第3話 薫風団、宴会場に突入す!



 まだ日は高いと言うのに酒場からは陽気な笑い声が漏れていた。



『『姐さん! お勤めご苦労様ですッ!』』



 私達が酒場に足を踏み入れると、先程まで賑やかに騒いでいた連中が一斉に挨拶をしてくる。



「エラいぎょーさんおるな」



 余りの迫力にシャルジュは一瞬驚いていたが、状況を察したのかその後は私に苦笑いを向けていた。



「姐さーん! こっちです!」



 その中でも一際大柄な男が私達に手を振っている。


 見慣れた仲間の姿に、私は迷う事なくいつものテーブルに着く。



「なんか大層な事になってるやん」


「団員達が姐さんに会いたいって聞かなくって、迷惑でしたか?」


「そんな事ないで、酒は大勢で飲む方が楽しいしなー」



 そんな私の返事にダラムはホッと胸を撫で下ろしている。



「シャルジュ様も騒がしくて申し訳ない」


「気にしないでよ、ダラム。それに僕の事は様付しなくてもいいんだよ?」



 私の隣に座った小さな主は嬉しそうに従業員おばちゃんにジュースを注文している。



「アイラちゃん、オイラの隣に座ってくれよー」


「まじウケるー、身の程を弁えろ。ってゆーかー死ね」


「そんな事言わずにさー、ほら金貨1枚あげるからー」



 鼻の下を伸ばしながらヤヌックがアイラを隣に座らせようとしていた。


 っと言うか、ここ最近ヤヌックヤツのゲス度が更に上がっている気がする……



「え、マジ? 仕方ないなー」



 それに答えるアイラもアイラだが……



「そう言えば姐さん。ジョゼの奴はどうしたんです?」


「彼奴なら若い女に声を掛けられ、フラフラとついて行ってたぞ?」



 隣の空いたテーブルに当たり前の様に座りエールを煽るルベルレットが話に割り込んで来た。



「おったんか」


「当たり前だ。私はシャルジュ様の護衛、いつ如何なる時でも主を守るのが我等護衛騎士の務めだ」



 皮肉混じりに言ったのに、何故か彼女は胸を張ってそう述べる。



「あんな事言ってるで主様」


「ルベルレット。気持ちは有難いけど、本当に騎士団の方は大丈夫なの?」



 そんな阿呆な彼女をシャルジュが心配そうに見つめる。


 それもそうだ、任務でもないのに勝手について来て半年も騎士団の仕事を放棄しているのだから。



「シャルジュ様が気にする用な事ではありません」



 そう述べると彼女は何事もなかったかのように、私達に背を向け料理に手をつけ始めた。



「遅れて、すまん! もう始まってたか?」



 遅れてやって来たジョゼが私達と同じテーブルについた。



「今から乾杯する所やでー、はよ飲みモン注文しいや」


「よかったー。おばちゃん、エール!」



 これでようやく全員が揃った。



「ほな、始めるでー」


「「「ぉおーーッ!」」



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【カオル会】


 いつの間にか定期開催となった、カオルに関わる面子が集まる飲み会。


 主要な参加者は

 カオル、シャルジュ、ジョゼ、アイラ、ダラム、ヤヌック。


 本日は、アサヒナ傭兵団の団員も加わり、最早貸切状態で宴が行われる様である。


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