第2話 奴隷冒険者、暇を持て余す。
野次馬たちが少なくなって来たところで、ご主人様(仮)が不機嫌そうに私の元へやって来た。
「ねぇ、カオル。そんな事してないで依頼を受けようよ」
怒ってはいる様だが流石王子様と言うべきだろうか、シャルジュの口調はとても穏やかだった。
「
私は含みのある言い方でギルド内の掲示板に視線をおくった。
それに釣られて、シャルジュもそちらに視線を移す。
「
「そうだけど……」
現状を理解しシャルジュは溜息を吐いた。
実はキノコ狩りの依頼以降、私たちは冒険者らしい活動を一切行っていないのだ。
しかし、こうなった経緯には深い事情があった。
***
私たちが冒険者になったのは冬も近い秋の終わり頃だ。
冒険者ギルドは年中新規冒険者を募集している。が、
それには
ダンジョンと呼ばれる
春から夏にかけては、低ランクの冒険者向けの採取の依頼が多く舞い込んでくる。
勿論、高ランクの依頼、例えば高ランクの
しかし、秋から冬、特に冬は食料となる資源自体が激減し、低ランクの冒険者が活動できる範囲にも高ランクの
それにより、本来低ランクでも受けれる筈の依頼が中〜高ランクに設定されてしまい、低ランクの依頼が激減してしまう。
***
「まあ、春に登録し直してって事やな〜」
「それじゃあ、その間に僕を鍛えてよッ!」
「おッ♪ やる気やなッ! それじゃ…「失礼するよ」」
シャルジュの提案に私が席を立とうとしたその時、テーブルにフードを被った怪しいの男が現れた。
「力試しをしている女はお前か?」
「そやでー」
「ん?」
フードの男は私の声を聞くなり、驚いた様子でフードから顔を出した。
「その声は……もしかして姐さんですか?」
その男は、私もよく知る人物だった。
「おぉーーッ! ジョゼやんけッ!」
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【登場人物紹介(復習)】
【ジョセ】
バーウッチに住むゴロツキ 男 22歳
他の街からやって来た
様々な街を渡り歩いてきた事もあり、情報収集や危機管理能力は非常に高い。
カオルの強さに惚れ込み、子分になる。
※
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