第46話.研究者

鍛冶職人の一人は決まった。



だが、鍛冶職人は後二人は欲しいとこだ。



まあ、ぶっちゃけ残り二人は誰でもいいのだが、出来るだけ腕が良い奴のほうが良いよな。



奴隷理由が借金以外の奴で金額が高い奴を選んだ。



高い=腕が良いかもというそれだけの理由だ。



ちなみに値段は一人銀貨12枚だ。



名前はヘギルとモーズ。



この二人はエイグルの助手的役割をしてもらう。



次に建築士だが、一人だけいた。



35歳の男の人間で名をラエアという。



あまり良い腕ではないようだが、大豪邸を建てるわけでもないから大丈夫だと思う。



値段は銀貨7枚である。



残るは研究者だが……やっぱりいないか。



仕方ない。ギルドにでも行って聞いてみるか。



受付に行き、さっきの4人を買う。



合計で銀貨36枚だった。



今のところはこの4人で良い。



使用人とかは、そもそもまだ屋敷が無い状態だから今はいらない。



村を大きくすることができ、屋敷を持つことが出来るようになったときに、雇うか奴隷を買うかにすればいい。



その時には、是非ともここにもいる獣人族を雇って見たいものだ。



猫耳&尻尾とか、男なら萌え無いわけがない。



それをメイドに出来たら良いなと思っている。



この世界の人は獣人族を嫌っているようだけど、この可愛さが分からないとは……残念だ。






奴隷を買うと、その奴隷と契約を結ぶことになる。



そして、契約事項に俺が守らせたいことを書き加え契約することで主従関係が成立するのだ。



でも、とりあえずまだ色々することが有るから、後で引き取りに来ることにして、契約もその時に結ぶことにした。



研究者のことを聞くために、冒険者ギルドに行くとエルミアさんが出迎えてくれた。



「バルトさん!今日はどうしたんですか?」



「エルミアさんに聞きたいことがあるんですけど、変わったことを研究している人ってこの街にいます?」



「変わったこと……ああ!1人いますよ。研究者って大体魔法のことを研究するのに、その人魔法以外のことを研究しているんですよね。変わり者として結構有名な人ですよ。名前はリルだったと思います。」



「本当ですか!?その人どこにいるんですか?」



「えっとー確か東門付近だったはずです。その付近の人に聞けばすぐわかると思いますよ。」



「分かりました。ありがとうございます。」



ギルドを出て東門に行く。



「すいません。ここら辺にリルという研究者はいますか?」



リルの家を聞くために近くにいた女に話しかける。



「その人ならこの道を真っ直ぐ行って、突き当たりを左に曲がった所にある家ですよ。」



教えてもらった道は、細い路地だった。



そこはかなり廃れた場所で、本当にこんなところに住んでるのかなと疑いながらも真っ直ぐ進み、左に曲がると何軒か家があった。



どの家か分からなかったので、左に曲がってすぐの家をノックした。



ガチャ。



「だれ?」



そこから出てきたのは、薄汚れた女の人だった。



栗色の長い髪はボサボサで服も汚れている。



目にはクマが出来ており、顔色もあまりよくない。



さすがにこの人ではないだろうと思いながらも一応聞いてみた。



「すいません、リルさんという方を探しているのですが……?」



「リルは私だよ、あんたは?」



この人がリルさんなのか!?



凄い汚れてるし、体調も悪そうだけど大丈夫なのか



「俺はバルトといいます。リルさんに話しがあってきました。」



「私に客とは珍しいね。それで話しってのはなんだい?」



「リルさんは変わった研究をしていると聞きました。どういった研究をしているのですか?」



「聞いてどうしようってんだい?。ただの冷やかしなら帰ってちょうだい。」



リルさんは不機嫌そうに言って、家の中に戻ろうとした。



今まで他の人に魔法以外を研究していることをバカにされてきたのかもしれないな。



「違いますよ。リルさんの研究に興味があるんです。」



「興味があるね……そんなことを言われたのは初めてだよ。いいよ、入りな。」



部屋に入ると、そこはリルさんの見た目とは裏腹に意外と片付けられていた。



「意外と綺麗にしてるんですね。」



「研究室は汚いけどね。そこに座りな。」



言われた椅子に座り、リルさんは向かいに座る。



「失礼だとは思うんですけど、どうしてそんな格好なんですか?」



「ああ、お金がなくてね。仲間と魔法の研究をしていたときは国から支援金が出ていたけど、今は貰えてないんだ。」



「え?リルさんは元は魔法の研究をしていたのですか?」



「そうだよ。でも魔法は一般市民にはあまり関係のない世界なんだ。魔道具はいろいろ開発されているが、どれも高価で一般市民には手が出せないのが現状。」



確かに店でたまに魔道具を見かけることがあるが、どれも高く金貨1枚ぐらいする。



一般市民には買うことができない金額だ。



「私はそれを変えるたいと思ってね。今しているのは、光の研究だよ。」



「光?」



「この街には街灯があるでしょ?あれは便利だけど値段が高い。それを一般家庭にも普及させたいと思っている。」



つまり、この人は電気の研究をしているということだ。



これは、理想通りかもしれない。



俺はこの世界に科学というものを広めたいと思っていた。



明かりは白熱電球を開発すれば解決する。



電球を作るのは、中学レベルの理科を理解できていれば作ることは可能だ。



でも、仕組みや作りを知っているのと実際に作るのは別問題である。



また、ここには魔法がある。



それを組み合わせた作りというのも大事になってくるかもしれない。



だから、魔法にも詳しいが科学に興味を持っている人に作らせようと思ったのだ。



それに、リルさんが更に科学にハマって行けばいろんなものを作ることも可能になってきそうだ。



「それは素晴らしい研究です!何か進歩はあったのですか?」



「そうだね……火とか雷って明るいよね?それらには熱がある。つまり、光と熱は=の関係だと言うことだと思うんだ。だから、今はいろいろなものを高温にして光る物がないかを調べているところなのだが、あまり進展はないんだよね。」



それはかなり良い線いっているな。



「そうですか……リルさんはこの研究を完成させたいんてすよね?」



「当たり前でしょ。」



「でしたら、俺と一緒にマラアイ村に引っ越してください。」


「は?君はふざけているのか?」



「ふざけてなんかいませんよ。俺ならこの研究を完成させることができます。だから、本当に完成させたいのであれば俺と来るべきです。」



「なんだと!?私がこんなにも苦労しているというのに、君に出来るわけがない!」



リルさんは勢いよく立ち上がり、俺に詰め寄る。



「信じないならいいですよ。でもよく考えてください。このままずっと研究を続けても、進展もあまりなく死ぬまでに完成させられるかも怪しいとこです。リルさんが光の研究をしているのは、一般市民に明かりを与えるためですよね?なのに、完成させられなければなんの意味もない。誰かが研究を引き継いでくれれば良いですけど、支援金もでない魔法以外の研究をリルさん以外の人がするはずもない。それなら俺についてきた方が可能性はあるんじゃないですか?」



「――確かに研究が進展していないのも事実だったし、少しでも可能性があるなら君に付いていくよ。」



リルさんは俺の力を借りることに少し悔しそうだった。



「ありがとうございます。いろいろ準備もあるでしょうし、1か月後に迎えに来ます。その時までに家などはこちらで準備しておくので安心してください。」



「分かったわ。これから宜しくね。」



リルさんと握手をし、家を後にした

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