猫の手
「みいちゃんや、ちょっと手伝ってくれないかい?」
おばあちゃんは飼い猫に話しかけた。おばあちゃんはこうやって猫に話しかけるのが癖で、ちょっと忙しくなるとこのように猫のみいちゃんを探し始めるのだ。
「みゃあ」
みいちゃんはおばあちゃんの呼びかけに答えるように姿を現した。そして、おばあちゃんの足にすり寄ってきた。
「あらあら、来てくれたのね。ありがとう。それじゃ、この本棚、本の並びがぐちゃぐちゃになってしまっているから、整理してくれないかねえ」
「みゃあ」
みいちゃんはおばあちゃんの声を聞き届けた後、短く鳴いて、本棚の前に立った。そして、右前足を高く掲げたかと思うと、それが伸びて触手のような形に変形し、物凄い速さで次々と傾いている本や上下逆さになっている本を直し、全ての本を五十音順に並び替えた。みいちゃんの手によって、本棚の整理は一瞬で終わった。
「みゃあ」
みいちゃんは何事もなかったかのように短く鳴いた。
「わあ、ありがとうみいちゃん。助かるわ。またよろしくね」
おばあちゃんはみいちゃんを抱きかかえて言った。
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