第11話 …………、順調に事を進める。




 深い森の中、軍服を着込んだ兵士達が周りを警戒しながら歩みを進める。



 ……ドサッ。



 すると、彼らの目の前に『何か』が落下した。


 突然の事態に、兵士達は慌てて持っていた『武器』を構える。


 その武器には剣やランスの様に刃はついていない。


 しかし、彼らはその武器の先端を落下してきた『何者か』に向けていた。



 …………。



 見慣れない服を着込んだ『何者か』は、怯える様子もなくスッとその場で立ち上がった。



「待て!」



 武器を構える兵士達の後ろから上官らしき人物が彼らを制止する。



「これは大佐殿。驚かせてしまった様で申し訳ありません」



 立ち上がったスーツ姿の男性は服についた埃を払うと、そう述べて深々と頭を下げた。



「武器を下ろせ」



 大佐と呼ばれる男性がそう述べると、兵士達は命令に従い構えていた武器を下ろす。



「気をつけてくれ、もうここは『敵地』なんだぞ」


「申し訳ありません。……ですが、一早く大佐殿の御耳にご報告をと思いまして」



 下げていた頭をゆっくりと上げたスーツ姿の男性は、そう述べると大佐と呼ばれる男に近づいた。



「おお、そうか! それで、どうだったのだ?」


「はぃ、作戦は順調です。向こうは混乱し我々の存在に気づいてすらいない様です」



 その言葉に大佐は大いに喜び、うんうんと頷いた。



「更に、面白い情報を手に入れて参りました。実は……」



 …………ッ!



 スーツ姿の男性が大佐の耳元で何かを伝えると、大佐は大きく目を見開いた。



「その情報は確かなのか!?」


「えぇ」



 驚きを隠せない大佐を他所に、スーツ姿の男性は不敵に微笑んだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る