第10話 奴隷少女、初依頼に挑む!
バーウィッチ近郊にある森林で、私たちは冒険者としての初依頼に挑んていた。
「シャルジュ、あったか?」
「ん〜〜。あ、あったよッ!」
返事を聞き、私はシャルジュの元へ駆け寄った。
彼の手には『キノコ』が握られている。
「鑑定ッ!」
【
…………。
「それハズレや」
私が一言そう述べると、シャルジュは落ち込んだ様子で再びキノコを探し始めた。
受付のお姉さん曰く、遅くても半日程度で終わる依頼ということで、私たちはピクニック気分で気軽にやってきたのだ。
何が「簡単に見つかりますよ〜」やねんッ!
そう、もう小一時間程依頼のキノコを探しているのだが、見つけたキノコは全て毒キノコだった。
シャルジュも最初の方は意気揚々とキノコを探していたが、今では半ば諦めモードに突入している。
ん?
森林の奥に気配を感じ、私はすぐさまシャルジュの元へ駆け寄った。
「え? どうしたの…「シッ!」」
慌てるシャルジに、私は口元を押さえ黙るように指示した。
「なんかおるわ」
「なにがいるの?」
茂みから顔を出し、千里眼のスキルを使用した。
「あーなんか緑色した
「あ、それゴブリンだよッ」
どうやら私たちが遭遇したのは『ゴブリン』らしい。
「そういえば、『特産キノコ』がある場所には、ゴブリンがいるかもってお姉さんが言ってたよね?」
「そやったなー。ほんじゃ
私は千里眼を起動させたまま、弓を取り出し構えた。
「え? ここから狙うの?」
「んー、多分大丈夫やでー」
私は更に必中のスキルも起動し、1匹目のゴブリンに狙いを定め、矢を放つ。
「まず一匹」
「ぇえッ!?」
シャルジュは目を凝らしながら驚いていた、おそらく遠すぎて確認できないのだろう。
そして、私は2つ、3つと矢を放ち、徐に歩き始めた。
***
「本当にゴブリンが三匹……しかも、全員一撃で倒されてる」
ゴブリンがいた辺りに到着すると、シャルジュは驚きながらゴブリンをつついていた。
「シャルジュ、あったでッ!」
ゴブリン達がいた側にはお目当のキノコが沢山生えていた。
すると、シャルジュも慌ててキノコ狩りを再開し始めた。
「さて、
お姉さんに
「カオルぅー、いっぱいあったよ〜〜♪」
そう言って戻って来たシャルジュは全身泥だらけになりながらも、腕の中には沢山の『特産キノコ』を抱えていた。
***
「こちらが特産キノコ10個の報酬銀貨2枚になります」
私は受付で報酬を受け取り、次に買取の窓口に向かった。
…………。
「ほい、今回の依頼の報酬やでー」
私たちはギルド内のテーブルに座り、今回の報酬銀貨2枚と銅貨6枚を眺めていた。
「報酬は山分けでええよな?」
「うん」
「ほな、銀貨1枚と銅貨3枚な。お疲れさんッ」
私が分け前を手渡すと、シャルジュは慌てて食事処の注文口に向かって行った。
「はい。カオル!」
戻って来たシャルジュの手にはエールジョッキが握られていた。
「今回はこれで許してくれる?」
不安そうに私を見つめる少年の頭を撫でて、私はこう言った。
「ありがとな。ご主人様」
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