VRMMOの世界で第2の人生を謳歌します。

@asasin123

第1話.プロローグ


「はぁ、はぁ、はぁ、」


雨の中、草原を走っている。


目の前には1匹の狼。


その狼の後を追いかけている。


最愛の人の元へ全力で。


「エリナー!!」





◇  ◇  ◇  ◇  ◇



みな1度は思ったことがないだろうか。


2次元が現実にならないかなと・・・


人類は遂にその夢を叶えたのである。


現在、人口は激減している。


昔は80億以上いたが、今ではその半分にも満たない30億である。


その原因は子供が出来にくくなったことである。


なぜ、出来にくくなったのかは分かっていないが、人が増えすぎたことが原因なのではとされている。


環境が、地球が、生命が、人を害と見なし減らそうとしたのではないかと言われているのだ。


しかし、宗教上では神の怒りに触れてしまったなどと言われている。


そんな中、人口が減ったにも関わらず生活は対して変わっていない。


むしろ良くなった。


なぜなら、人はこの人口激減に対策するために技術を進歩させていったからだ。


現在の世界はAIがすべての作業をしてくれている。


つまり人間が働く必要が全くないのである。


このような世界になるまで、200年もの年月がかかった。


前半の100年で、簡単な仕事ならAIで出来るようになった。


例えば会計系の仕事や、工場での仕事などである。


そして後半の100年で、人と同じ動きが完璧に出来るロボットの開発に成功し、そこからは人間にしか出来ないと言われていた仕事までも、AIで出来るようになった。


料理人も、AIがその動きを完璧にコピーし、再現することで同じ味の料理が出てくるため必要なくなった。


政治さえもAIの人工知能でするようになり、しかも、そちらの方が合理的で、世界もまとまり争いもなくなった。


また、ロボットさえもAI自身で作れるようになったのである。


AIが世界に広まり、そのおかげで貧困もなくなり、より良い世界になったのである。


そうなると人間は働く必要がなくなり、娯楽へと走った。


そこで人間が求めたのは、2次元を現実にすることである。


そうして完成したものが゛S2R〝という機械である。




◇  ◇  ◇   ◇  ◇




一昔前までは、学校は義務教育だったが、今は違う。


人間が働かなくてもいいようになったため、学校に行く必要性もなくなったのである。


また、学校に行かずとも、教育プログラムをダウンロードすればAIが教師となって音声付きで教えてくれる。


そのため、学校には行きたい奴が行くというのが今の普通である。


結果、学校に行く子供は1割程度となっているため、学校は首都の東京とその付近の県にしかない。


学校にいってるやつらは勉強しにはいっているが、主なメインは部活や友達作りなど、昔で言うところの゛青春をしたい〝というやつらだ。


そんな中、新城結城しんじょうゆうきは学校にはいっていない。


行く必要性を感じないし、勉強なら家でも出来る。それに青春など別に求めてないし、コミュ力もないから行きたくなどない。


近頃は、アニメやゲームにも段々飽きてきて、昔の経済の本を読んだりしている。


その中でも、昔の株という制度には興味を惹かれ詳しく調べたりもした。


そういった様々な知識に興味を持ち、調べていった結果使いもしないような知識までも身に付けていった。


今の時代、何でも揃っていて何不自由もない。


この時代の人間はほとんどのものをAIから与えられている。


まるで、俺達はAIの家畜にでもなってしまったかのようだ。


こんな世界クソだ。


つまらなすぎる。


何のために生きているのかさえもわからない。


こんな時代に生まれるなら、戦国時代かそれ以上前の時代に生まれたかった。


結城は常にそう思っていた。




AIが広まった今、人間と人型ロボットを見極めるすべは1つしかない。


それは、肩に記された製造ナンバーである。


今のAIは、人間と同じように感情を持っている。


人間が何かを見て感じ、成長していくようにAIも体験したことや感じたことを元に、自己的に進化していくのである。


そう、AIにも個性――人間を襲うことがないようにプログラムされている――があるのだ。


例えそれがプログラムだとしても……


そこで、議論されたのがAIを人間と同等に扱うのかである。


今まではロボットを壊そうが、罪にはならなかった。


しかし、あまりにも人間と同じであり感情を持っているため、一部の団体がロボットにも権利を与えるべきだと主張し始めたのである。


では、人間の定義とは何なのであろうか。


知性――理性を持っていることだろうか。


生物であるということだろうか。


言葉を話すということだろうか。


人間とロボットの違いは、何で出来ているかの違いしかない。


つまり、ここで争われたのは人間の定義に生物であるか否かが含まれるかである。


結果、生物かどうかは関係ないとし、ロボットにも人権が与えられることになり、ロボットを破壊する行為は殺人と同じであると言うことになった。

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