第8話 調査隊員、全力で敵を叩く!
何も考えず走り出した私にウエダという男は肩を竦め、溜息を吐いた。
「交渉決裂ですね」
『全隊、攻撃開始ッ!』
ウエダの言葉に続くように帝国軍の偉いさんは兵士達に攻撃の指示を出した。
ダダダッダダダダダッ!
銃を構えた兵士達が一斉に
「当ててみろやッ! クソがぁああッ!」
私は走りながら盾とモーニングスターを取り出し、左手で盾を右手でモーニングスターを振り回しながら銃弾の雨の中を帝国軍に向かって突っ込んだ。
『こ、こっちに来るなぁああッ!』
私の標的となった兵士は叫び声を上げながら、銃を乱射する。
しかし、大きな盾を前に銃弾は弾かれ、モーニングスターの射程に入った兵士は遠心力で勢いがついた鉄球を脇腹に喰らい吹き飛ばされる。
『囲めッ! 相手は一人だ!』
一人やられた事で陣形は崩れたが、兵士達はすぐさま私を取り囲む様に陣形を組み始める。
「そうはさせんでッ!」
私は取り囲まれる前に煙玉を使い、辺りは煙幕に包まれた。
ダダダッダダッ!
『うげッ!』
『誰かぁああッ』
『ぅわぁぁあああッ! 来るなぁあ!』
突然の煙幕に兵士は混乱し、その間に私はバットで一人ずつ兵士をぶっ飛ばして行く。
『撃つな! 一旦退避! 煙幕の外に出ろ!』
この煙幕の中で銃を乱射した阿呆がいたらしく、何人かは味方の銃弾に被弾したらしい。
そして偉いさんが指示を出し、兵士達は煙幕の外に退避して行く。
ダダッダダダッダダッ!
『誰だ! 撃つなと言っているだろうッ!』
『我々ではありません! 敵の攻撃です!』
ダダダダッダダダダダッ!
ご名答。
私は倒れた兵士達から銃を奪い取り、千里眼で煙幕の中から確実に敵を狙撃しているのだ。
ダダッダダダダッダダダダッ!
次第に煙幕が風に流され、視界が晴れていく。
ようやく目視出来るようになった辺りには、死んだのか気絶したのか分からない兵士達が横たわっていた。
そして、その中で両手に銃を構え佇む私の姿を敵さんはようやく捉えられた様だ。
「ほほぉう、これは想像以上ですね」
銃弾に晒されていたと言うのに、ウエダは怯む事なく面白いモノが見れたとでも言う様な表情で私を眺めていた。
「見つけたで、覚悟しときぃやッ!」
視界にウエダを捉えた私はそう言って微笑んだ。
***
私が銃を奪った事で状況は均衡状態に入っていた。
帝国軍は全員が木の陰に隠れ、私に攻撃するタイミングを伺っている。
ダダダッ!
一方の私は開けた場所から兵士を銃弾で牽制し押さえ込んでいる。
「噂に聞いていた以上です、朝比奈さん」
「お前は隠れんでもええんか?」
そんな中、ウエダだけは木の陰に隠れようともせず堂々と姿を私に晒していた。
「私もアナタと同じ様に特別な力がありますからね。その必要はありませんよ」
「ほんじゃ、行くでッ!」
私は迷う事なくウエダに向かって走り出した。
それと同時に帝国軍が私に向かって、一斉に攻撃を仕掛けてくる。
ダダダッダダダダダッ!
「もう見切ったで、それ」
私は速度を緩める事なく、最低限の動きで銃弾を
『怯むな! 撃ち続けろ!』
偉いさんの命令が銃声の中で微かに聞こえて来る。
しかし、奮闘空しく彼らと私の距離は徐々に縮まってゆく。
『何故だ! なぜ当たらないッ!』
「アンタらが下手なだけやろッ」
ダダッ!
私が撃った銃弾は偉いさんの顔を掠め、彼の側にあった木に銃痕をつくった。
それにより偉いさんは腰を抜かし、兵士達は戦意を喪失していった。
__________________________________
【アイテム解説】
【
通称『M4』。
ムラン帝国が魔道工学の粋を結集して開発した、最新型の魔力銃。
「Mk-Ⅳ」は、前モデルの「Mk-Ⅲ」の威力・連射性をそのままに軽量化・省魔力化を行った。
それにより長時間の運用を可能にした。
更に魔倉(マガジン)を採用した事により、魔力量が少ない一般兵でも使用可能になった。
※魔力銃:魔力を凝縮し、高速で発射する事のできる魔道具の一種。
__________________________________
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます