行くの!早く!早く!」

 「分かった。俺の背中に乗ってくれ。急ぐぞ」



 フィアは頷く。俺は乗りやすい様にしゃがんで、フィアを背中に抱えて走り出す。あとからゼノアが追ってくる。


 村に着くとあちこちから火があがり煙が出ている。村を見渡すと村人だろう死体が複数あった。そしてここ襲っている元凶を探す─────居た。


 その元凶は俺とゼノアが予想していた盗賊だった。ボロボロの服や装備品に手入れをされていない武器。


 そしてあちこちから村人達の悲鳴が上がる。そして近くから、俺達では無い誰かの悲鳴が聞こえた。



 「だ、誰か助けて!」



 その声の主を探すと居た。その声の主は少女だった。今にも盗賊の男に連れて行かれる所だった。


 マップで盗賊の数を確認する。数は二十人。中規模の盗賊団のようだ。


 俺はスキルの<縮地>を使って、少女を連れて行こうとする盗賊の首の動脈を斬る。盗賊は声を上げる間も無くその命を散らす。盗賊が死んだ事で、体制を崩した少女を俺は支える。


 少女はその短な間で、自身に何が起こったのか理解を出来ないでいる。



 「……え?たす、かったの?」

 「ああ、怪我は無いか?」

 「だ、大丈夫です。その、みんなを、村のみんなを助けて下さい!」



 少女はお礼して俺に助けを求めて来た。俺はそれに応える。



 「分かった。だがその前に火を消さないとな」



 そう言うと俺は火を消すために魔法を唱える。使用する魔法は村全体の火を消すために範囲魔法にしてある。



 「ウォーターレイン」



 すると村の上空に雲が出て来て雨が降ってくる。それは次第に強くなって行き火が収まる。


 俺はフィアと少女をゼノアに預けて盗賊を倒しに向かう。



 (今度は出番があって良かったよ)



 出番があって一安心する秋人であった。

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