第45話.奴隷商人

まずは奴隷商人の所に行く。



俺が一番最初にしないといけないのは人材集めだ。



それで一番手っ取り早いのは奴隷を買うことである。



人を雇うという手も無くは無いが、奴隷の方が安いしマラアイ村という何も無いところに来たがる奴もあまりいないだろう。



それに、奴隷は絶対に主を裏切れないし、何でもやらせやすい。



勘違いしないでほしいが、手酷いことをするつもりはないし、ちゃんと衣食住も与える。



給料ももちろん出す。



ただ、奴隷の方が色々と都合がいいというだけだ。





奴隷商人の所は刑務所のようなところだった。



アルベルト家と比べても遜色ないぐらいの大きさで、奴隷たちが牢屋に入れられている。



普通に入り奴隷を見れることが奴隷売買が合法であることを示していた。



収容人数は500人ほどだろうか。



その3分の2以上は埋まっていた。



奴隷となるものは、貧相な者か、異種族の者だ。



金が返せなくなり奴隷商人に売られる者、衣食住が満足に得られず奴隷となることで得ようとする者、ただ異種族というだけで奴隷とされる者、身寄りの無い者。



奴隷になることが必ずしもマイナスと言うわけではなく、奴隷になることで生活が出来るようになる者もいる。



だが、それは主によって変わる。



だから奴隷たちは善き主に仕えられることを望んでいた。



牢屋の横には、板が壁にかけられており、その奴隷の値段や特徴、経歴等が書かれていた。



値段は奴隷の能力によって変わり、容姿が良い者、能力が優れている者が高い傾向にある。



それ以外の子供、特に男の子供は値段が非常に低く、銅貨50枚程度だ。



女の子供は、顔が悪くてもそういう性癖の人もいるので、男より少し高めに設定されていた。



そんな中、俺が必ず欲しい人材は鍛冶職人と研究者、そして建築士である。



鍛冶職人はドワーフがちらほら見えるので問題ないと思うが、建築士と研究者の方はいるか怪しいとこだ。



「貴方はなぜ借金したんだ?」



俺は、ドワーフで奴隷となった理由に借金と書かれてある人にそう質問していった。



10人ぐらいに質問したが、9人が酒につぎ込んだそうだ。



ドワーフが酒好きというのは本当みたいだが、借金してまで飲むことは無いだろうに。



「俺は剣を作ることが好きだ。それも変わった剣を。でも、中々納得のいく剣を作れず、売る用の剣も作らずにいたら、いつの間にか金もなくなり仕方なく借金しちまってたんだ。」



残り1人は、剣を作ることに魅入られてしまったようだ。



だが、俺が求めているのはこういった職人だ。



「ちなみにどういった剣を作ろうとしてたのかな?」



「今の剣は両刃だが、俺が作ろうとしているのは片刃の剣だ。」



それを聞いたとき驚いた。



俺が職人にさせようと思っていたことの1つに、刀を作らせることがあった。



今の主流は突きを主体とした剣術だ。



なぜなら両刃の剣は突きが優れているからだ。



それに比べ刀は斬擊に優れている。



俺は突きよりも斬擊の方が得意だから、専用の職人が出来たら作らせようと思っていたのだ。



また、魔物相手だと突きよりも斬擊のほうが良いからというのもある。



「それは本当か!?」



「ああ。」



「それはどこまで完成してるんだ!?」



「6割ぐらいだ。思った通りの切れ味が中々出せずに苦戦している。」



それなら上等だ。



切っ掛けさえあれば完成させることが出来るだろう。



日本刀なら少し分かる。



元の世界では暇だったから、いろんな本やネットで知識を蓄えていった。



そのおかげで、材料とか作りとかなら教えることができる。



そのヒントさえ与えれば、後はこのドワーフが自力で完成させられそうだ。



改めて横にある板を見る。



このドワーフはエイグルという名前らしい。



そして、値段は銀貨5枚。



うん、人間を買うにしては安いな。



奴隷ってこんなもんなのかな。



「エイグル。俺も片刃には興味があるんだ。だからあんたには片刃を作り上げて欲しいと思っているのだが、どうだ?」



「それは願ってもないお願いだ。片刃を完成させられるならどんなことでもするぜ!ぜひ、俺を買ってくれ。」



「決まりだ。他のも見るからまた後で来るよ。」



こうして奴隷を1人決めた。

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