第12話:村に着きましたが……
──アルタイルに乗ること3時間。
飛んでいると村が見て来たので、森の中に降りる。
「ありがとうな。また頼むよ」
俺はアルタイルにそう伝えてから召喚を解除する。村までの距離はあと10km程になった。
「ここからは歩いて行くぞ」
「うむ」
流石にアルタイルでも大騒ぎになるので歩いて向かう。
森の中を歩くが魔物は俺とゼノアを遠目にからしか除いてしかこない。何故か?それは簡単、魔物達はゼノアが発する強さに怯えて襲って来ない。
それに対してゼノアは「腑抜け共なのじゃ」と言っていた。
希に襲ってくる獣はいたが「弱いのじゃ」と言って倒していた。
それに対して俺は
(竜王だからなあ~。それに俺とゼノアはレベルがおかしいからな?な?)
レベルが???の俺が言うな?ハッハハハ─
それからも魔物の集団が襲って来ることもあったが、全てを「妾がやるのじゃっ!」と言って全滅させていた。倒した中には獣も入っており、食料確保の為に血抜きと部位事に異空間庫に保管してある。
異空間庫の中は時間が停止している為に、腐敗などが起こることはなく、暖かい物も暖かいまま取り出せるのでとても便利なのである。
そして村が見えてきた。村と言うよりも集落に近いだろうか。だがそこは少人数ながらも老若男女、子供達がせっせと畑仕事をしていた。
家は山にある木で作られた1階建ての別荘って感じの建物だ。
俺とゼノアは村の中へと入って行くと、俺とゼノアに気づいた村人が話し掛けてきた。一人の老人へと話していた。
話し掛けられた老人は、俺とゼノアに気づくと警戒しながらも近寄って話し掛けてきた。
「そこのお二人、この村に何か用かね?」
若干の警戒をされながら聞かれた。他の村人立ちも俺とゼノアを警戒して遠目に見ている。
「ああ、村に勝手に入って悪かったよ。俺は旅の途中に通りかかった者だ。それとここは村でいいのか?」
俺が言うと老人はここが村だと言って、俺とゼノアが誰なのかを聞いてきた。
「そうだな、俺とコイツは旅をしている者だよ。丁度森を抜けたらここに出たのだが」
「森を抜けた?ここの森は他の森と違ってレベルが高いのじゃが?」
森を抜けたと言うと老人が訝しんだ目を俺とゼノアに向ける。他の村人達もそうだ。
「離れた場所から魔物を倒しながら歩いていたらここに辿り着いたんだよ」
「離れた所と言いうとハーナレの街か。それにここいらの魔物を倒せて歩ける程に強いのか」
俺は間違った事は言っていないぞ。勝手にあっちが誤解した事だからな?
「まあそんな所だな」
俺はそう言って曖昧にしておく。
そして話していたら俺の周りに村人達が集まって来た。そこで老人が。
「悪い人ではないようじゃしそれに人が集まってきた、取り敢えず家に入るのじゃ、少し話そう」
(なるほど悪い者ではないか確かめていたのか)
俺はそう納得して、少し警戒しながらも老人に言われた通り家の中へとお邪魔する。
家の中に入ると、内装はこの近くで取って来て作っただろう木のテーブルや椅子、棚などがあり外見と同じ、山にある別荘って感じの内装だった。
椅子に座るように促されて座るなり、老人は話し出す。
「二人は旅人だと言ったのう?」
「そうだが?それがどうかしたか?」
俺がその問に答えると老人は「ならしょうがないか」と言って話し出す。
「今ここの近くには盗賊達の根城がある。今現在はこの村は盗賊達には見つかってはいないのじゃよ。今回警戒したのは2人が盗賊かと疑っていたからじゃ。済まないのう」
老人は頭を下げて謝る。俺は「気にしてない」と言うと老人は「済まないのう」と言う。その後老人は「それに」と言って続ける。
「それにもしかするとこの村を見つけるじゃろうが、見つかると後々面倒臭いんじゃよ。2人には早々にこの村を出て行って貰いたい所じゃが今は夕方じゃ。今日一日だけ泊まって行ってくれ」
そして老人が語るにはこうだ。
現在この集落は近くに盗賊達の根城があるという。その盗賊達はもしかするとここを見つけて来るかもしれないというのだ。そして盗賊達に見つかる前にここを出て行って貰いたかった、と。
俺は「なるほど」と言って頷く。
現在は夕方。マップで確認した所、20km先に街があるみたいだ。俺とゼノアなら問題無く先に進めるだろうが──おっと、タイミングが悪かったみたいだ。
複数の足音がして村の入口から覗いて外を確認してみると、13人の剣や斧を携えた集団がこの村に入って来た。
マップで一人一人のレベルを確認するが、平均レベルが45とわりと高いのだ。
そこに、扉を物凄い勢いで開けて若く筋肉質な男性が老人に向かって言う。
「村長、とうとう盗賊達が現れました!」
老人は村長でした。はい。予想していましたよ。
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