第2話 薫風団、有名になる?
『あ! くんぷうだんのお姉ちゃんだー』
「おー、野菜食べれるよーになったか?」
冬の間、高ランクの依頼をこなし続けた俺たちは晴れてBランク冒険者に昇格した。
それに伴って『薫風団』はBランクパーティとなり、街でも少し名の知れたパーティとなった。
『アイラちゃん、今夜一緒に飲もうよー』
「マジウケるー。イケメンになって出直してくださぁーい」
…………。
『カオルちゃん、今夜は飲みに来てくれないのか?』
「今日は先約があんねん、また今度なー」
…………。
まあ、有名なのは姐さんとアイラなんだけどな。
「なあシャルジュ。俺ら
じゃあ、俺たちはどうなのかと言うと……
『
…………。
そりゃ姐さん達に比べれば大した事ないかもしれないが、俺だってその辺の冒険者に比べれば強い方だ。
もうちょっと俺らだってチヤホヤされても良いと思うんだ。
「ん? シャルジュ?」
いつの間にか隣を歩いていたシャルジュがいなくなっていた。
『うえぇぇーん!』
「どうしたんだい? あー転んじゃったんだね。少し待ってて……」
辺りを見回すと、道端で泣き
『ヒール!』
シャルジュが呪文を唱えると、女の子の膝にあった擦り傷が一瞬でなくなった。
「わぁー、すごーい!」
「これで大丈夫だよ」
「ありがとう! お兄ちゃんッ」
「どういたしまして」
ニッコリと微笑むシャルジュに女の子が見惚れているのを俺は見逃さなかった。
……お前は俺の仲間だと思ってたのに。
裏切り者のシャルジュを他所に俺は不貞腐れながら姐さん達の後を歩いていた。
『あのー、薫風団のジョゼさんですよね?』
そんな時、見知らぬ女性が声を掛けてきたのだ。
「え? あ、はい、そーです」
「わーあの、えーとファンです! 握手して貰っても良いですか?」
「いいですよ! 是非ッ!」
ついに、遂に! 俺にも春がやって来たッ!
俺は感激の余り泣きそうになったが、こんな所で泣けば絶対に引かれるに違いなかったので、グッと堪えた。
「あの、今少しお時間ありますか?」
「勿論!」
俺たちが向かっているのはいつもの酒場だ。
今日は久しぶりの面子で集まって飲む事になっていたのだが、少しくらいの遅れても大丈夫だろう。
そう思った俺は彼女に手を引かれるまま路地裏へと歩みを進めた。
***
「カオルぅー、待ってよー」
「はいはい。何しとったん?」
「怪我した子がいたから、治療を」
「そか」
「あれ? ジョゼはどうしたの?」
「
『カオちー、秒でー』
「そっか、じゃあ先に行ってようか」
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【登場人物紹介】
【
アスティーナ王国、第三王子のシャルジュをリーダーとする注目株のパーティ。
その話題性もさる事ながら、バーウィッチでも1・2を争う戦闘力の
【
【
この二人が在籍しており実力面でもかなり優秀だと評判である。
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