第4話 薫風団、とアサヒナ傭兵団。



 酒場は飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎになっていた。


 しかし従業員おばちゃんは怒るどころか、寧ろ嬉しそうに各テーブルに料理やお酒を運んでいた。



「あーやっぱりここに居た!」



 騒がしい店内を掻き分ける様に私達の元へやって来たのは見覚えのある眼鏡の女の子だった。



「ダラムさん! 今日提出する様に言ってた報告書がまだなんですけど!?」


「ああ、モニカか。悪い、明日にでも提出するよ」



 突然の来訪者にシャルジュとアイラは誰なのかと私に尋ねてくる。



 ああ、傭兵ギルドの眼鏡っ子か。



 彼女が傭兵ギルドの事務員である事を告げると、成る程と彼らは納得してくれた。


 それにしても、彼女はダラムと妙に親しげな気がするんだが……



「姐さん、姐さん。実は兄貴とモニカが出来てるって噂なんですぜ」



 ……ブフォッ!!



 ヤヌックの話に思わずエールを吹き出してしまった。



「マジで言ってんのか!?」


「大マジですぜぇ」



 言われて見れば、モニカに怒られているにも関わらずダラムは少し照れている様にも見える。



 まあウチには関係ない話やなー



「もう、この報告書は冒険者ギルドにも提出する資料になるんですから、ちゃんと期限は守って下さいよ」


「あのー、傭兵ギルドから何で冒険者ギルドに資料を提出するんですか?」



 モニカの話を聞いていたシャルジュが話に割って入った。



「えっと、貴方は……もしかして、シャルジュ王子ですか!?」


「え、あ、はい。そーです」



 シャルジュがそう答えるとモニカは周りを見渡し、ようやく私達も一緒に酒盛りをしていた事に気がついたようだった。



「薫風団とアサヒナ傭兵団。ああ、カオルさんの、通りで!」



 何故がモニカは一人で納得した様子で頷いていた。


 そりゃここにいるのは、薫風団と元子分どもが集まったアサヒナ傭兵団の連中っで、全員私の身内みたいなものだ。



「実は、まだ未確認の情報なんですが……」



 そう言って彼女は、事情を説明し始めた。



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【登場人物紹介(再)】


【モニカ】

 バーウィッチ傭兵ギルド職員 女 18歳


 バーウィッチに店を構える小さな商家の娘。

 現在は傭兵ギルドで事務員をしている。


 現在、アサヒナ傭兵団団長のダラムと交際していると巷で噂になっている。


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