第4話:天災級は凄いです

 外へ出ようとした俺にメティスが声を掛ける。


 『マスター。現在外に出るのはお勧め致しません』


 俺は入口手前で足を止めてメティスへと聞き返す。


 「何故だ?」

 『外へ出ると分かります』


 いや、外に出るのは勧めないんだろ? な? な?

 取り敢えず俺は危なさそうなので、入口から顔を出し覗いて見ると──環境が変わっていた。昨日は緑が生い茂っていた森だが、現在は全ての草木が凍っていた。それはまさに”冬”。


 「いやいやいや!何んで凍っているの!?」


 混乱している俺にメティスが説明をしてくれる。


 『昨日の夜、マスターが寝ている間に天災級の魔物が通りました。ステータスをご覧になられますか?』

 「い、一応な」


 そう言って俺はかの環境を変えた天災級の魔物のステータスを確認する。



 名前:氷蛇王

 Lv.7570

 スキル:<氷魔法(S)><威圧><咆哮><気配察知><魔力察知><環境(冬)>

 称号:天災級、最強の一柱、氷の王、絶対者

 備考:蛇型の魔物


 昨日のフェンリルさんよりヤバいじゃ無いっすか! 俺こんな化け物に勝てないよ? 瞬殺されちゃうよ?俺のレベルも可笑しいと思うけどあっちの方がヤバイやん。

 フェンリルは俺を遊んでいたから勝てたはものの、こいつはなぁ……


 「……取り敢えず寝るか」

 『寝ないで下さい。あと1時間程で元の環境に戻ります』

 「ん?え?どう言う事?」


 こんな環境が元に戻る?そんな事がある訳無いだろと思いながらメティスの説明を待つ。


 『マップをご覧下さい。こちらに迫ってくる者を見て下さい』


 マップを確認する。するとそこに一つだけこちらにゆっくりと向かって来るのがいる。

 俺はまさかと思いメティスに言う。


 「まさか。この環境が変わると言うことは───」

 『はい。天災級です。ですがこの天災級は住処を荒らされない限り怒る事はありません。それに草食ですので』


 俺はそれをタップしてステータスを確認する。



 名前:緑亀懐王

 Lv.7340

 スキル:<地魔法(S)><環境(春)><威圧><気配察知><魔力察知><咆哮>

 称号:天災級、緑の王、絶対者

 備考:亀型の魔物



 いや~、やっぱりレベルが可笑しいですよね。うん。もうここやだ。


 俺は亀さんが通り過ぎるまでお部屋の改造をする。凸凹していて痛かったりするので、地魔法を使って凸凹を無くし平らにする。それと新しい部屋をも作る。光源は落ちている石にライトの魔法を付与して天井に貼り付ける。

 部屋を作りそこに空間魔法で部屋を拡張する。そこは倉庫、食料置き場となる。その場所は空間魔法で時間が止められており、食べ物が腐敗しないようになっていた。

 もう1つ同じ部屋を作りそこは武器や資材の倉庫となった。


 そして、元の洞窟の姿はどこにも無かったのだった。

 お部屋を改造し終わると外からズシン!ズシン!と大きな音が響き渡る。俺は「音も外に漏れないように遮断しないとなぁ~」と思いつつも、外に出て例の天災級の魔物を確認をする。


 外に出た俺が目にしたのは、以前見た山の魔物よりも巨大な山だった。体長は1キロメートル位ありとても巨大で背中には巨大な山を背負っていた。亀さんが歩いた後は極寒の大地だった所が、地面から草木などが生えて来ていた。

 初めて見たそれはとても幻想的だった。歩いた後ろからは生え草木がグングンと成長し、大きな木が生えたりとしていた。その中にはあの癒しの実がなったりしていた。


 巨大亀さんが通り過ぎた後、草木の匂いが鼻を突く。


 近くには大きな木があり俺はそれに登り、てっぺんから周辺を見渡す。すると奥の方に亀さんよりさらに巨大、標高1万メートルはある山がそびえ立っていた。

 俺はその山についてメティスに質問してみる。


 「あの山はなんなんだ?」

 『あちらの山は、この大陸の全生物の頂点、竜王が住まう山です。麓から頂上までの魔物達のレベルは3000~5000となっております。それと竜王のレベルは未だに上がり続けております。現在レベルが9000を超えました』

 「へ、へぇ~。トテモスゴイデスネ」

 『あそこへ行くのには道中、災害級に遭遇する確率が120%です』

 「それってもう遭遇するのが確定じゃん!てか竜王なにレベル上げしてるの!」

 『それとあの山の環境は秒単位で変わっております。これは山の性質です』

 「……………」


 俺はもう言葉も出なかった。環境の変わる速度が可笑し過ぎでしょ。それとどれだけ災害級が居るんだよ。と思ってしまう。


 『あそこにいる90%が災害級です』

 「この世界大丈夫かなぁ~。自称女神様頑張ってくれよー」


 女神と言って思い出した。


 「あの自称女神、最後の方に何か言っていた気が……たしか───「あっ!」とか言っていたよな?絶対転生先ミスったろ!何やってくれてんだ!俺じゃ無かったら死んでたぞ!この駄女神様が!」


 とある女神様が仕事中「くしゅんっ!」と可愛いらしいくしゃみをして「誰か私の噂をしているのかしらん?」とか言っていたとかなんとか。

 そして、そんな事を言っていると俺はある事を思い出した。


 「そう言えばレベル上げをしたいんだがどうすればいんだ?」

 『レベル上げをしたいのでしたらレベル2000~3000の魔物を倒した方が良いと思います』

 「なんか俺が思っていたレベル上げと違う気が…特に相手のレベルが…」


 そして木からおりた俺は拠点に戻り、必要な物を作り始める。必要な物は服や家具、武器だ。


 「作るにしてもどうやって作るか…服なんて作った事無いからなぁ」


 俺が呟くと過保護なメティスが。

 

 『それでしたらスキルの<技術(S)>を申請します……。「ちょっとま──」承諾を確認しました。スキルを取得しました』


 俺は止める事が出来なかった。

 スキルに頼らず作って見たかったのにな……。


 『それでしたらスキルのON/OFFの切り替えが可能です』

 「なに!?それを早く言わんかい!」


 そして俺は拠点を出て材料を取りに向かう。途中ゴブリンの集団に遭遇するも倒して行く。レベルが1000超えの魔物も現れるが、なんとか倒す。それから倒しては集めてを繰り返している内に沢山の素材が集まった。倒した魔物は<異空間庫>へと入れて回収する。


 素材になるから回収しないとな!


 拠点へと帰る頃にはもう薄暗くなっていた。

 今回は戦って得た物が多かった。魔物の素材を武器や防具、服にすれば強化もできるし着れたりもするので一石二鳥だ。


 そして今回一番多く得たのは経験値だ。高レベルの魔物を倒した事により、俺のレベルがグングン上がって行った。

 俺は一度、自身のステータスを確認する。



 名前:柊秋人

 Lv.3486

 種族:人間(97%)

 ユニークスキル:<経験値ステータス倍加><奪う者><幸運><叡智><異空間庫><#表示__ディスプレイ__#>

 スキル:<魔法(S)><身体強化(S)><神速><技術(S)>

 称号:転生者、超越者、人間を超えた者



 と、取り敢えず落ち着け俺!レベルはもう気にするな!それよりも…97%って言うのが一番気になる。なんかこれが0%になったら人間として終わりな気がする。


 そして俺はステータスを見る事を諦め、集めた素材を倉庫に取り出し、肉は保管庫へと持って行く。

 一通り終わると俺は作業部屋へと向かい木を取り出して、スキルを使わずベッドや椅子、机を作り始める。

 完成した物を見ると不格好ながらも椅子として認識出来る位だった。

 俺は膝を突き嘆く。


 「俺には才能が無いのか………しょうがない諦めてスキルを使うか…」


 そしてスキルを使って完成させた物を見ると素晴らしい出来栄えだった。職人が作ったのではないかと思うくらい素晴らしい出来栄えだった。

 それからも俺は椅子、机、ベッド、タンス、等といった家具を制作していく。一通り完成させると、それを所定の位置へと設置して行く。

 布団などの寝具や服なども魔物の素材を使い制作する。服は作業着や寝巻きなどを作りる。

 そしてメティスに声を掛けられて気づく。


 『マスター。もう朝にっております。もう休まれた方が宜しいかと』

 「もう朝か…没頭し過ぎたな。何か軽食を取って寝るとするよ。何かあれば起こしてくれ」

 『承知致しました』


 そして軽食を食べた俺は、作りたてのベッドで睡眠をとるのだった。

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