Day26 🔖二次創作?

 皆さま、おはようございます。桜が咲いてきましたね。これほどに開花を心待ちにされ、見上げられ、愛でられ、花の下に人が集うのも桜ならではですね。さすが日本の国花、ですね。そうそう、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの聖火トーチのモチーフが桜なんですね。上から見た断面が桜の花でした。色もピンクゴールドだと言っていましたね。来年「さくら」トーチが日本中を巡るのですね。「あはれ」ですね。


 これなんですけれど、昨日のおみやげショップに手配しておいたノベルティです。

「大好きなおばあちゃまのさくらの押し花しおり」

 ええ、におちゃんご愛用のしおりらしいですよ。

「薫くんの香り付き匂い袋」

 名付けて薫袋、ですね。

 におかお2点セットでお配りしますね。


 さて楽しかった『第3弾源氏物語ツアー源ちゃんツアーファイナル!』も帰路につきます。何度か通った宇治から名残惜しいですが離れましょうか。空港までの移動のあいだにもう1か所寄り道いたしますね。番外編というところでしょうか。名作の証、二次創作のお話です。



『源氏物語』? に寄って行こっ!




 ✈︎✈︎✈︎

【別冊】源氏物語 topics48 え? 続編?!

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054887618241


 さて、長い長い源氏物語全54帖が完結しました。皆さんいろいろな感想を持たれたことでしょう。お気に入りのキャラやエピソードは見つかりましたか? 作家紫式部大センセイの偉業を目の当たりにできましたね。


 そんな源氏物語に続編があるみたいなんです。あ、でも式部センセイではありません。鎌倉時代に入ってから別作者が書いたらしいのです。作者については諸説あり、なんと清少納言説もあるんだとか(まさかね?)。その後の薫と浮舟のことがかかれているらしいのです。

 二次創作?って言っていいのかしら?


山路やまじつゆ」というタイトルです。ここでざっくりと内容をご案内しますね。



【超訳】山路の露やまじのつゆ


 薫 28歳 匂宮 29歳

 浮舟23歳



 ―― それぞれの苦悩 ――

 小野の里でのことを詳しく見ていた人がいて、その人が亡くなったときに遺品の中から薫と浮舟のことを書いてあるメモが見つかったの。こんなことが書いてあったらしいわ。


 その後薫は何度も浮舟の弟の小君を小野の里(現:京都三千院あたり)に遣いに出すんだけど、毎回同じ結果で薫の心は動揺して悶々と日々を過ごしているの。

 正室と過ごしていてもやっぱり思い出すのは浮舟のことで、匂宮とのあの浮気騒ぎも今となっては消えかけているカンジなの。(浮舟への想いがより募っているカンジ?)

 中の君のところも訪ねたりはするけれど、お互い身分も重くなり前みたいに気軽に話したりはできないみたい。どこかに浮舟みたいな女子はいないかなと探してみたりもするんだけど、やっぱりどこにも浮舟以上の女の子なんて見つからないみたいね。


 一方の浮舟は熱心に勤行しているの。唯一の気がかりはお母さんのことで、死んだと思っている娘がこうして生き延びて尼になっていると知ったらどんなに驚くかしら。弟の小君がひょっとしたら話しちゃってるんじゃないかしら。でもできることならお母さんに一目会いたいわ。そんな風に思っているの。


 薫も浮舟も悩みながらの日々が続いているみたい。


 ―― ふたりの再会 ――

 また薫は小君を浮舟の所に遣いにやるの。

「どうしてもお姉ちゃんにお会いしたいのです」

「お返事をいただきたいのです」

 小君の粘りにとうとう浮舟も応じてお母さんはどうしているか聞くの。すると浮舟がいなくなったときは気が狂いそうだったけれど、今は薫がフォローしてくれているって小君が答えるの。それから浮舟お姉さんが生きていることは絶対誰にも話してはいけないと薫に言われているからとお母さんにも伝えていないって浮舟に伝えるの。

 浮舟は小君には自分が姉(浮舟)だって認めたけれど、薫には人違い(浮舟ではない)だと伝えて欲しいってお願いするんだけれど、小君にそれはできないよって言われちゃうの。とりあえず浮舟はお母さんあての手紙を小君に渡したの。


 薫のところに戻った小君は小野でのことを報告してお母さんあての手紙を見せるの。その手紙を見た薫は浮舟の想いに胸がつまり、とうとうその夜お忍びで小野の里に行くことにするの。

 恋人同士に戻ることはできないかもしれないけれど、せめて話だけでもできれば、と薫と小君は日が暮れてから小野に向かったの。


 小野の里に着いた薫は庭に忍び込むの。お経を唱えている女性がいて覗いてみると間違いなく浮舟だったの。その浮舟は読経が終わると月を眺めながらこんな歌を詠むの。


 ~ 里わかぬ 雲居の月の 影のみや 美し世の秋に 変はらざるらん ~

(どこにいても分け隔てなく照らす月の光だけはあのころの秋と変わらないわ)


 この歌を聞いた薫はたまらなくなって浮舟の袖を掴むの。


 ~ 古里の 月は涙に かきくれて その世ながらの 影は見ざりき ~

(宇治で眺めていた月はあれ以来涙で掻き暮れてしまって光は消えてしまったんだよ)


 いきなりの薫の登場に浮舟は動揺しちゃうの。薫は自分の想いを切々と語るから浮舟も胸を打たれるけれど、やっぱり哀しさで涙が止まらないみたいなの。

 薫が匂宮のことを愚痴っても浮舟は上手にはぐらかしたりして、昔の可愛らしさに加えてオトナっぽくステキな女性になっているの。

 けれども出家した尼さまの浮舟に失礼なことはできないから薫は御簾越しで話をするだけにするの。そんな薫の紳士的な態度に浮舟も心打たれるのよね。


 夜明けが近づいてきたみたい。薫は浮舟を小野よりもう少し都に近い場所に移そうって考えて、今後は手紙の返事も書いてねって念押しして庵を離れたの。


 ―― 母への報せ ――

 薫が帰ったあとの庵では薫のウワサ話で騒然としているの。そんな大騒ぎの尼さんたちをよそに浮舟はいつもどおりの勤行をしているの。薫から届いた手紙にもすぐには返事を書かないから尼さんたちがせかすの。


 ~ そのままに また我がたまの 身に添はで 夢かうつつか 分かれだにせず ~

(前に起きたことと同じで今も自分の心がわからないから、今回のことも夢なのか現実なのかどっちなのかしら)


 返事を読んだ薫もしみじみ感じ入ってるの。一方でこの前預かった浮舟からお母さん宛ての手紙が手元にあるからなんとかしないと、と思って浮舟の女房の右近に連絡をとっていきさつを話すの。話を聞いた右近はもちろん驚いたわね。

 薫は浮舟の手紙を読んだお母さんがこのことを言いふらさないように右近にきつく口止めするの。ウワサが広まったら匂宮にも届いてしまってまた前みたいに浮舟の奪い合いになっちゃうものね。

 右近は小君と一緒にお母さんのところに行って浮舟の手紙を渡すの。するとあまりの事態にお母さんは卒倒しちゃうの。そのあとお母さんはすぐに小野の里に行くと言いはじめるから、それを小君たちがなだめて、絶対に口外しないことを約束させて、それから小野に出かける予定を立てたの。


 ―― 母との対面 ――

 お母さんたちは小野の里にやってくると、浮舟は対面をためらうの。でもそれでもお母さんに会うことにするんだけれど、尼になって髪を切っている娘の姿にお母さんと右近は泣いてしまうの。

 これまでの経緯をお母さんは浮舟を助けてくれた妹尼からも聞かせてもらうの。妹尼は浮舟を出家させてしまったことを悔やむの。


 右近は浮舟が姿を消してしまってからの薫と匂宮の様子を浮舟に話してあげるの。匂宮は最初はひどく落ち込んでいたけれど、そのうちに女遊びを再開させたこと、薫はぱっと見普段と変わらない様子だったけれど心では浮舟を想いつづけ、浮舟の身内の面倒まで見てくれていたことなどをね。

 それを聞いた浮舟はいっときの気の迷いで匂宮になびいてしまったことを悔やんで、自分の軽率さを恥じ入るの。

 その夜お母さんたちは庵に泊まり、母子水入らずで話をして夜を過ごすの。お母さんは都の目立たないところに浮舟を連れて行きたいって思うんだけど、出家した身だから華やかな都は似合わないわって浮舟は言うの。


 ―― それから…… ――

 匂宮は他の女性にちょっかいを出しはするけれど、深く入れ込むほどではなくて、結局は中の君と仲良くしているようなの。中の君以外に匂宮の子供を産んでいる女性がいないので中の君が産んだ若君をとても可愛がっているみたい。

 薫も左大将と内大臣の兼務に出世しているの。それから正室が懐妊したので薫のお母さんの女三宮も喜んでいるんですって。


 雪の降った日に薫から浮舟に手紙が届き、浮舟も返事を書くの。

 正直なところ、薫も浮舟をどうしたらいいか悩んでいるの。都に連れてきたいけれど、周りには知られたくないし、今は正室が妊娠中で時期も悪いしな、と相変わらずのうだうだぶりね。

 それにこのことを浮舟の異母姉にあたる中の君にも薫は伝えていなかったの。中の君が匂宮に話してしまうことはないとは思うんだけれど、何がなんでも匂宮に浮舟のことを知られたくない薫は用心に用心をかさねているの。どうしたってあのこと(匂宮と浮舟のこと)は薫にとってトラウマなのよね。




 山路の露・完



 *******

 ここで続編とされている「山路の露」は終わりです。


 あれ?

 あれれれれ?

 終わりなの? ってカンジですよね。 


 で?

 薫と浮舟はこれからどうなるの?

 くっつくの?

 くっつかないの?


 本編54帖【夢浮橋】を読んだあとの感想と変わらない? ですよね。

 作者不詳で伝えられているこの続編ですが、紫式部センセイの本編の世界を壊さないよう心を砕いている物語とされているようです。


 浮舟が月を見て歌を詠んでそれを聞いた薫が袖を掴んだあたりで「おおっ!」と盛り上がりましたけれどね。慎重な薫くんですし、相手は出家した尼さまの浮舟ちゃんですからね。それ以上の展開にはなりませんでしたね。

 還俗といって出家した人が俗世に戻ることもできなくもないみたいだけれど、結局は文通くらいで薫と浮舟の交流は続いていくのかな、ってカンジでしょうか。源ちゃんと唯一源ちゃんのプロポーズを断って友情を貫き通した朝顔の君みたいなカンジ?あくまでもワタシの予想ですけれどね。


 源ちゃんの最期も具体的に記述せず、余白というか巻名タイトルだけでそれを匂わせるにとどまり読み手に想像させてくれた紫式部さま。薫や浮舟の行末も「こういうやりとりがあって、こうなりました」と詳細に伝えることなく読み手に託してくれたのかもしれませんね。だからこそ、この続編【山路の露】ができたのですものね。


「終わっちゃったの?」

「あぁぁぁぁ、で? どうなるの?」

「この先が知りたいな」


 そう思わせるあたりで終わらせる演出がさすがとしかいいようがないですね。

「やっぱりここは薫と浮舟が再会して恋人としてやり直せばいいんじゃないかな」

「いやいや匂宮も参戦してまた三角関係でドロドロもありなんじゃ?」

「このまま浮舟ちゃんには心穏やかに過ごしてほしいわ」

 読み手の想像はどれも「アリ」なのかもしれませんね。


 皆さまのご希望のエンディングはどんなストーリーでしょうか。





 ✈︎✈︎✈︎

 お疲れ様でした。二次創作のご紹介でした。これだけの名作ですからね、大勢の人が「その後」や「バックグラウンド」を妄想したことでしょうね。


 皆さまの妄想はどんなストーリーでしょうか。よかったらお聞かせくださいね。


 「源氏物語」は女性の紫式部が書いた物語です。源氏のことを知っている女房が当時を知らない女房に物語を聞かせるという視点で書かれているそうです。

 物語は「何人称で書かれているか」「誰視点で書かれているか」によっても印象が変わることがあると思います。同じ「源氏物語」でも例えば源ちゃん目線の一人称語りの物語だとまた違う物語のように感じることができるかもしれませんね。もっとハリセンが乱れ飛んでしまいますか?

 もしくは男性作家が書く「源氏物語」や現代語訳も楽しめそうです。もちろん、女性作家の書いた現代語訳や少女漫画『あさきゆめみし』も素晴らしいですね。



 桜の花が平成最後の春を連れて来ました。平安の世も平成の世も同じ心で愛でることのできる桜です。きっと次の世も「桜を愛する日本の心」は受け継がれていくことでしょう。


 紫式部センセイが愛でた平安の桜

 源ちゃんが舞った「源氏物語」の桜

 ワタシたちが心待ちにする平成最後の桜


 その花は人の心にも花を咲かせ

 その花の下で美味しいものを食べ、お酒を酌み交わし、歌って、踊って(?!)

 その花は新しい世界へと旅発つ人達を見送り

 その花びらを散らしながら次の世での再会を告げ


 桜の花を見上げたときに「源氏さくら」も思い出していただけるでしょうか。


 さて、皆さまと楽しく楽しく楽しく過ごしてまいりましたが、「そうだ、源氏行こう」バスがタイムトラベル空港に到着するようです。旅の終わりですが、まだ旅は終わっていません。そうです、玄関のドアを開けるまでが(^_-)-☆、旅行ですものね。


 明日も『源氏物語』に行こう! ねっ!


第3弾源氏物語ツアー源ちゃんツアーseason3』Day26に来てくださり、どうもありがとうございます。


 ✨明日の予定

 Day27 旅の終わり?

 集合時間:千年前

 集合場所:タイムトラベル出発ロビー

 備  考:恒例行事があります。メイク直し、小顔矯正(?!)オッケーでしょうか?

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