概要
氷のように、美しい。
氷の都トロイカ。年間を通して雪と氷に覆われ凍りついた街で繰り広げられる群像劇。残酷な舞台で踊る演者たちの欲望や狂気は、それはそれは色濃く混ざり合って、深く深く巨大な血溜まりへと注ぐ。絶望の渦巻く深淵に、美しき未来など在りはしない。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!融解する美、連立する倫理に”死”を添えて
氷の都トロイカ。冷気を纏う都市のヴェールは幾重にも巻き付いて離れない。
耽美と狂気が脳に巣喰い、今日も人々は屍者を越えて地に睡る。
幻像は万象を装飾し、暴力は背反する安寧と手を取って共に沈む。
脳漿と錆びた鉄の芳香が充ちるダンスホールで踊る道化。
薫り高い火薬は鼻を突き、煌びやかな刃の輝きは人を嗤う。
甘い甘い午後の一時、桃源の虚像が手招きする。
午睡から醒めた屍者は喉を震わせ歩み寄る。
頽廃と腐敗の美徳こそ至上に謳う。
慈愛と永遠は柔らかな眼差しを以て降り注ぐ。
さぁ主よ、今こそ我を導き給え。
荊と杭が祝福の讃美歌を。偶像の棺は此処に在り。
宿痾の幻燈が君を待つ。