第7話 薫風団、冒険者と仲良くなる?



 ゴブリンを『集落ごと』討伐するといった普通は複数のパーティで行う依頼を終えた私達は日暮れ前には冒険者ギルドに帰って来ていた。



「お、お疲れ様でした。相変わらず早いですね……」



 依頼完了の報告に受付へ行くとアンジュが顔を引きつらせながら、労いの言葉を掛けてくれた。



「あー、ゴブリンなんちゃらとかゴブリンなんとかを持って帰って来たんやけど、向こうに持って行ってええ?」


「あ、はい。倉庫の方へお願いします」



 手続きをしていたアンジュに断りを入れると、彼女も慣れた様子で返事をする。


 Bランクになり高ランクの魔物モンスターを討伐するのが多くなり、それらをギルドで買取って貰うことが増えたのだ。


 ここ最近はその量も増えてきたので、買取の窓口を通さず直接倉庫へ持って行っている。




 ***




 ゴブリンの上位種を解体のおっちゃんに引き渡しギルドに戻ると、先ほどよりギルドが騒がしくなっていた。



「でー、そのゴブちんなんだけどー」


「ちょっと、どっか行きなさいよ! この女狐ッ!」



 依頼から帰って来た聖なる盾アイギスの面子とアイラが揉めている様だ。



「でさー、安定のAIモードで余裕勝ちしたんだよねー」


「キィーッ! 無視すんなッ!」



 アイラがサンディスの腕に抱きつき、今日の出来事を楽しそうに話している。


 それを良しとしないエリーゼとハナがアイラをサンディスから引き離そうと躍起になってサンディスの周りで騒いでいる。



「あ、おっちゃん達も依頼終わったん?」


「ぉお、カオル! 俺達も終わりだ」



 そんな彼女達を無視して、私は食事処にいた白竜団パロロコンのダルベルト達のテーブルに腰掛けた。



「じゃあ今日は一緒に飲もうやー」


「おしッ! 飲むかッ!」



 一戦交え、顔見知りであった私達は最近一緒に飲む機会が増えてきている。


 それを知っているからか、シャルジュとジョゼも私を見つけてテーブルにやって来た。



「カオルぅ、終わったなら僕らの所に戻って来てよ」



 テーブルに着き、頬を膨らませるシャルジュにすまんと一言述べ、白竜団パロロコンの連中と乾杯を行った。



「姐さん、アイラは放っておいていいんですか?」


「ひぃふか! ほっほけ!」(知るか! ほっとけ!)



 私は口いっぱいに肉を頬張りながらジョゼに返事した。



「ガハハハッ! サンディスはやっぱりモテるよなー」


「ねぇカオルちゃん、俺はアイラちゃんより君の方がタイプだなー、今度……いでッ痛い、痛いって」



 弓使いアーチャーのアルマルクが私を口説こうとして無口なセルヴィアに頬をつねられていた。


 これも毎度お馴染みなのだが、いくらアルマルクがチャラ男だわかっていても、口説かれると一瞬だがドキっとしてしまう。



『あーーッ! 見つけたわよ、カオル=アサヒナ!』



 あー、もう見つかったか。



 大声を張り上げてこちらへ向かってくる女は隣に来るなり、テーブルを勢いよく叩いた。



 __________________________________


【登場人物紹介(再)】

 

 【白竜団パロロコン】Bランクパーティー

  ダルベルト:男 37歳 剣聖ソードマスター

  リードルフ:男 35歳 剣士ソードファイター

  アルマルク:男 21歳 弓使いアーチャー

  ダミア  :女 32歳 魔法使いウィザード

  セルヴィア:女 25歳 巫女プリースト


 バーウィッチを拠点としているベテランバーティ。

 王国に複数いる剣聖ソードマスターの一人、ダルベルトがリーダーを務めている。


 王国中を転々とし、高難易度の依頼をこなしている。


 対カオル戦の後も別の街へ行っていた様だが、最近戻って来たらしい。


 __________________________________


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る