『源氏物語』ツアー Part2 ✈︎✈︎✈︎
Day3 📖【若菜上】一滴の雫
さあ、お待たせいたしました。今日から本格的な第2弾ツアーに出かけましょうね。
本日は源氏物語第二部の幕開けとなる第三十四帖【若菜上】です。この巻はとてもボリュームがあり、内容もてんこ盛りなのでツアーを2回に分けることにしました。
源氏物語第二部(この第2弾ツアー部分)はまさに今日のエピタイどおりなんです。『一滴の雫』
このたった一滴の雫が次から次へと水紋を広げていきます。
おやつ、お飲み物、その他お忘れ物はありませんか? 出発しますよ。
ではでは久しぶりに……。
さあっ! 『源氏物語』に行こっ!
✈︎✈︎✈︎
第三十四帖【若菜上】
源氏 39〜40歳 紫の上 31〜32歳
明石の御方 30〜31歳 明石女御 11〜12歳
夕霧 18〜19歳 柏木 23〜24歳
【超訳】源氏物語 episode34-1 それは水紋のように 若菜上
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054885543378
―― 朱雀院の悩み ――
六条院へ行幸なさった後、源氏の兄の朱雀院の体調が悪くなってしまうの。それで出家の準備を始めるんだけど、遺される子供達のことが気がかりなのね。朱雀院には東宮(皇太子)の他に内親王(娘)が4人いるんだけど、特に後ろ盾のない
女三宮のお母さんは亡くなった女院(藤壺の宮)の異母妹にあたるの。そのお母さんが亡くなっているのでお父さんまで出家してしまうと誰もいなくなっちゃうのね。
どうやら朱雀院が出家するらしいってウワサを聞いた貴族たちが院のところへお見舞いに行くの。夕霧も源氏の使いで来ているのね。二十歳少し前の夕霧はとても美しい顔立ちで、朱雀院はなんとなく女三宮と結婚してくれないかなって探ってみるの。けれども、たとえ一夫多妻制だとしても、やっとの想いで初恋の雲居の雁と結婚したばかりなので夕霧はそんなこと考えられないのね。
その昔、幼い紫の上を引き取って貴婦人に育てた源氏みたいに少女の女三宮を育て上げてくれる男子はいないかと朱雀院はいろいろと考えるの。そこで女三宮の乳母に相談してみるの。すると夕霧は新婚で真面目だから縁談には応じてくれないだろうって分析するの。それなら父親の源氏の方がオンナ好きでいまだに恋愛体質だから夕霧よりは可能性があるんじゃないかって提案するのよね。
朱雀院も誰と結婚させるのが一番幸せか考えるの。源氏の弟の蛍兵部卿宮は風流だけれど少し頼りない。太政大臣(元頭中将)の息子の柏木が結婚相手に立候補してくれているけれど、皇女の女三宮には柏木の身分が低い。
夕霧も朱雀院が悩んでいるのを知っているけれど、雲居の雁を悲しませることになるし、やっぱり女三宮との縁談は受け入れられないなって思うの。
そんなこんなで、やっぱりここは源氏しかいないなって朱雀院は考えるみたい。
源氏もそのウワサは聞いていたのね。けれども朱雀院と大して年齢も変わらないから、朱雀院が亡くなられたあと自分だってそんなに長生きはできないだろうから女三宮を見守れないし、いまさら紫の上を本妻の立場から追いやりたくないの。(身分的には女三宮の方が紫の上より高いから、結婚となると女三宮が正室となってしまうから)
それなのに、女三宮があの憧れの女院さまと血の繋がりのある人(女院の姪)だからってちょっと気にしだすのよね。
―― 女三宮の裳着と朱雀院の出家 ――
そして年の暮れに女三宮の
結婚を承諾したものの、源氏は今までの紫の上との生活も変わってしまうからどうしようかと思い悩むの。
次の日に源氏は紫の上にそのことを打ち明けるんだけど、紫の上の反応が淡々としているの。いつもならやきもちを焼いたりして自分の気持ちを正直に表す紫の上だったからその
けれども紫の上は内心ものすごく絶望したの。今はすっかり幸せに浸っていて安心しきっていたのに、これからどんな屈辱を味あわなければならないの? って落ち込むの。
―― 源氏の40歳誕生イベント ――
年が明けると、玉鬘が髭黒の連れ子や自分の産んだ子供たちを連れて源氏の40歳のお祝いにやってくるの。趣味のよいプレゼントを用意して、派手ではないけれど心にのこるお祝いをしてあげる玉鬘。彼女はますます綺麗になって立派な左大将夫人になっているの。
源氏も本当に40歳? って聞きたくなるほど若く見えてあいかわらず素敵なんですって。
―― そして、女三宮降嫁 ――
2月になって女三宮が六条院にお嫁に来たの。皇族の方のお嫁入りだからものすごく豪華なの。六条院の春の御殿にも女三宮用の
女三宮は幼くて本当に子供のようだったの。二条院に連れてきたときの少女だった紫の上と比べても、女三宮の子どもっぽさが目立って頼りない新しい正室に源氏はがっかりするの。
紫の上は新婦の部屋へ通う源氏の身支度をしてあげるの。
「なんでこんなこと引き受けたんだろ。今さら新しい妻なんて必要なかった。惚れっぽい俺の性格のせいだ」
こんなことを言って源氏は今頃この結婚のことを後悔するの。
~ 目に近く うつれば変はる 世の中を 行く末遠く 頼みけるかな ~
(人と人の関係なんて変わっていくのに、どうしていつまでも変わらないなんて信じてたのかしら)
源氏を信じ切っていた紫の上は絶望の歌を詠むの。源氏の心にもこの歌はぐさりと刺さるのね。
~ 命こそ 絶ゆとも絶えめ 定めなき 世の常ならぬ 中の契りを ~
(命はいつか終わってしまうけれど、俺たちの仲は永遠に変わらないんだよ)
今までにも新しい奥さんを迎えるのかもって心配したことはあったけれど、源氏もなんやかんやと思いとどまってきたし、これからは順調に幸せが続いていくって紫の上は信じていたのよね。そんなときに起きた今回の件だったの。永遠に続くものなんてないんだわ、これからどんな運命が待っているのかしら、って落ち込むの。
ひとりになると、源氏が須磨に行ってしまっていたころのことを思い出すの。眠りにつけない紫の上は近くに控えている女房達にバレないように身動きもしないで夜を過ごすの。
そんな風に紫の上が苦しんでいるのが伝わったのか、源氏は女三宮のところで紫の上の夢を見るの。次の日夜明けとともに源氏は急いで紫の上のところに帰ってくるの。すると紫の上は涙で濡れた袖を隠そうとしていて、源氏はグッときちゃうのよ。
初めて会った女三宮は可愛らしいんだけど、ただの幼い少女だったのね。だから紫の上がますます素晴らしく思えて源氏は必死で紫の上のご機嫌をとろうとするのよ。
三晩続けて通わないといけない結婚の儀式なのに、源氏は紫の上のところから離れようとしないのね。
そしてこうなると、源氏はたった一晩離れていても恋しくなる紫の上の魅力に気づかされるの。逢いたくてたまらない、ますます愛おしい。皮肉なことに源氏の紫の上への愛情は深まるばかりなのよね。
~ 目に近く うつれば変はる 世の中を 行く末遠く 頼みけるかな ~
紫の上が嘆いた歌
~ 命こそ 絶ゆとも絶えめ 定めなき 世の常ならぬ 中の契りを ~
源氏が紫の上に贈った歌
第三十四帖 若菜上(一)
✈︎✈︎✈︎
初回のトリップ、お疲れ様でした。この三十四帖、三十五帖はとにかく長編なのです。これだけで単行本になるくらいなんじゃないかなと思うくらいです。今日のトリップで【若菜上】のほぼ3分の1です。本当は【若菜上】一帖分を1回のトリップでまとめたかったのですが、どのエピソードもはぶくことができないので前後半に分けますね。
自分の子供も結婚する年になり、自身も出世を極めた源氏は、紫の上と穏やかなミドルライフを送るつもりだったことでしょう。そこに降ってわいた縁談。この女三宮降嫁という出来事が物語の第二部で大きく大きく源氏の人生に影響していきます。一滴の雫が水紋のようにひろがっていきます。
明日は今日の「一滴の雫」を受けてのエッセイとなります。一部お客様から好評をいただいている「ボヤキの回」です。第1弾ツアー同様お楽しみくださいね。よかったらみなさんもボヤいてみてください。
明日も『源氏物語』に行こう! ねっ!
『
✨明日の予定
Day4 あいかわらずの源ちゃん思考
集合時間:タメイキ時間
集合場所:タメイキ地方
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