第10話 調査隊、黒幕を取り逃がす。
「うげぇ、カオル=アサヒナじゃん。ボス、アイツの相手してたの?」
見知った顔の少年は私の事を見つけるなり、酷く嫌そうな表情でそう述べた。
「ねぇ。早く行きましょうよ、ボスぅ」
ウエダの手を引く少女は怯えながら私の事を見つめていた。
「ウエダぁ! この子達にも力を使ったのか!?」
「
その光景を見ていたエリーゼはただ呆然と立ち尽くし、アイラは再び激情し怒鳴っていた。
「失礼ですね、彼らは元々私の仲間ですよ」
そう言ってウエダが
…………。
「
「「了か…」」
『待ってくれ!』
ウエダが玄と翠に撤退の旨を述べると、話を聞いていたのであろう偉いさんが慌ててウエダの前までやって来た。
「は、話が違うではないか!」
「はて、何の事でしたかね?」
偉いさんの話にウエダは恍(とぼ)けた様子で返事をする。
「貴様、騙したなッ!」
ウエダの態度に偉いさんは怒り、帝国軍が一斉にウエダ達を取り囲み始めた。
しかし、圧倒的に不利な状況にも関わらず、ウエダは相変わらず薄笑を止めようとしない。
「おやおや、これは不味いですね。……
…………ッ!
何か物凄くヤバい気がする。
そう感じた私は立ち尽くすエリーゼとジョゼを担ぎ、急いでその場から離れた。
ヴィンセントやアイラも状況を察したのだろう、私の後を追ってくる。
…………。
「何……あれ?」
私に担がれているエリーゼが私達の後ろを指差し、そう呟いた。
振り返ってみると、真っ黒な沼の様なものがゆっくりと広がっており、その沼からは無数の真っ黒な手の様なものが伸びてうねっていた。
そして、帝国軍兵士達は泣き叫びながらその腕から必死に逃げ惑っていのだった。
『た、助けてくれぇええーッ』
『ぅああああああ』
『死にたくない、死にたくないッ』
しかし、彼らの抵抗虚しく一人また一人と手に捕まり、沼の中に引きずり込まれてゆく。
***
私達がシャルジュ達と合流する頃には真っ黒な沼は消失し、それと共に逃げ惑っていた帝国軍もその場から居なくなっていた。
そして彼らの代わりに、私達の目の前には無数の
ゆっくりと私達に近づいてくる
「それでは、我々はこれにて失礼します」
「代わりに私のお人形さん達と遊んでねぇ♪」
「じゃあなー」
ウエダはそう言って一礼し、
すると、彼らの姿は揺らぎ、徐々に薄くなっている。
「逃げんのか、待てコラァッ!」
私は慌てて彼らを追いかけようとするが、
「どけや、コラぁ!」
私は以前の様に聖なる力を拳に纏わせ、
しかし、
私は仕方なく物理攻撃のみで
…………。
そして気がついたときには、ウエダ達は姿を消していたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます