第10話 薫風団、我が儘を押し通す…
今回の組み合わせは、学校の校外学習や遠足の班決めとは訳が違う。
そんな事はこの私でさえわかっている。
にも関わらず、この女は自分の都合だけで我儘を言い出したのだ。
「アイラ殿、これはあくまで仕事であって私情を持ち込むのは…」
「そうよ! 勝手な事を言わないでくれる!?」
「はぁ、別にいいんですけどぉ。したら、今回の依頼アイラはパスでー」
「ち、ちょっとアイラ。勝手な事言わないで」
提案を跳ね除けられ、不貞腐れたアイラをシャルジュが慌てて宥める。
「ねぇ、カオルぅ。カオルからも何か言ってよー」
「へ? はんへもへへふはう?」(へ? 何でもええんちゃう?)
突然話を振られて、私は口の中に食べ物を頬張ったままそう答えた。
いや、さっき起きたばかりでお腹が減っていたから、アイテムボックスにあった料理を食べていただけだ。
別に、話を聞いていなかった訳ではない。
しかし、そんな私の姿を見てシャルジュは大きな溜息を吐いた。
…………。
「……ギルドマスター。本当に申し訳ないですが、彼女の意向に沿って貰えないでしょうか? でないと、僕ら薫風団は大幅な戦力ダウンになります……」
我が薫風団の幼いリーダーは深々と頭を下げながら、
仮にもシャルジュはこの国の王子である。
そんな彼に頭を下げられたとあって、
「そ、それでは、薫風団は
「薫風団・
突然の変更にギルド内は一時騒然となったが、
「さすシャルぱないッ!」
そう言ってアイラはシャルジュに飛びつき彼を抱きしめていた。
しかし、シャルジュは心底呆れた様子で溜息を吐いた。
「ぐぬぬぬぬぅ〜〜〜ッ!」
「…………もぉッ!」
そんなアイラたちの様子をエリーゼとハナは遠巻きに睨みつけていた。
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【登場人物紹介?】
【
王都を中心に活動するパーティ。
今回は偶然護衛の依頼で立ち寄ったバーウィッチで、本作戦に参加することになった。
正直、あまりパッとしない。
【
男性のみで構成された筋肉集団。
何故がメンバーはいつも上半身裸らしい。
近づくと酸っぱい臭いがする。
一部の女性達からは大人気らしい……
【
神出鬼没の覆面冒険者集団。
全員が何かしらの魔道具を所有し、奇抜な戦法で戦場を駆け抜けている。
実は、指名手配されているとか、いないとか……
え? やだなー、何言ってるんですか。
それは勘違いですよーッ!
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