第4話 調査隊、正体不明の一団と遭遇す…
パキ、パキと小枝を踏み締める音と共に何かがこちらに近づいてくる。
聞こえてくる足音は一つだけではない、複数の足音が迷うことなくこちらへ向かってきていた。
…………。
先ほどの事もあり、調査隊のメンバーは緊張した面持ちで森の奥からやってくる何かを待ち構えている。
ガサッ……ガサガサッ……。
「「なっ!!」」
木々の陰から姿を現したのは、
そして彼らは皆、同じ服を身につけこちらを警戒する様に銃の様な武器をこちらに向けている。
「て、帝国軍がなぜここに……」
シャルジュが驚きに目を見開き、そう呟いた。
「なんだ、どうかしたのか?」
森の奥から偉そうな態度で出てきたのは、顎髭を生やした厳格な雰囲気を醸し出す上官らしき人物だった。
「はッ。冒険者らしき一団と鉢合わせしました。どうしましょうか?」
そう告げられた男性は私たちの事を流し目で確認すると、ふんッと鼻であしらった。
「冒険者など放っておけ」
「ちょっと待って下さいッ!」
こちらに聞こえる様にそう吐き捨てた男性に、シャルジュが声を上げた。
「ここはアスティーナ王国の領地の筈です。あなたたちはここで一体何をしているのですか!?」
その言葉に男性は眉を顰(ひそ)めた。
「冒険者風情には関係のない事だ!」
『まあまあ、大佐殿。冒険者ごときに熱くなる必要はありませんよ』
茂みの奥から不敵な笑みを浮かべたスーツ姿の男性が現れた。
「!!」
その男性を見た瞬間、アイラが目を見開いて驚いているのを私は見逃さなかった。
そして、男性を見つめるアイラの表情は段々と険しくなっていったのだ。
「まあ、そこにいるのが『冒険者』ならね」
そういってスーツ姿の男性はシャルジュの方に視線を送った。
その嘲笑うかのような視線にシャルジュは身構える。
「おや、これはこれは。シャルジュ=アスティーナ『王子』ではありませんか?」
仰々しくそう述べた男性の言葉には明らかに悪意が込められている事をその場にいた全員が理解しただろう。
軍人らしき兵達は銃を構え、上官である男性は驚きに目を見張った。
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【組織情報】
【ムラン帝国】
アスティーナ王国の南西に位置する軍事国家。
歴史は浅いが、魔道工学を始めとする工業産業と強大な軍事力でここ数十年で一大帝国を築いた国。
アスティーナ王国とは和平協定を結んでおり、交流も盛んである。
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