第30話:お花畑デート
「だるい…」
そんな事を言って俺は起床する。
「ご主人様よ。お腹がすいたのじゃ」
「ん。お腹が空いた」
「ふぁ~。もう飯か?」
「うむ」
「そうだよ」
俺は着替えて二人と一緒に下の階へと向かう。
「秋人さんとお二人さんおはよう!」
「ん?メリルか。おはよう」
「おはようなのじゃ」
「おはよう」
俺達三人はメリルに挨拶をしてカウンターに座る。
今日は何しようかな?と考えていると、リズベルさんがやってきた。
「三人ともおはようさん。今日は出掛けるのかい?」
「んや。今それを考えていたんだよ。何かいい場所とかないかな?」
リズベルさんとメリルが考える。
「あ!あそこなら」
突然メリルが思い出したかのように左の手の平の上に拳を乗せて相槌を打ちながらそう言う。
「何かいい所があるのか?」
「うん!王都の観光場所だよ!行こ!お母さん行ってくるね!」
「はいよ。気をつけてね」
「はーい!」
俺はメリルに手を引かれ、観光場所へと連れて行かれる。
ゼノアとフィアも後を追って来る。
「ここだよ!」
連れて来られた場所は。
花が咲き乱れ、その中心には雨防止用の建物がある。その建物の中には大きなベルが見られる。
「ここは王都一の観光名所。花々の楽園だよ」
その通りだと俺は思った。
まさに楽園。様々な花が咲いて降り、その中央には銀の鐘がある。今まさに2人の男女がその鐘を鳴らした。
カーン、カーン、カーン……
心地良い鐘の音が鳴り響く。
何やら視線を感じて振り向いて見ると、ゼノアとフィア、メリルから「一緒に行こうよ!」と言っているかのようだった。
なのでここは俺から言って見る事に。
「一緒に鳴らしてくるか?」
「勿論なのじゃ!」
「うん!」
「やった!行こう!」
3人に即答され手を引かれる形で鐘のある方へと向かう。
カーン、カーン、カーンと一人づつ一緒に鐘を鳴らしてからぐるっと花畑を一周する様に回る。
メリルと歩いていると視線を感じてみると、頬を紅潮させていた。
「どうした?熱でもあるのか?」
「ち、違うよ!えっと、その……」
言葉がたどたどしい。
「やっぱり熱か?我慢はよくないぞ?」
「だから違うよ!あ、あのね」
メリルは思いきって思いを伝える。
「わ、私、あ、秋人の事が──「カーン、カーン」なの!」
「ん?何だって?鐘の音でよく聞こえなかった。もう一度いいか?」
なんつータイミングで鐘が鳴るのか。メリルの一世一代の告白は鐘の音によって遮られてしまった。
「もうなんでもない!」
そう言ってズンズンと先に進んで行ってしまう。後を追いかけるように俺は着いて行くが、最後までメリルは「なんでもない!」と言って来るだけだった。
一体何を言おうとしたんだ?
それからメリルの機嫌を治すために飯を奢ったりしたら元気を取り戻したのでまあ良しとしよう。
それからぶらぶらと王都を巡った後宿へと着いた。
「今日は楽しかったのじゃ!明日は何処に行くのじゃ?」
「楽しかったですね!」
「そうだな。明日の予定はないんだよなぁ~。2人は行きたい場所とかはあるのか?」
俺が聞くも2人は悩むだけ。
「無いなら王都出るか?」
それもなぁ~と悩む2人。
こうして俺達3人は明日の予定を考えるのであった。
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