高性能毒物発見装置サラマデ
「これが毒物発見装置、毒食らわば皿まで、名付けて『サラマデ』! どうだ凄いだろう!」
「毒物発見装置? どんな装置なの、博士?」
「いい質問だ少年、これは食事中毒を盛られているかどうか見分けるための装置なのだ!」
「なんでそんなのが要るの?」
「何故要るか? それは必要としている人がいるからだ! 世の中にはいつ食事に毒を盛られてもおかしくない人物が存在する! だから毒が入ってないか確かめるために、実際に先に食べる人がいるのだが、もし万が一毒が入っていた場合その毒味役が毒を受けてしまう!」
「そうなんだ! 大変だ、それじゃ死人が出ちゃうよ」
「そこで、私が開発した『サラマデ』の出番なのだよ!」
「すごい、でもどうやって見分けるの?」
「ではここでわかりやすいように実演してみようじゃないか! ここに『サラマデ』と二つの料理を用意した! 今から『サラマデ』毒があるかどうか見分けてもらうぞ!」
一台の長テーブルが用意され、人間の上半身を思わせる形のロボットが前に置かれる。テーブルには縁が赤い皿と青い皿の二種類の皿に乗せられた肉野菜炒めが置いてある。
「さあこれで準備完了だ。赤の皿と青の皿があるが、そのうち赤の皿には毒を盛ってある! 青の皿は毒を盛っていない! パッと見同じだから我々人間には区別がつかないだろう! だがしかし! 『サラマデ』はそれを見抜くことが可能なのだ! さあ、サラマデ、毒味開始だ!」
「ハイ、リョウカイシマシタ、ハカセ」
サラマデ、二本の腕でまずは赤い皿を持ち上げる。そしてそれを目(カメラが内臓されている)でじっくり眺める。その後、肉野菜炒めを流し込むように口(どんな食べ物でも入るように大きめに作られている)に入れる。
「ドクデス! キケン! ドクハッケン!」
ブザーのような音が鳴る。同時に、頭頂部(ランプがついている)が赤く光る。そして、持っていた皿を大きな口に入れ、バリバリと噛み砕く。
「そら、これが『サラマデ』だ! 毒があるとわかればこうやって知らせてくれる優れものなのだ!」
「皿は……?」
「食べた」
「どうして?」
「毒があったからだ」
「あ、うん……そっか。でも毒以外の食べ物でもそういう反応しちゃうんじゃないの?」
「そんな疑り深い君のために用意したのが青の毒なし皿だ! さあ、毒味したまえ、サラマデ!」
「ハイ、リョウカイシマシタ、ハカセ」
サラマデ、今度は青い皿を持ち上げる。先程同様に目で確認した後、食べ物を口の中に全て流し込む。
「コノタベモノニハ、ドクハアリマセン。アンシンシテクダサイ」
サラマデ、皿をそのまま置き、おとなしくなる。
「このように、ちゃーんと毒があるかないか見極めることができるのだ!」
「そうなんだ、すごいね! ところで皿は」
「食べない」
「どうして?」
「毒がないから」
「そっか。ところで博士」
「ん? なんだい?」
「皿まで食べる必要あった?」
「さらさらないね」
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