第29話.実践訓練
今日は久しぶりにギルドに来ていた
「あ、エルミアさんお久しぶりです。」
「バルトさん!1週間ぶりですね。何をしていたんですか?」
「魔法の練習をちょっと……」
「そうだったのですね。私、バルトさんに会えなくて寂しかったんですよ。」
「え……」
これは、なんて返せばいいんだー!
「あははは、冗談ですよ!そんな困ったような顔しないでくださいよ。」
なんだ、からかわれただけか。
「からかわないでくださいよ!」
「ごめんなさい、つい。それで、今日はどういったご用件ですか?」
「魔法のバックを買いに来ました。」
「前も言った通り高いですけど大丈夫ですか?」
「はい。いろいろあって大金が手に入ったので、買おうかなと思いまして。」
「そうだったのですね。魔法のバックは大・中・小ありますけどどれにしますか?金額は大は金貨1枚、中は銀貨50枚、小は銀貨10枚ですよ。」
今はアルベルト家からもらったお金もあるし、大を買おうかな。
「大でお願いします。」
「今持ってくるので少し待っていてください。」
エルミアさんが裏えと消え、しばらくして戻ってくる。
「はい、こちらが魔法のバック大になります。」
エルミアさんが持ってきたのは麻袋のような物だった。
「ありがとうございます。」
そういって金貨1枚を手渡す。
「はい。確かにいただきました。今日クエストは受けないんですか?」
「今日はいいです。でも、グルの森には行くつもりなんで、オークとか倒したら素材を持ってこようかなとは思っています。そのために、魔法のバックを買いに来たので。」
「そうだったんですね。でも、ムリだけはしないでくださいね。」
「はい!じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい。」
ギルドを出て、街の西にあるグルの森に行く。
一応魔力温存のため、強化魔法は使わずに歩いていった。
魔法の特訓をしてから、初めての実戦だ。
グルの森での特訓中、何度もオークを目にしていたが、戦いは避けていた。
「ウィルオークを見つけてくれ。1体だけの奴でいい。」
「ウォン!」
森に入ってからはウィルの出番だ。
ウィルがオークを見つけてくれる。
俺も雷魔法で探知系の魔法も使えるようになってはいる。
微力の電気を流し、その電気に敵があたると俺も分かると言うものだ。
だが、その探知は敵の大きさまで分かるわけではない。
前は、その魔法で探知しそこに向かうと敵ではなくただの虫だったことがある。
正直探知にはあまり使えない。
使えるとしたら、寝ているときにその魔法を設置することぐらいだろうか。
そうすれば寝首を掻かれることはないだろう。
今はそれ以外に使い道が思い当たらない。
他にも探知系として、聴力を強化したり、視力を強化したりなどがある。
聴力は、それだけを強化してもあまり意味がない。
いろいろな声や音が聞こえバンクしてしまうのだ。
簡単に言えば聞き分けることができないのだ。
聖徳太子は10人又は7人の声を同時に聞き分けることができたと言う。
もし、これが事実なら他の人とは違う脳をしていたに違い。
俺も聴力を強化したならば頭――脳も強化しなければ意味がなかったのだ。
これを使えば、森の中でもオークを見つけることは簡単だ。
だが、これを使っても発見スピードはウィルと大差はなかった。
ウィルが臭いを知らない相手ならこの魔法は使えるだろう。
でも、今回のオーク探しなら、ウィルとあまり大差はないのでウィルに任せているのだ。
また、視力強化は、木々が生い茂る森の中では役にたたない。
視力強化は高原や街中での偵察などの場面で有効だろう。
――ウィルに付いていくとさっそくオーク1体を見つけた。
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