第2話 ヤンキー奴隷、新たな仲間を探す。



「そんじゃ、Cランク昇格祝いにパーッとやるかッ!」


「そ、そうだね」



 アイヴォンのんべぇが事前に準備していたであろう銀色のギルドカードを受け取って、私たちはギルド内にある食事処に移動した。



「ま、マジで俺がCランクに……」



 ジョゼは未だに実感が湧かないのか、何度も自分のギルドカードを取り出し確認をしている。


 シャルジュはというと、ステータスの用紙を大事そうに眺めながらジュースをチビチビ飲んでいた。



「もっと喜びーやッ! これで受けれる依頼が増えるから暇せんで済むんやでーッ」


「そ、そーっすね。姐さんのお陰でレベルも上がりましたし、本当感謝してます」


「だけど、もうあの訓練は二度としたくないよー」


「私(ウチ)も心が痛かったんやで、堪忍してや」



 シャルジュとジョゼから道中のあれこれを追及されそうになったので私は笑って誤魔化そうとした。



「本当に、貴様は主に何をしたのか理解してるのか!?」


「あーはいはい。わかってるよー」



 そして、何故か当たり前のように同じテーブルで食事を摂っているルベルレットストーカーに私は先程から説教を受けているのだ。



「おー良かったよかった。まだギルド内に居たんじゃな」



 そこへアイヴォンのんべぇが慌てた様子でやって来た。



「ん? どうしたん? 一緒に飲みたなったん?」


「ぉお、それは名案じゃの! ……いや、まだ仕事が残っておったわい」


 私の提案に一瞬嬉しそうに頬を緩ませたアイヴォンのんべぇだったが、真面目な性格なのだろう自分の仕事を思い出し我に返っていた。



「そっか、んで何か用あったんちゃうん?」


「そうじゃった。其方達には正式にパーティ登録をして欲しいんじゃ」


「正式にとは?」



 アイヴォンのんべぇの話にジョゼが首を傾げた。


 どうやらDランク以降の依頼は複数人で受ける依頼がほとんどらしく、Dランク以降の冒険者がパーティーを組むのは当たり前の話になっているらしい。


 勿論、依頼ごとにメンバーを集めて仮のパーティとすることも可能らしいが、寄せ集めのパーティと正式に組んだパーティとで、依頼達成率が変わるのは言うまでもない。



「幸い其方らは回復役ヒーラーが既に居るんじゃ。あとは後衛、特に魔法職のメンバーが居れば攻守共にバランスの取れたパーティになると思うんじゃが」


「ほんじゃー魔法使えるやつ入れようや!」



 アイヴォンのんべぇの提案に私はギルド内を見回し、魔法職らしき冒険者を探す。



「あッ! おったわ!」



 私の視線の先には見憶えのある魔法使いが食事を摂っていた。



 __________________________________


【ルール・制度紹介】


【パーティ制度】

 冒険者ギルドで推奨されている制度。

 パーティ登録することによって、個人では受けることのできない依頼やギルド内のサービスを受けることが出来る。


 最低人数は2人、ギルド推奨人数は4〜7人で最大人数に制限はない。

 

 この制度に登録しておけば、パーティー単位で事務手続きが行われるので、ギルド・冒険者共に面倒な手続きを省く事が出来る。


 __________________________________


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る