Day11 🔖恋に生きる颯爽ガール
こんにちは。皆さま何度も当ツアーに足をお運びくださり、ありがとうございます。今日は昨日の「Day10 類は恋を呼ぶ?」に寄せてエッセイです。新しい恋人の朧月夜の君が登場しました。またもや摩訶不思議な平安恋愛模様なんですよねぇ、これが。
さ、今日も『源氏物語』に行こっ。
✈︎✈︎✈︎
【別冊】源氏物語 topics2 こっちはいいの?
【別冊】源氏物語 topics3 朧月夜サマという生き方
右大臣家の姫として生まれ、東宮妃(皇太子妃)になる婚約中に運命的な出逢いを果たし源氏との恋に落ち、その後ふたりから愛されながら恋に生きた女性。
朧月夜の君です。物語の中でも一番艶やかで華やかな印象を与える女性だとワタシは思っています。
源氏はそんな姫君と月の夜に出逢い、あっという間に恋仲になってしまいます。
ああもう。ああまたですか。どうしてあなたはあとさき考えずに……。
まぁそれを言ってしまうと、この物語成立しませんね。少なくとも1000年も語り継がれませんね。
憧れ続けた藤壺の宮さまは自分との罪の子を産むけれど、想いを伝えあうこともできず永遠の人となります。
その日も藤壺の宮さまに逢いたいなぁ、ちらっとだけでも顔が見られないかなぁと彼女のお部屋の近くを歩いていたのかしらね。けれどきっちり鍵がかかっていて近づけない。
すると、となりの弘徽殿のお部屋は鍵がかかっていない。
「こんな不用心にしてるとマチガイが起きちゃうんじゃね?」
なんて思いながら弘徽殿に潜入する源氏の君。マチガイ起こすのはあんたでしょっ!! アホーっ!
そこで出会った女の子と一夜を過ごし、これまた源氏は恋に落ちます。彼女が朧月夜の君。
「俺ってたいがいのことは許されるんだよ」
なんて言ってのけてカノジョと付き合い始めます。
その後、彼女が自分のお兄さんである東宮(皇太子)の妃となる予定の右大臣の姫(弘徽殿女御の妹)であることを知ります。
いずれは帝になる皇太子の妃になる予定の姫
帝の妃である藤壺の宮さま
似ていますよね。境遇。東宮さまはいずれ帝になられる方なんだから、朧月夜の君はいずれ帝になられる方の婚約者。
藤壺の宮さまのときはまさに「あなたに逢えるなら死んでもいい」なんてくらいの想いで宮さまのところに忍んでいった源氏の君。あのときはあんなに罪の意識をもっていたのに、こっちはどうしてそんなに堂々としているのでしょう? かたやお父さんの奥さん。かたや兄ちゃんのフィアンセ。似たようなものじゃない? まだ結婚していないからいいの?
それでもねぇ、もう結婚は決まっているんだし、どこの誰かわかってから恋はした方がいいんじゃ……。まったく懲りていないのかしらね、禁断の恋。スリルがいいのかしら?
対する朧月夜の君も藤壺の宮さまとは好対照なリアクション。
藤壺の宮さまは好きな気持ちはあるけれど、帝への気持ちも罪の恐れもあるから源氏を拒もうとするけれど、朧月夜の君は「あんまりおカタいって思われるのもちょっとね……」なんて感じで落ちてしまいます。あっさりと。婚約が決まってるんだから、おカタくなきゃいけないでしょうに。
このふたり似ているんですわ。そしてアバンチュールが好きなんですわ。そしてびっくりするのが、お嫁入りしたあともふたりの関係が続くんですわ。しかもダンナ(東宮さま)公認。
普段は上品なお味の京懐石のような朱雀帝との恋。誰からも認められた恋愛。優しい夫。大事にされている、愛されている喜びを味わう。
そしてときおり、メキシコのハラペーニョや四川の山椒のような源氏が通ってくる。刺激的な密会。
朧げな月が照らす夜の
でも家に帰れば
「やっぱりこれね」
と白味噌のお味噌汁をすするカノジョ。
ハラペーニョ源氏はもちろんカノジョに夫がいるのを知っている。というか夫は自分の兄ちゃんで会社の上司。
京懐石兄ちゃんも嫁の元カレがモテモテイケメンの弟だって知っている。おまけに今もカンケイが続いているって知っている。
オットもカレもそれぞれ公認? でミョーな三角関係で続いているなら?
……朧月夜サン、あなたの生き方理想かもしれません。
オットにはいつだって優しく愛されたい。
たまに逢うカレとは刺激的な夜を過ごす。
とはいってもね、オットのママであり朧月夜サンのおねーさんの弘徽殿女御とそのおとーさんにバレてえらいことになるんだけどね。
その後何年かは源氏とは離れざるをえなくなるけれど、その後復活。源氏との恋人関係はトータルで20数年間続いたんですって。そして自分が出家することで自分からその恋をスッパリと終わらせる。
叶うのなら聞いてみたい。
朧月夜サン、あなた幸せだったでしょ。
生きごたえのある人生だったでしょって。
源氏物語に登場する女性って幸せになれていないと思うんです。愛する人に裏切られたり、想いが報われなかったり……。みんな泣いている。
朧月夜サンもこの密会事件が大騒ぎになり、辛い涙も流します。それを優しい帝は責めたりしなかったので、後宮では針の筵の心境だったでしょうけれど、やっぱりこの方の生き方は物語の女性の中でも颯爽としていることナンバーワンじゃないかなぁと思うのです。男性の思惑に流されることなく自分らしく生ききった。女性が自分の意思で生きるのが難しいあの時代。かっこいいなぁと思えるのは 「あさきゆめみし 」 に感化されすぎかしら?
✈︎✈︎✈︎
美しい姫君と偶然出会い「月が綺麗」だなんて言いながらまたしても新しい恋をした源氏でした。
「キレーな子だったなぁ。一体誰だろ?」と調べてみたら、政敵右大臣のムスメ、あの宿敵弘徽殿女御の息子である東宮さまの婚約者。
「やっべー」と思いながらもふたりは密会を続けるんですよね。そして、この恋はその後一大事件へと発展してしまいます。
明日は久しぶりの平安トリビアです。皆さま「物忌み」や「方違え」という言葉を聞いたことはありませんか? 平安時代の物語によく出てきます。明日はこの慣習のお話をご案内しますね。
明日も『源氏物語』に行ってみない?
今日も『源氏ツアー』Day11にお越しくださり、ありがとうございます。
✨明日の予定
Day12 物忌みと方違え
集合時間、集合場所:ハッピーな時間、縁起のいい方角
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます