狩人の目

「こらっ健一! ゲームで遊んでばっかりじゃダメでしょ!!」


 お母さんはおかんむりである。頭から角を生やし、いつまでも遊んでいる息子の健一に雷を落としている。


「まって、もうすぐで終わるから。相手強いんだよなー」


 健一はお母さんの方を見ることすらせず、ゲームに没頭し続けている。遊んでいるゲームは、対戦型の銃を撃ち合うゲームだ。オンラインで見知らぬ誰かと対戦中で、そこにお母さんが挟まる隙間などない。


「違うでしょ、健一! ……お母さんは遊んでばかりいちゃダメ、と言ったのよ」


 お母さんは低い声で言った。


「……わかったよ、お母さん。遊びじゃなきゃいいんだろ?」


 健一の目の色が変わった。獲物を狩るときのハンターの目だ。もはや彼のゲームは遊びではない。本気の殺し合いである。こうなってしまえば最後、勝敗は決まったも同然だ。

 さて、この少年について少し語りたい所だが、語り終える前に決着はついてしまう。全て語るためには時間が足りない。そのため、余裕があるときに追々語っていくことにしよう。まあ、仮にそんな余裕があればの話だが、な。

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それは、すかしっ屁のような 亀虫 @kame_mushi

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