第13話:村人達は…

 盗賊が現れたと言う報告を受けて老人もとい村長は言う。



 「スグに人を集め子供達は家の中へと避難させるのじゃ」



 そう言って指示をだして外へと出て行く。


 俺とゼノアは村長に続いて一緒に外へと出て行く。


 外に出ると村の男達が集まっており盗賊と対峙していた。



 「お前等、命が欲しかったら有るだけ食料を持ってこい。いいな?」



 盗賊のリーダーだろう男性がそう言うと後ろから他の奴が。



 「ボス、女を忘れてませんかい?」

 「そうだったな。あと女を用意しろ」



 そう言うと村の若い男性達が盗賊達の発言について言う。



 「お前等何言ってやがる。やる訳ないだろ?馬鹿なのか?」

 「本当だぜ、盗賊だからって調子に乗りやがって」

 「女?お前等にはそこいらの獣で十分だろ?」



 その発言に盗賊達は次々と青筋を浮かべていく。



 (いやいやいや、挑発してどうするの!?相手は盗賊だぞ?)



 「おい。いまなんつった?そこの村長らしいやつ覚悟は出来てんだろうな?」



 盗賊達のリーダーがそう言うと村長は。



 「じゃからお主ら盗賊に構っている暇はないんじゃよ。今は収穫の時期だから忙しいんじゃ。はよ帰らんかい。今なら見過ごすが?」



 (村長も挑発してどうすんだよ!?立場は盗賊達の方が上だろ。ほらさっき以上に青筋浮かべて怒ってるじゃんか!)



 盗賊のリーダーが俺とゼノアをみる。そしてニヤニヤしながら言う。



 「そこのお前、今すぐにそいつをこっちに寄越せば帰ってやる」



 リーダーはゼノアを指さして言った。それに対して俺が言おうとすると村長が。



 「お前にや「何言っとるのじゃ?この人はお客さんじゃぞ。盗賊如きが何を言っとる。はよ帰れ」…るわ…け………」



 (なんでそんなに死に急ぐの!?村人が盗賊に対して取る行動じゃないよね!?)



 そして遂に耐えきれず限界になった盗賊達のリーダーが命令を出す。



 「お前等構うな女とアイツ以外殺っちまえ!」



 アイツとはゼノアの事だろう。殺意が俺に向いて口を開こうとした時に、村長が。



 「お前達、村人の実力をアイツらに見してやるのじゃ!」

 「なに、全て殺してしまっても構わんのだろ?」


 (なんでそのネタを知ってるんだよ…)


 「ふっ、先に手を出したのはアイツらじゃ。我ら村人を敵に回したこと、地獄の底で後悔させてやれ!」


 

 俺は固まる。何故か?それは村人(村長含む)からでる尋常ではない覇気を感じ取ったからだ。


 「うっ、か、構うな、殺れ!」


 盗賊達は怯むが、リーダーの命令は絶対なので剣や斧で攻撃をしてくる。


 すると村人達は目の色を変え口角を三日月の様に釣り上げて、獲物の鎌や短剣を構えて素早い動きで盗賊達へと迫る。


 「なっ!?コイツら──」


 盗賊の1人が声を上げている途中で、迫ってきた村人が、鎌で喉を掻き斬って絶命させる。

 他にも短剣が喉や目、頭、心臓などに刺さって次々と数を減らしていく。



 「や、止めてく───」

 「死にたくな───」

 「なんだよコイツら───」

 「ボス助けて─────」



 そして村人達は



 「盗賊が何を言ってる?」

 「戦闘は楽しむものだろ?」

 「お前等に慈悲はない」



 俺は村人達が盗賊達を蹂躙している光景を見て。



 「村人…だよな?」



 村長に目を向けると。



 「これ位出来なければ村人はやってられんのじゃよ。こうやって食料、女目当てで襲われる事があるからのう。それにここの魔物は強くて盗賊達は滅多に来ないんじゃよ」



 俺は「そんなの村人じゃねぇ!」と思いつつも目の前の光景を再び見る。



 ある者は拳で殴り蹴り飛ばして。


 ある者は背後へと回り短剣や鎌で喉を掻き斬ったり。



 その村人達は、どこかの星にいる某戦闘民族の様に強かった。



 そして、リーダーを残してスグに戦闘が終わるのだった。

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