第10話:竜王が…
俺は一歩踏み出し、構えて竜王へと言い放つ。
「これが最後だ。決着を付けようか」
俺は<闘気>を纏い更には真紅の魔力を纏う。
メティス情報だと魔力にも人それぞれの色があるみたいだ。俺の場合は真紅の魔力だ。
現在の俺の見た目だが、魔力の色と同じ真紅の<闘気>は俺の周りを揺らめき陽炎の様になっている。そこに魔力を纏うとオーラ見たいのが出てきて更にはバチバチと魔力が弾ける。
これにスキル名を付けるとしたら、そうだな魔力と闘気を纏うことから<魔闘>と名付けよう。
<魔闘>を纏った俺は、世界の破滅を望む魔王の様にみえなくもない。
そして竜王へと言い放つ。
「行くぞ?」
「い、いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!」
竜王が何かを言って来るが何を言っているのかよく分からないので、竜王へと<縮地>を使い近寄る。そして右拳を構えて竜王の腹を狙い、腹パンを繰り出す。
「だから待っ──────」
バリンッ!
「な!?」
何かに阻まれた。だが甲高い音がして何かが割れ、竜王は飛んでいく。
俺は腹パンした右腕に違和感があるのを確認する。
確認すると血が吹き出ており、右腕が肩から無かった。
(多分だが竜王の「な!?」から察するに障壁か何かだったのだろう。それに一瞬だけ阻まれてその隙に腕を持ってかれた、か)
俺は腕が無くなった激痛に耐えながらも、飛んで行った竜王を追いかけて、更にかかと落としをする。
そして竜王は山の地面へと、その巨体を叩き付けられ大きな音と地響きが起きる。
その間に俺は無くなった腕の欠損を治す。流石に欠損を治すのには数秒の時間が掛かる。まあ2~3秒だが。
暫くして竜王が起き上がる。
竜王は既に満身創痍な状態だ。至る所で血が出ており今にも死にそうだ。
(竜は硬そうだから全力の腹パンしてかかと落としをしたのに……まだ生きているなんてな)
『竜王の防御力はマスターを越して世界1位です。致命傷に近いダメージを負っていなければ、ここまでになっておりませんでした』
もし秋人が初手で全力の腹パンをしていても竜王にはダメージがあまり入らなかった。それほどまでに硬いのだ。
(てか進化して無かったら俺死んでたんじゃね?)
俺の内心の呟きにメティスが答える。
『今では互角より上の戦いができております。ですが私の計算が甘かったようです。竜王がここまで強いとは思いませんでした。進化前のマスターなら死んでいたかと』
俺はそれを聞いて冷や汗を流す。
(進化して良かった!)
今になって、進化した事をここまで嬉しく思った事はないだろう。
「ハァ…ハァ…ハァ。な、なんて力だ。妾の防御力を、こうも簡単に超える、力とは……驚いた。最後に聞いても、良いか?うぐっ……お主は一体、何者なんだ?良けば名前も聞いておきたい」
竜王は息も絶え絶えに聞いてくる。竜王にとってはこれが最後の問いかけなのだろう。俺はその質問に答える。
「秋人だ。それと登山しに来た物好きの魔人だよ」
俺の答えに竜王は愉快そうに笑う。
「ハハハハッ、そうかそうか物好きの魔人、か。最後にいい思い出が出来たぞ。感謝する秋人。さあ殺すのだ」
俺は声を掛ける。
「いや待てよ、何勝手に死のうとしてんだよ…」
「殺さない、のか?」
「性格が悪そうなら殺そうと思ったけど気が変わった」
「どう言うことだ?」
竜王は自分を殺さない秋人に疑問を持ち聞いたその答えは。
「どうだ?俺の元で一緒に世界を回る旅をしないか?一段落したらまたこの地でもいい、ひっそりと暮らそうと思っているんだが」
俺がそう言うと竜王は目を丸くして驚いてから言う。
「魅力的な提案じゃが妾はもうじき死ぬ」
「いや大丈夫だよ。ほれ」
そう言うと竜王の体は淡い緑の光に包まて体中の傷が癒えていく。竜王は致命傷だった傷等が癒えていくの驚きながらも確認して俺に視線を向ける。
「どうだ?これなら付いて来れるだろ?」
「な!?完治した!?そうかそうか。ふふ、面白い奴だ。いいだろう。妾は秋人、お主を主と定めてこの命がある限り、主に付き従うとしよう」
「ああ!よろしく頼むぜ!」
竜王が仲間に加わった。
俺は新たに称号をは獲得した。
<竜王の誓い>
竜王が主と定めた者に与えられる称号。
確認していた竜王がこちらをチラチラと見てきた。
ちょっと怖いです。
「なんだ?」
「そ、そのだな、な、名前が欲しいのだが」
「そ、そうだな待ってくれ、今考える。そう言えば性別とかあるのか?」
「あるぞ。妾はメスだぞ」
メスなのかよ!それにメスの竜王って…普通はオスだろ!「我は」とか言っていたからオスか……いや待て、戦闘の途中から一人称が「妾は」になっていたような………俺は女を殴っていたのか…解せぬ。
気を取り直して、さあ名前よカモン!
1、クロ
2、ソフィア
3、ゼノア
4、ドラ
なんだこの選択肢……まあ2か3のどちらかだな。
よし決めた!
「ならゼノア、でどうだ?」
「うむ。悪くない。逆くに良すぎるぞ」
「なら良かったよ」
「少し待ってくれ人間形態になる」
「え?なれるのか?」
「うむ。待っておれ」
そしてゼノアは人間形態へとなるのだった。
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