Arrivals ご旅行を終えて

Day27 旅の終わり?

 さあ、お名残惜しいですが源ちゃんワールドから離れましょうか。


 こちらは第1弾、第2弾、第3弾ツアー完走の記念品でございます。「源氏物語」名場面集DVDです。ときどき入るノイズはワタシたちの振りかざしたハリセンやスリッパの音かもしれませんね。ほほほ。随分と荒れましたものね。え? 荒れたのはワタシだけじゃないかですって? そうでしたかしら? 心地よい疲労感があるので否定はしませんよ。でも随分と皆さまのハリセンやスリッパも使い古した感がございますよ? お楽しみいただけましたでしょうか? 


 このようにお声がけするのも最後でしょうか。


『源氏物語』に行こっ!


 というか、今日は『源氏物語』から帰ろっ!

 ですね?



 ~ 機内アナウンス ~

「みなさま、お帰りなさいませ。再び平安航空をご利用いただきましてありがとうございます。千年前の京の都へのタイムトリップはいかがでしたでしょうか? 2019年春までタイムワープでご案内いたします。本日ご用意いたしました機内食は紫式部が食したとされる平安時代の『紫式部御膳』でございます。デザートにはあぶり餅もございます。短い時間ではありますが、どうぞくつろいでお過ごしくださいませ」


 平安トリビアでご紹介した当時のお食事ですね。平安航空さまのご協力を得てご提供の運びとなりました。ワタシも今回初めていただきます。楽しみですね。

 では皆さま、手を合わせてください。

 いただきます。



 お食事を召し上がりながらこちらのスライドをご覧くださいね。


 ✈︎✈︎✈︎

 源ちゃん亡きあとの「源氏物語」いかがでしたでしょうか?


 源ちゃんからの主演のバトンを受け取った薫くんとにおちゃんの「宇治恋ストーリー」でした。タイプの違うダブルイケメンが恋した女子たちとのラブストーリーでしたね。


 知性派で陰のある綺麗系美男子の薫くんと華やかでいつでも人の輪の中心にいるようなモテボーイのにおちゃん。

 さぞや人気は二分されるかと思いきや、現代組は圧倒的に薫くん派でしたね。


「薫くん、かわいそうに」

「薫くん、現代組がついているよ」

「薫くん、がんばれ」

「薫くんに報われて欲しい」

「薫くんに幸せになってほしい」

「薫くん……」

「薫くん……」

 どこまでも呟かれた薫くんへのエール


 あれ? えっと、におちゃん派の方、いらっしゃいませんか?? 


「物語を引っ掻き回すには必要なキャラ」

「欠点の多い方がヒロインを射止めて、物語を盛り上げる」


 皆さま、冷静に分析なさってます。におちゃんを認めているのではなく、物語としてにおちゃんポジションのキャラを必要としていますね。

 におちゃん擁護派の方、いらっしゃいましたら勇気を振り絞って名乗り出てくださいね。


 皆さまからのご感想を根気よく探しておりますが、におちゃん容認派は見当たらないようです。


「におちゃん、力ずくはダメでしょ」

「におちゃん、やり方が酷いよ」

「現代なら袋叩きだよ」

「におちゃん、ネット炎上」

「におちゃん、いかんでしょ」

「におちゃん!」

「におちゃん!」


 におちゃんへの忌憚ない皆様のご意見ですね。


「薫くんは少しくらい行動に移せ」

「におちゃんは少し行動を抑えろ」

 皆さまからのご意見をまとめるとこうなるでしょうか。


 そして皆さまが絶賛なさったのは紫式部センセイの才能ですね。

「W主演という手法」

「正統派王子様とモテモテチャラ男の二大属性」

「タイプの違うイケメンふたりと美人姉妹の恋物語」

「ダブルイケメンがひとりの女子を取り合う三角関係」

 どれも現代でも定番といえる設定のエピソードでしたね。


 こうした今も受け入れられるテッパン設定があるから千年前の物語とはいえ共感もでき、「昔の書物」で終わらず現代も読み継がれるのかもしれませんね。

 反対に女子の寝室に乗り込むという現代では受け入れられない恋愛パターンもあり、こちらでは時代を感じることができましたね。

 

 最後にこちらも恒例の第三部ざっくりおさらいです。

 第三部に登場した主な登場人物です。

 

 光源氏 故人。彼の子孫たちが恋模様を繰り広げる。彼の造営した二条院、六条院は第三部でも登場。

 紫の上 故人。光源氏の最愛の妻。特に可愛がった孫の匂宮に二条院を託す。


 女三宮 光源氏の正室。薫の母。表向き薫の父は源氏だが実は柏木とのあいだにできた子供。薫を出産後出家。父の朱雀院に譲られた三条の宮に住む。


 夕霧  光源氏の息子。ハツコイ婚の雲居の雁と三条の屋敷に住み、女二宮の住む六条院にも通う。藤典侍との娘の六の君を匂宮と結婚させる。

 冷泉院 表向きは桐壺院の皇子だが真実は源氏と藤壺の宮との子。今は退位して薫を我が子のように可愛がる。


 薫   表向きは源氏の次男。母は女三宮。自分の出生の秘密を知り愁い戸惑う。俗聖の八の宮のもとに通ううちに娘の大君に恋をするようになる。大君を亡くしたあとは浮舟を身代わりに愛そうとする。

 匂宮  帝と明石中宮の三男。祖父譲りの恋愛体質。祖母の紫の上から譲られた二条院に愛妻中の君を迎えるが、夕霧の六の君とも政略結婚し、薫の想い人の浮舟まで略奪しようとした。


 八の宮 桐壺院の皇子で朱雀院、源氏の異母弟にあたる。政争に巻き込まれ宇治で隠棲している。娘ふたりを育てながら仏道に修行している様子は「俗聖」と呼ばれ薫から慕われる。


 大君  八の宮の長女。宇治でひっそり暮らしていたが薫に見初められ求婚されるが、気持ちに応えることなく病死。

 中の君 八の宮の二女。薫の思惑で匂宮と結婚。二条院に夫人として迎えられるが匂宮の浮気癖に悩まされる。匂宮の長男を出産。

 浮舟  八の宮が女房に産ませた娘。母と地方に行っていたが帰京。中の君から薫を紹介され付き合うことになるが、匂宮とも関係を持ってしまい罪の意識から自死を選ぶ。けれども死にきれず尼君に救われ出家する。出家後に薫が訪ねてきたが会おうとはしなかった。


 

 全五十四帖がこれで完結です。どこまでも続くと思われた物語ですが、終わってしまいました。でもあのような終わり方でしたから、読み手はまだその先を想像したりして「源氏物語の旅」は終わらないのかもしれませんね。源ちゃん初め愛すべきキャラクターたちは紫センセイの脳内だけでなくワタシ達の脳内でも生き生きと動き回るのでしょう。そうして皆さまの脳内や心にキャラクターが生きている限り「源氏物語は終わらない」のでしょう。


 時代を経て

 国境を越えて

 きっといつまでも終わらない物語



 ✈︎✈︎✈︎

 ~ 機内アナウンス ~

「皆さま、お疲れ様でございました。当機はまもなく現代に到着いたします。現地時間は2019年、平成最後の爛漫の春、でございます。このたびは平安航空をご利用いただき誠にありがとうございました。またタイムトリップの折に皆さまとお会いできることを乗組員一同心からお待ち申し上げます。それではどうか皆さまお気をつけてお帰りくださいませ」



 皆さま、大変お疲れ様でございました。平成に帰ってきましたね。ツアー出発の頃はまだ春の兆しも少し見受けられる程度でした。

「黄色の花々が連れてくる初春」から「薄紅色系の花々が咲き乱れる爛漫の春」へと季節は巡ってきましたね。

 千年前の平安の春から平成最後の春へ

 そして新しい時代の春へ



 毎日ツアーにご参加くださった方

 まとめて一気にツアーしてくださった方

 遠巻きにひっそりとツアーを見守ってくださった方

 毎回のように楽しいコメントでツアーを盛り上げてくださった方


 ツアーを作ってくださったのは皆さまです。

 心から厚く御礼申し上げます。


 日本の春は別れと出会いのシーズン。ツアーとしては終わりを迎え、皆さまとはお別れということになりますが、どうかこのツアーで出会えたご縁はこのまま繋ぎ止めさせてください。


 応援ハートやコメントでお名前を教えてくださった方も、ちらっと覗いてくださるお名前を存じ上げない方もどうか引き続き仲良くお付き合いください。

 皆さま方もこの「源ちゃんツアー」で一緒にハリセンで叩いたお仲間同士として(?!)今後も交流していただけたなら本ツアーガイドとして最上の喜びです。きっと源ちゃんも喜んでいます。「な? やっぱ、俺のおかげだろ?」


 平安から平成へ

 それから新しい時代へ

 いつの時代も源氏物語は皆さまとともに


 いついつまでも読み継がれますように



第3弾源氏物語ツアー源ちゃんツアーseason3』Day27に来てくださり、どうもありがとうございます。


 これからも『源氏物語』に行こう! ねっ!




 ✨これからの予定

 皆様の果てなく明るく楽しい未来

 まだまだまだ学ぶことの多い明日

 まだまだまだ知ることできる明日


 ✨旅はこれで終わりですが、よかったら明日アンケートにお答えください(^_-)-☆

 ✨恒例行事もそのときに♫

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