壊れた

「パソコンが壊れました」


 さっき、会社のパソコンが動かなくなった。機械音痴の僕はパソコンについてあれこれ調べても用語が意味わからないし、めんどうくさいし、とりあえず上司に報告して丸投げしとけばいいやと思って適当に報告した。


「あぁん? パソコンが壊れただぁ? まったく、最近の機械ってのは根性ねえな。叩きゃ直るだろ!」


 上司はぶっきらぼうに言った。上司も機械音痴だった。


「もうやりました。そしたら青かった画面が真っ暗になって、電源も付かなくなりました」


「かーっ、本当につっかえねえな。じゃ、ツバでもつけとけ。ほっときゃ直るだろ」


「はーい。了解しましたー」


 僕はとりあえず壊れたパソコンのモニターにツバをかけて放置しておいた。


☆☆☆


「あー、酷いですねこのパソコン。中身がシェイクされたようにボロボロだ」


 修理業者は送られてきたパソコンの蓋を開け、中身を見て言った。メモリは真っ二つに割れ、CPUファンはマザーボードから無理矢理剥がされたようにピンが折れて外れており、コンデンサはことごとく破裂していた。ハードディスクも固定されていた場所から離れ、自由にケースの中を暴れ回った後のようだ。マザーボードはあちこちにヒビが入っている。


「ああ、ホントだ。一体どう使ったらこうなるんだ……中身も酷いが、こっちも酷いぞ」


 もう一人の修理業者がそう言ってモニターを持って一人目の修理業者に見せた。一人目はそれを見た瞬間、鼻をつまんだ。


「うっわ、くせえ。何の臭いだこりゃ」


「ヨダレみたいだな。これは強烈だ」


「なんでパソコンに臭いが付くほどヨダレがかけられてるんだよ。俺にはこのパソコンの持ち主の考えていることがさっぱりわからないぜ……」


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