『源氏物語』ツアー Part1 ✈︎✈︎✈︎
Day2 📖【桐壺】源ちゃん登場!
皆さん、こんにちは。『源氏ツアー』にようこそ。
昨日のオリエンテーションには大勢の方に来ていただきました。ただただ感謝しながらも、かなり驚いており、皆さまのご期待に添うことができるのかドキドキしております。
楽しいご旅行となりますよう心がけてまいりますね。ご参加になる皆さまはどうかお気楽になさってくださいね。いつでもどこでもどなたでも。ストレスフリーでいきましょう。
では参りましょうか。今日から本格的にタイムトリップです。記念すべき第1弾は『源氏物語』第一帖「桐壺」の【超訳】です。出発しますね。
さ、『源氏物語』に行こっ!
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【超訳】源氏物語 episode1 壮大なSTORY 桐壺
源氏 誕生~12歳 藤壺の女御 14歳~17歳 葵の上 16歳
―― 物語のはじまり ――
いつのころだったかしら? 帝からとても愛される女性がいたのね。彼女の名前は
帝には当時の慣例として複数のお妃がいたんだけれど、ひときわ控えめで可憐な桐壺の更衣だけを特別愛したの。他のお妃さま達が自分こそが帝の
「今のままで十分幸せ。神様がくださっただけで幸せなんです」
なんて微笑むから、そりゃ落ちるわね、帝も。
帝をとりまく皇族の方、貴族の方々など男性陣も
「まあ、見ていられないほどのラブラブぶりですな」
なんて冷やかしながらも、唐(当時の中国)では楊貴妃というお妃に夢中になりすぎて国を滅ぼしてしまった皇帝もいたからなぁ、そんな風にならなければいいんだがなぁ、と心配したのよ。
こうなると面白くないのは他のお妃の方々よ。妬まれた桐壺の更衣はいじめの対象になってしまい、ひどい嫌がらせを受けることになってしまうの。いつの時代も同じねぇ。すると、またそれを知った帝は激昂して、
「今後桐壺の更衣に無礼を働けば、将来の帝への無礼だと思え!」
なんてタンカをきってしまったの。そう、桐壺の更衣は身ごもっていたのね。
他の方々の
「流産してしまえ」
「生まれるにしても女の子でありますように」
なんて呪いのような願望もむなしく、桐壺の更衣は男の子を出産。
帝にはすでにお子さんがいらして、その皇子の母である
出産したあとも帝の桐壺への寵愛は変わることなく、桐壺とその若君だけを溺愛したのね。そうして弘徽殿の女御の怒りによって相変わらずの桐壺いじめも続き、とうとう桐壺は心労で倒れてしまうの。
「死の旅だって一緒に行こうと約束した私達なのに、あなたが私を置いていくなんてことはしないだろう?」
桐壺帝は悲しんで桐壺の更衣にすがったわ。桐壺の更衣も死を直前に、愛する帝に命がけで歌を贈られたのよ。
~ 限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり ~
(命には限りはあって、お別れしなければならない今はとても悲しいけれど、本当に私が行きたい道はあなたと生きる道なんです)
こんなに早くお別れしなければならなくなるなら、あなたのためだけに生きたかったのに……。そう思っていたらしいわ。
ふたりの願いもむなしく、桐壺の更衣はそのままお亡くなりになってしまったの。若君はまだ3歳だったのよ。
悲しみに打ちひしがれる帝だったのだけれど、母親そっくりの顔立ちの若君と対面して
「あなたはここにいたんだね」
と抱きしめて涙をこぼされたんですって。
―― 光源氏の誕生 ――
帝は桐壺帝と称されるようになったの。愛した桐壺の更衣の住まいである桐壺に籠りきりだったかららしいわ。お妃の方々は亡くなってもなお帝の心をつかんだままでいる桐壺の更衣にまだ腹を立てていたわね。この頃のお妃たちは与えられた住まいの名前で呼ばれることが一般的だったみたい。桐壺も弘徽殿もそういった部屋の名前ね。更衣、女御というのは帝のお妃の階級ね。更衣よりも女御の方が上の身分で、さらにその上には中宮(皇后)があるの。現時点では桐壺帝の中宮の座は空席。更衣も女御も複数いるけれど、中宮はひとりだけしかなれない。だからみんなが狙っているのよ、中宮の座を。
帝は愛する桐壺の産んだ若君の行末を案じて、有識者に相談したり、占いや人相なども見てもらったりしたらしいの。結局、母親や母親の実家の援助も期待できない状態で他の皇子たちと争ったり、政争に利用されたりしないようにと、若君を源氏の姓を与えて皇族から臣籍(貴族)に下ろされたの。
源氏の君はとても賢くて勉強もよくできて、おまけに音楽などの芸術の才能もあったのよ。それから誰が見ても美しい容姿だったのね。女の子よりも美しかったって言われているほど。だからあれほど桐壺の更衣をいじめていた他のお妃たちも源氏の君のことはさほど憎めなかったみたい。それどころか宮中の可愛いアイドルだったみたいよ。
―― 憧れの人との出会い ――
桐壺の更衣が亡くなられてもう何年も経つのだけれど、彼女を忘れられない桐壺帝は皇族の中に桐壺の更衣によく似ている女性がいると噂を聞きお妃に迎えたの。この方が
桐壺帝は源氏の君を連れてよく宮さまの住まいの藤壺へと通われたから、自然と源氏の君と藤壺の宮も親しくなったの。年頃の男女であればたとえ親兄弟でも娘や姉妹とは顔を合わせないこの頃の習慣だったのに、源氏の君がまだ子供だからと特例で女性の部屋へと連れていっていたらしいのね。源氏の君にしてみれば、幼くしてお母さまを亡くし、そのお母さまによく似ているという噂の美しいお姉さまに好感を抱いてしまうのも当然のなりゆきよね。藤壺の宮さまは源氏の君より5歳年上だったんですって。桐壺帝と藤壺の女御は歳の差婚ってことになるのかな。
源氏の君はたいへんな美貌のお顔立ちで「光る君」、そして美しい藤壺の宮さまは「輝く日の宮」と呼ばれるようになったの。桐壺帝も
「藤壺が桐壺によく似ているから、そうしているとあなた達は親子のようだ。でも藤壺がお若いから姉弟ということにしておこうか」
などと言って目を細めたわ。
―― 源氏の元服 ――
源氏の若君は12歳になったの。この時代ではそろそろ今でいう成人式にあたる
元服を迎えるということは大人の扱いを受けることになり、藤壺の宮さまとも顔を合わすことはできなくなったの。当時は通い婚といって男性が女性の家に訪ねていく結婚の形式だったのだけれど、源氏はつれない葵の上のいる左大臣家より藤壺の宮のいらっしゃる宮中で過ごしていたの。元々ご自分のお住いも宮中だったしね。帝は源氏を亡くなったお母さまが住んでいた桐壺に住まわせていたの。そうはいっても、同じ宮中とはいえ藤壺の宮さまには直接は会えないんだけれど。
その頃にはお母さまの実家が家主を失い荒れていたので、源氏はそこを改修して自分の住まいを宮中の外に構えたの。そこは地名から「二条院」と呼ばれるようになるのよ。
~ 限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり ~
桐壺の更衣が桐壺帝に贈った歌
第一帖 桐壺
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こうして壮大な物語の幕が上がりました。主人公の光源氏が登場して、亡くしたお母さんの面影を追って理想の女性を求めていくストーリーが始まるんですよね。
1日参加してみてどうですか? 第一帖桐壺の内容をざっくり3000字程度にまとめました。華やかな宮中での恐ろしいオンナの嫉妬や、源氏パパと源氏ママの恋に源氏くんの誕生、それから憧れの人の登場でしたね。
明日は源氏物語など平安モノの物語をより楽しめるように、今とは違う平安時代の家族構成などをざっくりご案内しますね。
『源氏ツアー』Day2に来てくださり、どうもありがとうございます。
明日も『源氏物語』に行こう! ねっ!
✨明日の予定
Day3 摩訶不思議、平安家族
集合時間、集合場所:いつでもどこでも
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