第11話:村に向かいましょう

 人間形態になろうとしたゼノアの体を、漆黒の球体が覆う。それから球体が徐々に小さくなってゆき、人間程の大きさの球体へとなる。


 そして球体が解かれ現れたのは、10代前半、14歳位の少女の姿をした美少女だった。黒髪の長髪に竜形態と同じ色の金色の目、だが竜の様に縦に割れた瞳孔でわなく、人間と同じ丸い瞳孔の目だった。



 服は着てますよ?何故か和装ですけど。なんで?



 『これは竜人族独特の服装です。竜王、ゼノアはそれを真似たのでしょう。どうやって見たかは不明です』



 俺は取り敢えず納得することにした。



 「秋人と言ったかのう?」

 「ああ」

 「妾はお主、秋人の事を”主”と呼ばせて貰うがよいかのう?」

 「構わないが、その呼ばれ方はちょっとむず痒い様な…」

 


 それから俺は火口付近に待機させていた竜達の元へと行く。


 竜達は俺の後ろに竜王(人間形態)がいることが分かると身を縮めて萎縮する。



 「こいつはもう大丈夫だよ」



 そう言われたゼノアは一歩前へと出て言う。



 「安心するのじゃ。妾はもう危害を加えはしない。妾も主の元で生きて行くなら、同じ主を持つもの同士争っても意味がないのじゃろう?」



 (”のじゃ”だと!?)



 「そ、そう言う事だ」



 すると、萎縮していた竜達は元に戻る。


 それから俺は名前付を始める。



 1.2.3.4.5.6.7.8.9..........



 俺の脳内にはストックが無かったわ……もう仕分けない…



 取り敢えず俺は番号で名前を付けていく。


 心の中で「すまんな」と言いつつも名前を付けていく。


 そして付け終わると。


 竜達は空が高く飛び舞い上がる。


 喜んで貰えてよかったよ…


 俺は後でちゃんと名前を付けると心の中で誓うのだった。




 そして俺は他の竜達にこの場を守らせてゼノアと共に<転移>でその場から消える。



 現れた場所は俺が村から数100km離れた場所だ。



 「主よここはどこなのじゃ?」


 

 転移した場所が分からないゼノアが聞いてきた。



 「ここはそうだな…この森から後少しで出れる所だ」

 「なん、じゃと!?」



 ゼノアは驚き声を上げた。



 「だから、ここからあっちに方向に行った所に村がある。まだ遠いから飛んで行くがな」



 俺が飛んで行くと言うとゼノアは徐々に漆黒の球体に覆われて─────



 「ちょっとまて!!」

 「む?なんじゃ?飛んで行くのじゃろ?」

 「お前が飛んで行ったら大騒ぎになるだろ!?こいつで行くんだよ」



 そう言って俺は<魔獣召喚>を使ってアルタイルを呼ぶ。


 すると魔法陣がしたから現れてアルタイルが出てくる。そして────。



 「グエェェェェェェッ!?」



 アルタイルは絶叫を上げて俺の後ろに隠れる。


 それもそうだろう。この森頂点、竜王が自分の目の前にいるのだから。


 それに──────。


 いや、隠れられてないからね?顔しか隠れてないじゃん。まあそれはさて置き。



 「大丈夫だ。こいつは何もしないよ」



 俺がそう言うとアルタイルは「ク、クエ?」と言って首を傾げる。

 そこにゼノアが言う。



 「うむ。妾はもう主の物だからな。安心するのじゃ」



 そしてアルタイルは納得?したのか俺とゼノアを背中へと乗るように促す。



 「おぉ!この毛、妾と違ってふかふかなのじゃ!」



 いやいや、そもそもお前は竜鱗だからな?



 そして俺とゼノアが背中へと乗るなり、村に向かって飛び立つのだった。


 いまだに「ふかふかなのじゃ~」とか言っている奴がいるが。

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